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異世界でスキル『インターネット』をもらいました  作者: ゆうじ
第4章 護衛依頼を受けよう
32/83

32.護衛依頼準備:ギルベルトの場合

ブックマークならびに評価、誤字指摘いただきまして、ありがとうございます。

総合評価が300ptになりました。引き続き本作をよろしくお願いいたします。

 僕は自分に課した課題をこなすため、魔術師協会を訪れていた。今の僕の攻撃魔法はマジックボルトだけだ。混戦でも目標だけを狙い撃ちにできる便利な魔法だけど、目標を視界に入れなくては発動できない。

 少なくとも物陰に隠れた相手を狙い撃ちに出来るような魔法が欲しいな。そう思って魔術師協会で受付のお姉さんに相談してみる。


「そうですね。ファイアボールやアイシクルランス、ウインドカッター、アースバレットこの辺りでしょうか。魔力量の多い方ならエクスプロージョンといった大規模破壊魔法もありますが」


「今、活動しているのは森やその周辺が多いですから炎系はマズイですかね」


「そうですね。森林火災にしてはいけませんね。アイシクルランスかアースバレットはどうでしょうか?触媒となるものの持ち運びが楽ですから」


「触媒ですか?」


「そうです。炎系であれば火入れなど火種に出来るものが必要ですね」


「『トーチ』には必要なかったのですが」


「それは発動する魔術の規模にもよりますね。また、熟練の魔術師は少量の触媒で大きな魔法が行使できるそうですが」


「アイシクルランスとアースバレットがお勧めの理由はなんですか」


「触媒の管理のしやすさでしょうか。冒険者の方なら水袋はお持ちでしょうし。土系はそこいらで小石を拾っておいてもかまいません」


「うーん、アイシクルランスでお願いします」


「かしこまりました。銀貨50枚になります」


 僕はアイシクルランスのスクロールを買うと、早速『星屑亭』の裏庭で木的を相手に練習を繰り返す。


「あれ?ギルベルト帰っていたのか」


 ユウトも帰ってきたのだろう裏庭に入って来た。


「氷の槍か」


「うん、貫通力が高そうなのでアイシクルランスを選んでみた。山賊と戦った時に木立に隠れた相手にマジックボルトは当てられなかったからね」


「なるほどぞれで貫通力か、木ごとぶち抜こうって訳だな」


「そう言う事」


「ところで。アイシクルランスが命中して砕けた後の氷って何かに使えないかな」


「何って火を消したりとか?」


「命中はしなかったとしても、砕けて飛び散った破片を吸い込んだりしたら邪魔できないかなって」


「なるほど、試してみるよ」


 僕はスクロールによって頭に刻まれた術式を詳細に工程を分解して理解しようとする。通常であれば槍の形に成形した氷の塊を投射するだけだが、氷の組成を意識して発動してみる。


『アイシクルランス』


 木的に命中したアイシクルランスの飛び散った破片が、ふだんよりも広くキラキラと輝いていたようだ。


「少し、変化があるようだな」


「うん、実用に足りるかは分からないけど試してみるよ」


「そうだな、それにつぎ込む魔力を多くしてみるとかはどうだ?前に『トーチ』どこまで明るくできるか魔力を全力でつぎ込んだ事があるだろう」


「あはは、やりすぎて魔力の使い過ぎで倒れちゃったけど」


「あれは目くらましになったら良いなって思ったんだけどな」


「え、ユウト!『フラッシュ』の魔法を知ってるの?」


「え?あるのか」


「あるけど、あれって『トーチ』の応用なのかな?」


 僕は『トーチ』の術式を頭の中で弄って限りなく発動時間を短くなるよう改変してみた。


「出来そうだ。光を直視しないでね」


 ユウトが地面を見るのを確認して、発動の瞬間目をつぶって呪文を唱える。


『フラッシュ』


 あたりが一瞬、閃光に照らされて僕の瞼を通して強烈な光が感じられた。


「できたじゃないか?」


「できちゃった…」


「じゃあさ、大きな音を出す魔法ってある?例えば膨らませた紙袋を耳元で叩いて破裂させるような」


「『フラッシュ』と同時に使って相手をびっくりさせようって訳だね」


「びっくりどころか、規模次第じゃしばらく行動不能にできるかもだぞ」


「できれば戦力になるね。魔術師協会で聞いてみるよ」


・・・・・・・・・・・


 ふたたび魔術師協会を訪れた僕は、音を出す魔法について片っ端から聞いていた。


「大きな音となると拡声の魔法でしょうか」


「うーん、自分で大声をだすと相手の注意を引きますから狙った位置で音を出す方が良いです」


「そうですね。小石が転がったような音を背後で生じさせて注意をそらすような魔法ならあるんですが…」


「それでお願いします。なんという魔法ですか?」


「『ミスディレクション』と言うのですが、意識誘導の魔法の総称であまり戦闘の役には立たないかもしれませんよ。本来の用途は魔術師が単身で隠形に使ったりするものですから」


