30 やりすぎちゃった?
さてさてさ〜て。流石にちょっと疲れちゃったかも。積み上がった土?元岩?の上で一息つく。
そろそろ陽が落ちて空は赤く染まってきた。この場所、崖に囲まれてるから陽が落ちるのが早いんだな〜って今更に気がつく。
2回ほど気持ちの悪い動物を倒した以外は止まることなく掘り続けていたので無事に穴掘りは終了している。何故か引き攣った顔の犬くんと小さな可愛い子供達に土運びは手伝ってもらえたので私は穴掘りだけに集中できた。今は洞窟に入ったり出たりして何人かの子供達が遊んでいる。可愛いな〜。
「もう終わったのですか?」
鈴の鳴るような綺麗な声が聞こえたので振り返るとやっぱりロゼちゃんがいた。その後ろには、
「サーシャちゃん!起きたの?身体大丈夫?」
コクンと小さく頷いたサーシャちゃんがトコトコ私のとこに来てちょこんと座った。可愛いな〜。なにもわかんない場所で一人は心細かったよね。ごめんね〜。
ん?ロゼちゃんの後ろにいた女の子がにっこり小さく手を振って駆けて行った。それに対してサーシャちゃんも小さく振り返す。もしかしてお友達ができたの?!え〜嬉しい〜!やっぱおんなじ年頃のお友達が欲しいよね。
「あれ?そういえばマイくんはどうしたの?朝はロゼちゃんと一緒にいたよね?」
少しゲンナリした顔でロゼちゃんが教えてくれる。
「専用の魔道具が欲しいと言われたので得意な者を紹介したのですが妙に気が合ってしまったみたいです。ずっとお話ししてらっしゃいますので置いて来ましたわ。」
へ〜、口数が少ない方のマイくんが何時間も話し続けるなんて珍しいなぁ。マイくんもお友達ができたのかな?…ん?あれ…おかしいな。サーシャちゃんと同じで嬉しいんだけど…なんかこう…何だろう…息が詰まるみたいな気がする?
よくわからない初めての感覚に頭を捻っていると袖を引っ張る感覚があった。下を見ればサーシャちゃんの丸い目がこっちを見ていた。
「お姉さんどうしたの?疲れちゃった?」
心配させちゃったかな。頭をなでなでしといた。お姉さんは元気だぞ!
「これだけ働いて元気なのもいかがなものかしらね…」
なんかロゼちゃん意識飛んでる?大丈夫?
大きいため息吐かれた。ロゼちゃんマイくんに似てるね〜。
「とにかくお疲れ様です。お腹も空いてるでしょう?マイラスにあなた用の食事を預かってるわ。よければ私も相伴に預かってもいいかしら?」
ロゼちゃんとお喋り!嬉しいかも!お腹もぺこぺこだし早速ご飯ご飯♪
意気揚々と宿に戻ればいつもより食堂の人が少ない気がした。
「今日はマーテル様が買い出しに行ってらっしゃるので配膳担当の子供達も調理担当に移ってるんですわ。いつもはメモをもらって他の者が買い出しに行くんですが今日はどうしても自分の目で見たいとおっしゃって。マーテル様も毎日働いて子供達みんなの母代わりになって。少しは休めばいいのに…」
あの元気でハツラツな人か。確かに食堂のおばちゃんみたいな印象で不思議な圧があった。私も何だか勝てる気がしないや。
「ねぇ、…ここの子供達も、大人も、みんな一人ぼっち?」
私の手を握るサーシャちゃんの力が少し強くなった気がした。あ、サーシャちゃんの前では聞かないほうがよかったかもしれない。頭を撫でてあげる。大丈夫、私がいるよ。
「私達がいますわ。」
私の思った言葉とシンクロするように声が聞こえて少しびっくりした。私の心の声が漏れてしまったのかと思った。
「血のつながった家族は残ってない、家も国も何もかも失った者ばかり。それでも私達がいます。あの子達は寂しい思いも、辛い思いも、これ以上はさせません。私が守って見せます。」
前を歩いているせいで顔は見えないけれど、キッパリと、確かに力強く、ロゼちゃんは言い切った。
「…何かおかしいですか?」
あ、ちょっとにやけてしまってたみたい。慌ててほっぺたをグニグニ撫でて何とか表情を戻す。
「あ、ごめんね、その笑ったんじゃなくて、何だか…ロゼちゃん、マイくんに似てるな〜と思って?」
怪訝だった顔が更に歪んだ。そ、そんなに嫌がらなくても。
「一応聞きますが…具体的には?」
えー…具体的とか言われてもなぁ…
「…優しいのに素直じゃ無いところ?」
今度はサーシャちゃんまで少し微妙そうな顔をする。えっなんで?
「…一応聞きますが、あなたあの男に騙されてはいませんわよね?」
えっ?確かに口は荒いし意地悪だしほんのちょっとだけ捻くれてるけど…優しいよ?
何故かロゼちゃんに両肩を強く持って揺さぶられた。
「いいですわね?あの男に何かされたらすぐに私に言いなさい。必ず蹴り倒しに行ってあげますわ。」
ほら、やっぱりロゼちゃん凄く優しい。
「私も何かあったらロゼちゃん助けに来るね!!」
何故か凄く大きなため息を吐かれました。何で〜?




