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魔法の……
「魔法の存在が大衆に認知され、学問として定着してから70年程経つ」
「そうですね」
「それまで辺境の一族や一部の宗教団体の深部が細々と研究していた魔法は、広く知られた事で才能ある者も多く拾い上げ、飛躍的な進歩を遂げた」
「なるほど」
「最初期はひたすらに魔法の発見、創造が繰り返された。既にあった魔法は少ないため系統化もされておらず、理論もなかった為に思いつきのような研究が殆どだった。だが──」
「だが?」
「系統化が進み、技術が上がるに連れ個人の持つ魔力の総量が壁となった」
「どういう事ですか?」
「新しい魔法の発動に必要な魔力が個人の魔力量を超えるようになってしまったんだよ。その為に全ての魔術師が『魔力』とは何で、どのようにして体内に貯蔵されており、どうやって回復しているのか、またはどうやって総量を増やせるのかという原点に立ち直らなければならなくなった」
「なるほどお」
「そしてその研究は今も尚続けられている」
たまには、異世界物を