「かまいません。いくらになりますか」


「銀貨30枚です」


・・・・・・・・・・・


「じゃあ、やってみるねユウト」


 僕たちは再び裏庭で『フラッシュ』に大きな音を加える実験をしている。頭の中で呪文の構成を再構築して『フラッシュ』と同時に大きな音がするように、前回同様効果時間を極限まで短縮し、音も大きくなるようにする。


「いくよ『フラッシュ』」


 瞬間、閃光と轟音が響く。耳がキーンといって聞こえない。となりのユウトが身振りで成功を伝えてくる。


 次の瞬間、『星屑亭』の裏木戸が先ほどの轟音に負けない音を立てると開け放たれた。宿屋の女将さんが恐ろしい形相で仁王立ちしている。後ろではエリルちゃんが耳を抑えてプルプルしてる。


「あんたら!その音はなんだい!あんまり近所迷惑するなら裏庭を使用禁止にするよ!!」


 女将さんの雷が落ちて、僕達は平身低頭して謝った。その後、この魔法の練習場所は森の近くになった。


「ま、まあ実験は成功したわけだ。それにここなら誰の迷惑にもならない。幸い広いし魔法を発動させる距離も任意に変更出来る訳だ」


「言い訳がましいよ、ユウト」


 女将さんにはこってり絞られた。


「おれじゃない。ギルベルトがやった。しらない。すんだことだ」


「ずるい…」


「ところでだ。この魔法の名前はどうする?」


「どうって『フラッシュ』じゃないの?」


「ここまで改造すれば、もう『フラッシュ』じゃないだろ。いっそ新しい名前を付けて魔術師協会に権利を買ってもらったら良いぞ」


「ユウトの低級マナポーションみたいに?」


 ユウトは頷いて


「黙ってても収入があると新しい魔法が買えるじゃないか」


「秘匿して優位を保つのも一つの手だよ」


「ただなぁ、元になってる魔法はそんなに高位のものじゃ無いんだろ。模倣されるのは時間の問題じゃないか?」


「うーん」


「それから対抗策も考えておきたいな。こんな強烈な目くらまし食らったらたまったもんじゃない」


「そうだね。魔術師協会に権利を売って、対抗魔法を買うよ。後は名前ねぇ」


「『フラッシュバン』でどうだ?」


「単純すぎる気もするけど、まあいいか。権利を売るって初めてだからユウトに付き合ってもらいたいんだけど」


「良いけど、おれも経験豊富って訳じゃないけどな」


 その後、魔術師協会にユウトと行って新しい魔法を作ったので権利を売りたい旨を受付に申し込む。

 魔術師協会の高位の魔術師が立ち合いの下、僕達は森の近くで『フラッシュバン』を使って高位の魔術師の度肝を抜いた。


「た、確かに新しい魔法と認めましょう」


 僧服を着た事務官を相手に契約内容をユウトに手伝ってもらって取りまとめると。こんどは対抗魔法の購入を切り出す。


「これだけの強力な魔法ですから、対抗手段を講じるのも無理ありませんな『アンチマジック』のスクロールです。『フラッシュバン』を契約してもらったお礼に差し上げましょう」


「『アンチマジック』って魔法はどんな魔法でも防げるのか?」


 ユウトが興味深そうに確認している。


「失礼ですが、お連れ様も魔術師で?」


「いえ、彼は錬金術師です」


「ああ、研究狂いの。いや失礼、それなら興味を持たれるの道理もですな。『アンチマジック』で魔法を防ぐには術者が魔法を発動前に体内で魔力を練り上げている所を阻害して魔力を霧散させるものです。ですから体の中で魔力を練り上げる発動の準備を察知して、素早く阻害する必要がありますな。『フラッシュバン』のような発動の早い魔法には、威力の軽減がせいぜいかもしれません」


「大丈夫だよユウト、『フラッシュバン』に関しては僕は世界で一番熟知している。防いでみせるさ」


「魔法の阻害には魔法に対する知識が必要なのか」


「魔力を練るのを察知する必要がありますからな、沢山の魔法をより深く理解していることが『アンチマジック』では重要になるでしょう」


「なるほど。ギルベルト、ガンガン魔法買って防げるようになろうぜ」


「対象の魔法の習熟が必要だよ」


「伝説の賢者のような思考ですな」


・・・・・・・・・・・


 魔術師協会からの帰り、ユウトが聞いてくる。


「弓の方はどうなんだ?ギルベルト」


「魔法に使うお金優先で後回しにしてたよ」


「なら、解決した訳だな」


「そうだね武器屋の親父さんにコンパウンドボウを売ってもらおう」


 使ってみてコンパウンドボウは軽い力で引けて連射ができて、威力も高い。満足のいくものだった。

読んでいただきまして、ありがとうございました。

引き続き読んでいただければ幸いです。

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