0章 2話
こんにちは。
二話目です。
今のところいいペースで投稿できているのでペースを保ちたい…………。
はじめての戦争の結果。
僕は捕まった。
結果だけ見ると、僕の国のぼろ負けだった。
何せ、大将が捕まったんだから、どうやっても勝ちにはならない。
僕のための、近衛隊? みたいなのも、一瞬で倒された。
どうやら相手に一騎当千の騎士がいたみたいで。
多分、僕もその人に捕まったんだろう。
多分、というのは気づいたら捕まってたから、良くわからないんだ。
それだけ相手が強かった。
そんな強国に戦争を仕掛けても、秒殺される。
だから奇襲を仕掛けることにした。
大臣達も、実力差とかその辺はわきまえているみたい。
そもそも、奇襲って言うのは、決まるとすごいけど、かわされたりバッチリ受けられると攻めた側が悪くなる、そんな方法の事を言う。
今回、奇襲自体は成功した。
相手の準備ができていなかったこともあり、はじめは快進撃が続いた。
でも、そのうちに相手の国の領地に誘い込まれた。
そして、気づいたときには、囲まれていた。
そこからは…………まあ、察しの通りだ。
つまり、相手の方が質も数も、おまけに作戦も上だったって事。
まあ、勝てるわけないわな。
で、現状。
一応僕も一国の王なのでそれなりの扱いだが、いつ処刑されてしまうかわからない。
大臣達も、お金を払ってまで僕を助けるとは考えにくいし。
この状況は、四面楚歌。
八方塞がりだ。
うーーん、せめて一言。
「是非に及ばず」
「ん、何かいったか?」
見張りの兵に聞こえてたみたい。
「あぁ、いや、何でもないよ」
そう僕が答えた瞬間。
僕の居るテントにひとが入ってきた。
「お前の処刑が決まったぞ」
ああ、やっぱりか。
覚悟していたとはいえ、辛いな。
こういう状況だと、何故か未練ばかりがつのっていく。
もう少し強くなりたかったな、とか。
もう少し遊びたかったな、とか。
もう少し国民のためになにかしてあげたかったな、とか。
それから。
大臣達に眼にものを見せてやりたかったな、とか。
でも、もうそれらも、今となっては。
未練であって果たせなかったことでしかない。
意味をなさない。
あと、そうそう。
これだけは。
可愛い子と仲良くなりたかった。
うん。
これは切実にそう思う。
だって、形だけでも魔王なんてやってると出会いなんて全くない。
だから。
来世なんてものが本当にあるのならば、是非是非出会いを与えて欲しい。
神様。
お願いしますよ?
マジで。
処刑台に連れてこられた。
あれだけ嫌だったはずの「死」も、間の前にしてみると、笑えるほど小さなことだと思えてきた。
ああ、僕はこれから死ぬのか。
そう思うと。
いろいろな気持ちがこみ上げて来た。
寂しさ。
無念。
悔しさ。
そういった感情でぐちゃぐちゃになった僕の心は、今になって「涙」という気持ちをこぼした。
ぬぐってもぬぐっても止まらない。
ああ、こうして泣いたのは何時ぶりだろう。
この戦争が決まったとき?
大臣に魔王の座を奪われたとき?
母が死んだとき?
父が殺されたとき?
それとも、魔王のスキルを持っていると気づいたとき?
いや、どのときも泣いてない。
もしかすると、生まれてきたときぶりだったりして。
いや、まさかね。
「落ち着いたか?」
有りがたいことに、泣き終わるのを待っていてくれたみたい。
最期のさいごまで迷惑かけっぱなしだな、僕は。
「うん、もう大丈夫。ありがとう」
涙をぬぐって立ち上がる。
さあ、最期は綺麗に終わろう。
「立派だな」
そう声が聞こえ、振り向くと、見たことのある顔がいた。
えっと、確か―――――。
そう、隣国の王様だった。
前に顔写真を見たから思い出したんだ。
この人は、めちゃくちゃ強いはず。
なんたって、七眼の一人だからね。
「最期まで堂々としている。それでこそ魔王。このような人物が我が国にもほしかったんじゃが。残念じゃ」
僕を寝返れと誘っても、断るという意思を悟ったのか。
王はそんなことを呟いていた。
そして、多分その会話を聞いたものは僕たちの他にはいないと思う。
それほど小さな声だった。
静かに処刑台に歩みよった。
不思議なことに走馬灯とやらは見られなかった。
そして、ギロチンの刃が迫ってきて――――――。
僕の意識は消し飛んだ。
その日、魔王の国には、第39代魔王が亡くなったということと、第40代内閣が組織されたこと、それからその構成が伝えられた。
国民は悲しんだ。
一人の人が亡くなったということに。
国民は安堵した。
悪政を行う魔王がいなくなったことに。
しかし、国民はまだ知らない。
悪政を行っていたのは魔王ではなく大臣だったということに。
国民はまだ知らない。
これが革命の始まりになることを。
そして、国民はまだ知らない。
新内閣に魔王の肩書きの者がいないということを――――。
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種:魔王
名:なし
Lv:3(死亡)
HP:0/200
SP:0/180
MP:0/50
スキル:魔王 火球 水球 防火壁防水壁 闇球
魔王様、亡くなってしまいました。
しょうがないので大臣か隣国の王様の物語にでもしますか(冗談)。
大丈夫です。
続きますよ。
ということで、次話もお楽しみに。
そうそう、次から一章です。
本編が始まりますよー!