第22話 恐怖のブタ将軍
メスのオークジェネラルに、熱烈なキスを浴びせられるギザン。
何かを吸いつくされたか、精も根もつきている。
「うっ、うっ、許し、て。グベッポ」
傷がないのに、HPが激減。キスがこんな強烈な攻撃になるなんて。
もしかしたら、エナジードレインの効果があるのかもしれないぞ。
あまりの衝撃に、僕の意識も飛んじゃいそうだ。
「ワンちゃん、どうしよう? アレやられるの嫌だぎゃ」
「マスター、私も震えが止まりません」
オークジェネラルの登場で、すっかり緊張の毛色が変わってしまった。
ただ、いくらメスだとしても、そのちからは強大だ。気を抜くことはできない。
「ブヒヒヒッ、人間がここまで素敵とはね。よーし、この一帯を制圧して、人間の男という男を、すべて私のものにしてやるだわさ」
その野望にみんな恐怖を覚えた。これは一種の精神攻撃だよ。
「おやおや、震えているのかい? 怖がらなくていいんだよ。悪いようにはしないからさ。
そうさね、女はミンチ。男は首輪をつけてペット。ブヒッ、楽しみだわさぁ」
ギルドメンバー全員が悲鳴。
「正気の沙汰ではない。誰がブタに屈するものか」
特にギルド職員さんの拒否反応が強く、喰ってかかっている。
「おや、ソコソコの男だね。ダーリンには敵わないけど、ペット1号に決定だわさぁぁぁ」
オークジェネラルはそう言うと、職員さんに目をむけながら、ギザンにまたキスをした。
――ぶっちゅ~~~!
ギザンはピクピク痙攣し、職員さんは呪いの言葉で絶叫。
「あ、あいつ、逆ハーレムを作るつもりだ。ギルドに、いや、国に報告をしなければ!」
「させないだわさっ!」
ジェネラルがピンクのムチをふるい、職員さんを絡めとり、あっという間に手元に引き寄せた。
そして。
――ぶっちゅ~~~、ぶちゅ、ぶちゅ。ベロベロベロロロ~ン。
「ぎぃゃーーー、くっさ。おっ、おぇぇえぇぇぇえええええ!」
「ふん、いまいちだわさ。やっぱりダーリンだーわーさー」
――ぶちゅ、ベロン、ベロロロロロロロロロッ。
ギザンは意識がないはずなのに、ビクンビクンと反応している。
そのおぞましい光景に、ギルドメンバーは泣き出した。
「もうやめてあげて、私達を解放してよ」
女性メンバーの悲痛な叫び。
「何をやめるって言うの。これからが楽しいんじゃない。ねっ、あなたも楽しみなさいよ。あっ、あんたはミンチだったわね。ブヒヒヒ、さぁて、私の伝説が始まるだわさ!」
本気で人類の全ての男を囲うつもりだ。
「はぁ? ナイスな男だけに決まっているだろが! ブサイクを集めても、肥やしにしかならないだわさ」
みんなは思う、その顔で言うんだって。
それは置いといても、その暴挙は見過ごせない。
「よく喋るブタだぎゃ、これ以上の下品な振る舞いは許さんぎゃ」
エブリンが前に出て、みんなに勇気を与えた。
そしてジェネラルを指差し、ポーズをキメる。
「そして、人類の宝、ワンちゃんは私が守るぎゃ!」
そう言って、僕の盾になるよう両手を広げた。
「プッ、そんなモヤシいらねぇよ。カッスカスで味しねぇわ。もっと濃くて、とろけるようなオスがいいんだわさ」
オークジェネラルが、吐き捨てるように言った。
これには僕も痛恨の一撃、膝から崩れ落ちた。
「も、もやしか……」
「マスターしっかり。あんなの気にしないで下さい」
イオナがキッと睨み付ける。
「カッスカスって誰のことですか、返答次第では容赦しませんよ!」
「プハッ、ブヨブヨがカッスカスを庇うかよ。何のお笑いよ、優勝決定だわさぁ」
ジェネラルの煽りに、イオナは激怒。
禍々しいオーラを全開にし、クチから瘴気が出そうだよ。
そこにエブリンが入った。
「ブヨブヨはいいけど、ワンちゃんを侮辱するのは許せんぎゃ!」
「ヒィィィ、今度はチビチビゴブリンかい。ちっちゃすぎて、見えないよ。ってか、弱っちいゴブリンがオークに勝てるとでも? 歴史を学んで、出直しな!」
エブリンとイオナの怒りのボルテージは、急上昇。
たけど、ジェネラルは舌を出して、構わず続ける。
「ブヒー。後ろのくっせぇモヤシは、いつまで隠れているんだい。そんなに恥ずかしいのなら、土の中にでも隠れていな。それが社会の為だわさぁぁあ」
最後の言葉を言い終わらないうちに、2人が動いた。
――バッチーーーーーーーン!
目にも止まらぬ早さで、両サイドから、ツッコミビンタをお見舞いした。
S級ビンタのサンドイッチで、オークジェネラルの顔は崩壊している。
「「ご主人様はいい匂いよ!」」
と、2人からステレオで聞こえた。
「えっ、そこなの?」と僕。
「当たり前です、それが何より大事ですわ」
よく分からない怒りの沸点だね。
オークジェネラルは白目をむいて、そのまま崩れ、ギザンは放り出された。
ふぅ、終わったみたいだ。
またもや桁外れの戦闘力で、解決しちゃったよ。




