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※加筆修正した物を別で投稿し直し始めました※ 破壊神と呼ばれた私は  作者: 米田いすき
第一章 幼き母と子守唄
19/81

18 サーシャちゃんが心配で心配で…



壁を駆け上がるくらいなら全然余裕だとは思ったんだけど、まさかなぁ…自分でもちょっと驚く。ほんの少しだけ本気で駆け上がったらちょぉ〜っとだけ飛びすぎたかもしれない。

目の前には太陽があって眩しすぎて目が痛いし、かなり下には見上げるサイズだった森の木々が手のひらサイズに見える。

あ、さっき私たちがいたところに蜘蛛がうじゃうじゃいる…やっぱあんだけいると気持ち悪いね。あれだけいたら何日分のご飯になるかなぁ…ちょっとお腹空いてきた。


そんなことを考えている間にまた木も地面も近づいてくる。


あ、


「マイくん、着地どうしよう。」


思ったよりも高く飛びすぎたかも。私は大丈夫でもサーシャちゃんがマズイかもしれない。いつも冷静なマイくんの珍しい悲鳴を聞きながら声をかけてみた。私にかなりしがみついてるけど声聞こえるかな?


「何も考えてねぇのかよ!!アホ!!!!」


喉が潰れるんじゃないかと思うような大声でマイくんが叫ぶ。二つの意味で耳が痛いので耳元で叫ばないでくれるとすごく嬉しい。


「あぁ!クソっ!!!〈風の祝福 エアプロテクト〉!!!!」


目の前に木々が迫った瞬間にふんわりと体を包むような優しい衝撃が体を包んで、気がついたら地面に立っていた。サーシャちゃんは⁈あ、無事そう。よかったぁ〜。


「よくないだろうがバカ!!!」


頭に何か当たったので前を見るとマイくんが手を抑えている。あー、叩かれたのか。

手…大丈夫?


「おい、さっさとおろせ!!」


痛そうに手を抱えながら叫ぶのでとりあえずその場に下ろした。…なんで離れるの?


「とりあえず近くに水場はあるか?」


あれ、怒り治ったのかな?良かった。


「…ちょっと先に川の匂いと音がするかも。」


斜め右の方向を指差しながら鼻を動かす。


「わかった。一応できる限り壁から離れたいしそこまで行ってから野営地でも建てよう。説教はそれからだ。」


あ、終わってなかった。よく見たら顔がピクピク動いてる。説教長そうだなぁ…

周りを見ると見上げる木々は薙ぎ倒されて地面には大きなクレーター。あれ?なんか壁も大分遠いしもしかしてかなりぶっ飛んだ?


「〈風の祝福 エアラック〉」


またマイくんが魔法を唱えると薙ぎ倒された木が浮いて細かい枝や葉が整えられて消えた。多分マジックボックスに入れたのかも。うわぁ、小さな竜巻みたいなのができてボコボコだった地面が少し整地された。マイくんすっごい!!!


そんな風に騒いでみても遠くの壁から聞こえる大分不穏な音が耳から離れない。気持ち悪い胸騒ぎがして本当は私も早くここから離れたい。あの衛兵さん達大丈夫かな…壁が壊されそうでちょっと心配かも…


「おい何ぼーっとしてんださっさといくぞ。」


見るとマイくんが小さな姿になっていた。

え⁈なに⁈ご褒美⁈


「早く抱えろ。」


どんなに偉そうな口調でも小さいだけで本当に可愛い。あ、もしかして大人の姿で抱えられるのが嫌だっただけ?別に気にしなくていいのに。

とりあえず下手なことを言うと後々の説教が長引きそうなので素直にマイくんを抱っこした。あぁぁあかわいいいぃいいい。


それから20分くらい走ってようやく川べりに着いた。草木が少ない岩っぽい場所だったけど水は綺麗だし魚もいそう。うん、最高!!


私から降りたマイくんはまた大人の姿になって着々といつもの休憩所みたいな小屋を作る。あーあ…子供姿のマイくんに怒られたかったな…


「おい、サーシャを下ろすぞ。」


身体に巻きつけていた布をゆっくり取ってマイくんに支えてもらいながらサーシャちゃんを下ろした。あれ、首元に見覚えのない黒い布が結んである。まぁオシャレだしリボンが可愛いしいいか。


「…呼吸も脈も安定してるし顔色も戻ったな。とりあえず大丈夫そうだ。」


何枚かの毛皮の上に毛布のような布を敷いてその上にサーシャちゃんを寝かせる。マイくんがまた片手をサーシャちゃんのおでこに翳して何かしてる。白金に光ってるしこれも魔法なのかな?やっぱ魔法っていーなー便利そうで。


「…魔獣の魔力に当てられたか?いや、それにしては症状がおかしい…神子だから…いや、だからといって…」


何かぶつぶつ呟いているマイくんを置いてそぉ〜っと小屋から出ようとしたんだけど


「おいコラどこいく。」


こっちをみてないはずのマイくんにすぐバレた。頭の後ろにも目あるの?


