幕間
『人間で言うところの探知……だっけ?
あなたのそれ、探知範囲狭すぎでしょ。
どうして時間稼ぎされてるっとことに気がつかないかしら……』
『なぁに? 初っ端から怒られるとは思わなかったって?
怒るに決まってるでしょ、あなたが死ねばあたしだってね……。
ああもう、どうせ死なないってのはわかってるわよ。けど……心配じゃないの』
『……とにかく、あたしのおかげで助かったんだから感謝しなさいよね。
……。ふん……まあいいわ。ちゃんと心がこもってたし。
次は助けてあげないんだからっ……ば~か♪』
『さてと、ようやく人間が出てきたわね。
戦ってみてどうだった? あの程度の相手なら、どうってことはないでしょう。
なんたって、C級相当の霊威しかないとはいえ、あなたには技術がある』
『まあ、戦えてB級。A級が限界ってところね。
どれだけ優れた技術を持っていても、それ以上の前では児戯。
質で覆せる量ってのにも限度がある。一定以上のレベルの戦いにもなると、質より量なのよ』
『だからS級にはどう足掻いたって勝てない。つくづく、あたしに感謝して欲しいわぁ。
……なによ、その顔。もうその話はいいって?
わかったわよ、じゃあ有意義な話をしてあげる』
『あなた、人間は殺せる?』
『躊躇ったでしょう、殺すの。この先も躊躇うの?
元人間だからとか甘いこと抜かして、殺されそうになってるのに殺さないの?
ああ、それともあれ? 殺されたから殺さないって?』
『反吐が出る聖人思想なんて捨てなさいよ。あなたは、魔物なんだから』
『……そうよ。やってることはどちらも一緒。ただ立場が変わっただけ。
迷ってる時間がもったいないわよ。迷ってたら死ぬ。
近いうちにまた冒険者と出会すかもしれない。
当然よ、S級を追い払ったんだから』
『今度は万全の状態で殺しにかかってくる。
S級相手に、あなたは仲間を守りながら生き抜かなければならない。
それが嫌なら、仲間とは別れなさい。死ぬなら一人で』
『仲間の命を預かるという、責任の重さを知りなさい。
まあ、その仲間に殺されたあなたには皮肉にしか聞こえないかもだけど』
『けれど、あなたはどうしたって人間には戻れない。戻れないのよ、キリカ。
だから魔物として生きなさい。
魔物として、誇り高く……魔物にも矜持はある。人間と同じく、生きているのだから』
『戦う覚悟はできた? なら幾つか、アドバイスをあげる。
迷宮の奥へ進みなさい。どのみち、それしか残された道はないわ』
『それと、戦って戦って、霊威を上げて強くなりなさい。
その先にある進化に耐えられるよう……自ずと連戦が続くわ。
それを好機だと思って、勝ち抜いてやりなさい』
『……そして最後に……怪しいと思ったところには踏み入れなさい。
これが一番大事なんだからねっ?』
『んー、ちょうどいい時間ね。もう夢が醒める時間。
あたしがどれだけあなたに話しかけても、説教しても、
きっと目覚めたら忘れてしまう……歯痒いわね』
『……え? 忘れてないこともあるって?
た、例えば……なによ?』
『覚えてない? どういうことよ……え?
感覚……? 言葉にするのは難しいって?
ふぅん……まあいいわ』
『ともかく、頑張りなさい。
あたしは、まだあなたの応援しかすることができない。
S級を寝落ちさせるのに、数百年貯めた魔力を使っちゃったし……次は無理よ』
『だから、頑張って。
早く会いにきなさい、キリカ♪』
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