この前
「この前、家族でホテルに泊まったんだけどさー」
「んぅ?」
「俺と家族は4階の部屋だったんだよ」
「へえ」
「ホテルはすごい良くてさ、プールでかいし飲み物飲み放題だし飯も美味い」
「いいなぁ」
「一番良かったのは風呂かな。種類が豊富でサウナだけで4種類あった。特に露天風呂が最高。海に面しているんだけど月が出てて、綺麗だった」
「めっちゃ良いじゃん。羨ましい」
「気持ち良すぎて1日で5回入った。ただ、5回目の夜中に入りに行ったのがまずかった」
「え、なんかあったん?」
「風呂がいけない訳じゃ無くて、時間帯が悪かった」
「何時に行ったの」
「11時」
「え、全然じゃん」
「そう思うじゃん?」
「うん」
「俺の家族の部屋のある廊下には、突き当りに非常出口があるんだよね。大抵そういう出口って全面窓ガラスのイメージない?」
「ああ、確かに」
「そのホテルの非情出口も例にもれず窓ガラスだったわけ」
「う、うん」
「俺が風呂から戻ってきた時、ガラスには俺の影が写り込んでいた。俺が歩けば、その影も歩く。俺はその当たり前のことを当たり前に受け止めて部屋に向かった」
「………」
「部屋の前にたどり着いた俺は鍵を取り出してドアノブに挿し込んで気がついた」
「……ゴクッ」
「あれ、まだ、歩いてなかった?」
「ヒッ」
「俺は急いでドアノブを回し、部屋に入ろうとしたがドアノブが回らない」
「ヤバイヤバイヤバイ」
「焦った俺は思わず横を見て、ナニかと目があった」
「あああああ」
「で、気付いたら、部屋の布団で寝ていた」
「………え、それ、だけ?」
「うん」
彼女の、目の前にいる彼は
ダ デ ウ
レ
ショ
?




