第15話 冒険者ギルドでのひと幕
一時間ほどで解体の見積りが終わった。
現場のみなさんにアイサツをして、ここを後にする。
「おう、次はドラゴンか古代種を頼んだぜ。小っちゃな王さま」
むぐっ、変なイメージがついちゃった。もうどうしようもない。
「はははっ、古代種ですね」
気を取り直して、僕らは表の換金所にむかった。
さっきは失敗したけども、ここではお金を受け取るだけ。
目立つことは何もないし、パパッと済ませばいいだろう。
順番がきたので、受付嬢さんに書類を渡した。
「はーい、換金ですね。札を預かりまーす。えーっと、……に、2億G? ちょっと、ちょっとウソでしょ!」
ギルド内がザワついている。
驚くのは分かるよ、人の何年分もの稼ぎだもんね。
でもさ、声が大きいよ。いまので注目を集めちゃった。
「ワンちゃんが一番目立っているぎゃ」
「もう、言わないでよ。さあ、行くよ」
僕は顔を伏せ、お金を受け取ると、出口に向かって早歩き。
そして、もう少しの所まで来たんだけど、行く手を阻まれた。
「へっへっへ、おい坊主、景気いいじゃねぇか。優しい先輩が色々教えてやるから、こっちこい」
「ウゲッ!」
しまった、口ぐせになったかも。
どう見ても悪役顔、なんて分かり易い人なんだ。
マンティコラに比べたらカワイイものだけど、悪意がにじみ出ていて、カッコ悪い。
「すみません、ちょっと急ぐので失礼します」
ヘタに騒ぐと、エブリンとイオナが反応するし、出来るだけ穏便にすませたい。
「だったら、金と女を置いていきな。それでみんなハッピーだ。へっへー」
(可哀想にあの新人、Bランクのギザンに絡まれているぞ)
(うわ、アイツしつこいからな、終わったな)
心配するなら、止めて欲しい。カウンターを見ても、目を背けられる。
うっ、この人、よっぽどヤバい人なのかも。
「ねぇねぇ、ワンちゃん。この人コジキなの? 可哀想だから1枚やるぎゃ」
哀れみの目でみるエブリン。それを呆れたイオナが訂正する。
「違うわよ、アレはただのクズ。マスターのお金を奪おうとしているのよ」
「ええっ、あんな弱そうなクセに? 意味がわからんぎゃ」
「だからクズなのよ。自分の無能さを解っていないの」
「なるほどー」
2人が仲良くなったのは良い。でも煽りのコンボは良くないよ。
「なんだとーこのアマ、その生意気なクチふさいでやるぜ」
男はイオナの腕を取ろうと手を出したが、スッコーーーンと投げられ、壁に激突した。
「イオナ、手加減しないと死んじゃうよ。それに弱いものイジメはダメだよ」
「ごめんなさいマスター。つい勢いがつきました」
「だ、誰が弱いだ、クソガキめ。そのカワイイ顔をズタズタにして殺してやる」
この人立ち上がったよ、思ったよりタフなんだ。
感心していると、背中にただならぬオーラを感じた。
さっきの言葉に2人が反応したようだ。
「ズタズタですって?」
あっ、イオナがめっちゃキレている。
「誰が誰を殺すだって、もう一度言ってみろぎゃーーーー!」
エブリンもだった。
ゴゴゴゴッゴゴーーーッと、禍々しい殺気のオーラを撒き散らす。
煮えたぎる怒りの炎を眼光にのせる。
「ウラアアアァァァアアア!」
すると周りの関係ない人まで震えだし、泣く者や、過呼吸になる人が続出。
そして、みんな同じ姿勢をとりだした。
そして、イオナのダメ押しが炸裂。
「お前の血が何色か見てやろうかぁぁぁああぁぁぁあ!」
「ごぉぉめんなさいぃぃぃいいぃぃい!」
みんなブルブル震え、揃って大土下座。
と、さっきの男は立ったまま失神。
「ふん!」
S級とAAA級の本気の威圧だもん、ビビるよね。
すると調子に乗ったイオナが、イスに片足をダンとのせて見渡した。
「あなたたち、このお方を誰と思っているの。唯一無二のネームドテイマーにして、ナデナデの王。ワンダーボーイ様ですよ。頭が高い、控えなさ~い!」
「ははぁ~~~~~~~~っ」
……まただ、またやってくれたよ。せめてナデナデはやめてよね。
恐怖のインプットとしては成功だけど、嫌われ者か変質者になっちゃうよ。
はぁ、今後がやりにくくなるし、ちゃんとフォローをしておかないと。
「あの~、みなさん?」
「ヒィィイィィィィ!」
「怖がらせて、ごめんなさい。2人に悪気はないんです」
「ヒィィッ、滅相もございません。ごめんなさい、ごめんなさい、許して下さいぃぃ」
こりゃダメだ、みんな恐慌状態になっているよ。
う~ん、人で試した事はないけど、一度やってみるかな。
「これで気を楽にして下さい。状態異常回復《1/神》」
優しい澄んだ光が、みんなの頭に降り注ぐ。
そして、じんわりと染みていき、ようやく効果があられた。
「はぁっ、はぁっ、あっ、震えが止まった」
みんな顔色が徐々に良くなり、成功したようだよ。
もう一度、きちんと謝っておかなくちゃ。
「本当にウチの子たちが、すみませんでした」
「いいえ、俺らもヤツを止めなかったし、反省しています」
良かった、なんとか話ができた。ここはもうひとつ踏み込んでみるか。
「あの~、僕ワンダーボーイって言います。これを機に良かったら、仲良くして下さい、ニコッ」
「は、はい、是非喜んで!」
さっきまで、後ろに隠れていた女性冒険者たちが前にくる。
と言うことは、誤解もとけて、みんな安心してくれたって事だ。
(ワンダー様って笑うとカワイイ。うん、いいかも)
んん? なんか変な感じだけど気のせいか?
◆ピコーン(ステータスアップのお知らせです)
状態異常(回復、付与率)《2/神》
おお、スキルアップもなんだか調子いい。
このまま、どんどん行っちゃおう。
【ぜひ作者に勇気を与えて下さい】
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