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異世界でスキル『インターネット』をもらいました  作者: ゆうじ
第1章 いきなり異世界転移
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5.ホーンラビット初討伐

評価いただきまして、ありがとうございます。

 翌日、冒険者ギルドで薬草採取の依頼を受けようとしたら受付のお姉さんから。


「昨日のようにホーンラビットも狩る様なら、常設の討伐依頼も同時に受けてはどうですか?常設依頼なら失敗しても違約金はかかりませんよ。上手く狩れたらそれだけ儲けられます」


 と、アドバイスをいただいた。バルトとギルベルトは恥ずかしそうに俯いている。2人は薬草採取をしないから、同時に討伐依頼を受けられるとは知らなかったらしい。

 ははは、もっと薬草採取を崇めるがいい。


 同じく常設依頼のはぐれゴブリンやフォレストウルフ退治の依頼も受けて、昨日と同じく薬草採取に向かう。


 昨日と同じフォーメーションで警戒をしながら薬草採取をする。幸いな事に、今日は魔物とは出くわす事は無く、俺は密かにほっと胸をなでおろしていた。今日はもう帰って宿屋で夜まで槍の特訓だ。


・・・・・・・・・・


 パーティを組んで薬草採取をするようになって3日、まだ魔物と出会う事は無かった。夕方、冒険者ギルドで薬草を納品した後にバルトとギルベルトに提案したい事があった。


「なあ、明日は依頼を受けずに休みにしたいと思うんだがどうだ?」


「最近、懐があったかいし俺はいいぞ」


 バルトが言うと、ギルベルトも頷いていた。


「それでな、今後も3日働いて1日休むようにしたらどうかと思うんだが」


 これまで、毎日休まずに依頼をこなさないと宿代にこまっていたらしい2人は困惑した様子だった。


「まあ、聞いてくれ。この3日間、薬草採取しかやってない日でも最低でも銀貨2枚は稼いでる。1日休んでも金は余るはずだ。

 なにもベテランパーティのように金が尽きるまでは遊んで暮らそうって訳じゃない。休みの日は訓練をするもよし、体を休めて調整するもよしって訳だ」


「僕は賛成だな。バルトは知らないけど薬草採取ばかりじゃ腰が痛くて」


 バルトも苦笑いしているところを見るに腰が痛かったらしい。慣れると案外辛くないんだけどな。


「じゃあ、3日依頼を受けたら1日休むって事で!」


 俺も、本格的に槍の訓練をしたかったからな。休みの日は、朝飯を食べたらさっそく宿屋の裏庭で槍の稽古をする。武器屋の親父のアドバイスとインターネットで見た、槍の基本動作を思い浮かべながら。突き、払い、大きく弧を描くように穂先を戻して石突を繰り出す。

 熱くなって汗をかいたら井戸から冷たい水を汲んで頭から被って、体を冷やして鍛錬をつづけた。


 日が傾く前まで鍛錬を続けて、銭湯にいって体をほぐす。風呂で体が温まったら、銭湯の中の広くなっているところで体を伸ばしてストレッチをする。利用したことはないが銭湯にはマッサージ師もいて娯楽施設も充実している。


 暗くなる前に宿屋に帰ると夕飯だ。女将さんがシチューを大盛にしてくれる。パンも遠慮なく沢山たべる体が資本だ。自分の部屋に戻ってベッドに横になると、とたんに睡魔が忍び寄ってくる。日本で暮らしていた時に比べて、なんて健康的なんだろう。そんな事を考えていたら眠りに落ちていた。


「「「おはよう」」」


 休みを挟んだ俺達はそれぞれにリフレッシュしたようで顔色も良く冒険者ギルドにむかった。


・・・・・・・・・・・・


 3人で薬草採取を続けてしばらく経ったころ、バルトとギルベルトの二人が俺が泊まっている宿屋に引っ越してきた。

 薬草採取でも安定して稼げる事が分かったから、宿のランクを上げても生活できる目処が立ったのだと言う。


 ついでに宿屋のおばさんに頼んで4人部屋に移してもらった。大部屋なら10日で1人銀貨7枚におまけしてもらったのは地味にありがたくて、バルトとギルベルトが大喜びしてた。


 2人は寝床が藁にシーツをかけただけじゃなく、ノミが居ない清潔なベッド。宿代に美味い飯が朝夕含まれている事に、まずびっくりしていた。


「おまえら今までどんな宿に泊まってたんだ…」


 バルトは目を逸らし、ギルベルトは苦笑いしてた。


 飯時になったので3人一緒に飯を食ったが、バルトもギルベルトも良く食うな。お前ら欠食児童か!特にバルトは俺の倍は食べてるんじゃないかと思うくらい、パンを口につめこんでいた。


「おい、ゆっくり食ってもパンは無くならないほど。たっぷり出してくれるぞ」


「分かってるが食える時に食わないと、と思っちまってな」


 バルトが赤くなりながら、それでもパンを口に運んでいた。


 しばらく薬草採取の日々を送っていたが、ある日の事、薬草採取を始めて程なく一人で警戒をしていたギルベルトが警告を発する。すると、ホーンラビットが5匹も現れる。


 ギルベルトだけじゃなくバルトも弓を構えて既に臨戦態勢だ。俺も油断なく槍を構える。少しはサマになってきただろうか。俺の方に1匹のホーンラビットが向かってきた。


 訓練で繰り返した動きを反復するようにホーンラビットを突き、躱されるとすかさず逃げた方に槍を薙ぐ。

 致命打になる訳じゃないが、確かに体制を整える邪魔にはなっているようだ。数合も槍を繰り出すと防戦一方のホーンラビットは徐々に焦れて来たようすで、体勢を崩した状態から無理やり突進をしかけてくる。


「ここだ!」


 俺は槍の穂先を跳ね上げ、引き戻す勢いのまま穂先を後ろに回す。その勢いで石突をコンパクトに振り抜いた。ホーンラビットに石突がかすめて、ホーンラビットは目を回して後退する。

 すかさず槍を半回転させて構えなおすと、ホーンラビットに向かって穂先を突き出す。


「ピキッ」


 遂に俺の槍がホーンラビットを貫いた!


「やった!」


 初めての勝利に快哉をあげるとバルトとギルベルトがやって来る。


「やったね」


「魔物討伐童貞卒業だな」


 4匹を相手取って危なげなく退治した2人は、俺を観戦していたようだ。ハズカシイ…


 初勝利の日は、冒険者ギルドの報酬は銀貨12枚にもなった。お祝いに宿屋の夕飯にホーンラビットの山賊焼きを追加注文して3人で口を油だらけにして、たらふく食べた。


 俺のホーンラビット初討伐後も薬草採取を続け、俺個人でも通算で10数匹のホーンラビットを討伐して槍の扱いにも随分慣れて来た。


 そうすると、さらに安定して稼げるようになり、バルトもギルベルトも武器屋『角笛の音』で装備を整えていた。俺と同じ、全身革装備だ。バルトはさらに木製の丸い小楯も持つようになった。


「お前等が稼ぐようになって、俺としても稼がせてもらってるよ」


 武器屋の親父がニヤけ顔で言った。


「そういうなら、もう少し負けてくれよ」


「まあお前達も装備を変える時が来るだろう。おいおい値引きしてやるさ」


「たのむぜ。親父」

読んでいただきまして、ありがとうございました。

引き続き読んでいただければ幸いです。

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