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第0番 声なき歌姫は美しく舞う
色鮮やかな音を出すと自分を取り囲む水がブクブクと泡立つ。
ここまでくれば私の歌を聴いているのはせいぜいお魚とほんの少しの海獣くらいなものです。それも初めに発した声で遠くに行っているはず。もっと伸び伸び生き生きと、好きなだけ大きな声で歌いたいのに。そんなことをすれば周りのみんなどうなってしまうかわかりません。そんな恐ろしいこと…昔の過ちを思い出して軽く頭を振る。いいの、私にはちゃんと役目があります。私にしかできないような、国中のみんなが羨んでくれる役目。それは栄誉なことだし誇らしいことです。だから、精一杯、私は頑張って、今のままでいなきゃいけないのです。
小さく自分だけに聞こえるようにあの歌を口ずさみつつ、一度呼吸をするために海面に向かう。ああ、あの頃みたいにまたお姉様とお歌を歌えるようになりたいな。
年若き歌姫は小さな泡を吐きながら自分の暮らす陸に向かった。
明日の23時から第二章始まります〜