「座れ。」


足元を指差しながらニッコリと笑うマイくん。怖い。


「す わ れ 。」


笑顔が怖すぎて何も言えないまま足元に座る。


「ここで声出したらサーシャちゃん起きちゃうんじゃないかなぁ…?」


一応提案してみる。


「サーシャの周りに防音壁張ったから大丈夫だ。」


はい、だめでした。

その後の説教?もちろん怖かったです。ニドトヤリマセン。




「…さて、こっからの流れも決めねぇとな。」


どこから出したのか木のコップで水を飲みながらマイくんが一息つく。私はおそらく1時間、体感で半日ほど怒られ続けたため疲労で死にそうです。おかしいなぁ、森を突っ切って一日中走った時の10倍は疲れた。


「今俺たちがいるのは壁を抜けた始めの領地、〈カナロム〉って国のはずだ。通称〈花の都 カナロム〉。四方を山に囲まれた小さな国だが国と国をつなぐ観光国として有名だな。」


花の都かぁ…文字通り花がいっぱいあったりするのかなぁ?観光地なら絶対綺麗だ〜。

…あれ?


「マイくんどうしたの?」


マイくんの顔がずっと何かを考える素振りなのか眉が上がっている。


「…いや、何でもない。とにかくカナロムは小さいが色々な交易が混じった栄えた国のはずだ。観光のために様々な人がいる分俺たちも目立たないだろう。…そこに行ってから色々揃えよう。」



そう言いながら旅立ってからここ数日定番の食べ物が並べられる。おぉ〜お腹空いてたから嬉しい!いただきます!


「マイくん、こっからの作戦は何かある?」


おそらく元はウサギであっただろう炙られた肉を頬張りながら一応聞く。何かあったら言ってくれるとは思うけど先に聞いておかないと忘れちゃいそう。


「いや、壁の内側に入ればそれほど難しくはない。一応街中に入る門はあるがほとんど開け放たれてるし門番といえる門番もいない。このフード被っときゃただの冒険者程度にしか思われねぇだろ。」


濃いベージュのマントのような物を投げて渡される。あ、フードの端とか袖とかに何だろう…なんか紋様みたいなのが縫い付けてある。刺繍かな?細かいよねぇこういうの。

うーん…それにしても…何だろう……


「地味…」


「目立たねぇためのもんが派手でたまるか!」


とはマイくんの言葉である。まぁ、それも確かに。

早速着てみよっと。着るというよりも被るが近かったかも。あ、なんかいいかもこれ〜!


てるてる坊主状態でその場でクルクル回っているとマイくんから盛大なため息が聞こえた気がした。あとボソッと「ガキかよ…」ってのも聞こえた!失礼な!!


「はぁ…元気ならさっさと出よう。大分壁から離れたとはいえここに長く留まるのも良くないだろう。」

 

あんなに長いこと説教したのはマイくんなのに⁈とは口が裂けてもいえませんでしたはい。


「…サーシャちゃん起きないね。」


テキパキと片付けをしているマイくんを横目にサーシャちゃんの隣に座る。クゥクゥと小さな寝息がしているので一応安心はしているけど…


「原因は分からんがおそらくまた神子の力でも使ったんだろ。前に不死鳥に乗ってきた時も数日寝てただろーが。大丈夫だ。」


こっちに目を向けることなく平然と言いのけるマイくんに少しだけ安堵した。そうだよね、前の時もいっぱい寝てたし多分大丈夫だ。


「おい、こっち来い。サーシャ括るぞ。」


蓑虫みたいに布で丸められたサーシャちゃんをまたおんぶする形で背中に括り付ける。その上からさっきのマントをかぶれば何か背中に抱えてるのかなぁ〜とは思っても人がどうかもわかんないと思う。…これ暑くないのかな?来る時の椅子に座らせた方がいいんじゃないかな?とも思ったけど走ってガックガック揺れるよりもマシかもしれない。


「ん。」


準備が終わるとまた子供の姿のマイくんが両手を伸ばしてきた。んぁぁああ〜〜かわいぃいいいいい♡


マイくん最初の抱っこ紐はどうしたのかな?あれの方が安定するんじゃないかな?とは思うけど多分あれも嫌だったのかもしれない。私は抱っこできたらどっちでもいいけどね!


「あそこに見える山の方角に向かって走れ。また門が近づいてきたら言う。」


それだけ言って肩にもたれて目を瞑った。顔が近い…ほっぺぷにぷにかわいいぃ…

ちなみにお姫様抱っこはウジムシを見るような目で全力拒否されたので右腕に座らせるような形で抱っこしてます。でも身体強化って魔法をかけてくれてないと抱き潰す自信しかないから他の人は抱っこできないなぁ…私の抱っこはマイくんの専用だね!!


「じゃあ行くね。」


寝ている2人を起こさないように小声で声をかけてからゆっくり走り始める。この世界に来てからはじめての国だ。どんなところか楽しみ、だね!

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