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異世界でスキル『インターネット』をもらいました  作者: ゆうじ
第3章 大鹿を討伐しよう
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25.馬車と討伐依頼

ブックマークならびに評価、誤字指摘いただきまして、ありがとうございます。

 移動手段の確保ができた俺達は、再度依頼ボードを眺めていた。割の良さそうな依頼はあらかた剥がされたようだ。残っているのはこまごまとした依頼が多い。

 その中から俺達は一つの依頼を選んで受けることにした。カラドの街のほど近くチノの村で畑をゴブリンに荒らされて困っているから退治して欲しい。というものだった。ちなみに銀貨40枚。


 バルトが依頼を受付で受理してもらっている間。俺は考え事をするフリをしてインターネットで地図検索してチノの村の位置を確認していた。

 いつも薬草採取していた森に面している。距離にして30kmちょっと。徒歩だとやっぱり一日くらいの工程だな。馬車でどのくらいの時間がかかるかはバルトやギルベルトの操車の腕にもよるだろう。


 そんな事を考えている内に馬車を借りに厩舎に行っていたギルベルトが馬を馬車につないで準備を整えていた。


「なあ、ギルベルトが依頼受付した方が良かったんじゃないか」


 まだ、バルトは依頼受付でまごついていた。


「ユウトが行ってあげれば良かったんだけど」


 ま…そうだな。なんせ俺達は同時に受けている常設依頼が多い。今回討伐対象のゴブリンだけで無く、ホーンラビットやフォレストウルフの討伐、ランクが上がったせいで受けられ無くなったがマブキア草以外の各種薬草の採取依頼もついでに受けているのでどうしても受付が煩雑なのだ。


 他の冒険者たちはこんな面倒なことはせずにメインの依頼を受けたら、さっさと出発してしまうようだ。ちゃんと受けてれば結構な実入りになのに…


「今度からはギルベルトかユウトが頼むぜ…」


 バルトがげんなりした様子で戻ってきた。受付が終わったようだ。


「じゃあ、出発するか」


 みんなで一頭立ての馬車に乗り込む。御者はギルベルトが名乗り出た。俺は操車が出来る訳じゃないが、御者台に座っている。ギルベルトから馬車の操車を習おうと言う訳だ。

 ギルベルトが緩やかに馬車を走り出させると、市壁へ向かい、馬車のまま門から出る人の列に並ぶ。


 うーん、スムーズな操車だな。


「ギルベルトは馬車を操るのが上手いんだな」


「これくらいは村の出身の子供は勝手に覚えるものだよ」


「そうなのか?」


「まあ、街道に出て人が居なくなったらユウトに代るから、その内覚えるよ」


「よろしくギルベルト先生」


「あはは」


 順番が来て門番に冒険者ギルドカードを見せると特に質問をされることも無く、通される。さて、どのくらいの速度が出るのかな?


「なにこれ超コワイ」


「そんなに速く走らせてないはずだけど」


 じっさい時速にすれば10キロも出て無いだろう。だが考えて欲しい。御者台ってただの板なのだ掴まるところもあまりない。もちろんシートベルトなんてものもない。ちょっと馬車が段差を踏み越えると弾みで体が投げ出されそうな気がする。


「サスペンションはどこにいったんだよ」


「…ユウト、あんな高級な馬車を貸してもらえるはず無いだろ」


 そうなのだ。冒険者ギルドが貸してくれた馬車は一番小さな安いもの。当然、サスペンションなんてものは付いていない。

 バルトもさっきから尻が痛いとこぼしている。


「ユリア、お尻はいたくないか」


「我慢しています…」


 御者台の怖さに意識をとられて気付いていなかったが、落ち着くと尻が痛い。おまけに振動がもろに伝わってくるので腰にも悪そうだ。

 行商人人生の長さに関わるというのも納得の乗り心地だ。そりゃ金のある商人ならいい馬車に代える訳だ。


 街道に出たら交代するかとギルベルトに問われるが、丁重にお断りした。


 休みの日を使って尻の痛みと御者台の安全対策はなんとかしたいものだなぁ。でも借り物だから勝手に改造する訳にはいかないんだよな。ぐぬぅ。


 ゴトゴトと馬車を走らせていると目的地のチノの村が見えてくる。やっと尻の痛みから解放されるのか。


 結局、チノの村まではゆっくり走らせてもらったこともあって昼過ぎに着く程度の行程だった。今日のうちに状況の聞き取りをして、明日、朝から討伐にかかれば上手くすると夕方にはカラドの街に戻れるって訳だ。まあ良い稼ぎなのか?


・・・・・・・・・・


「ゴブリン駆除の依頼を受けて来ました『光の翼』です」


「よろしくお願いしますじゃ。ワシはチノの村の村長のアントニオと申しますじゃ」


 まだ痛む尻を我慢しながら村長さんに挨拶しているが、殊勝な村長さんに比べて後ろにいる村の若者達は俺達の様子を見て、落胆している様子だった。

 少し前まで、駆け出しのEランク冒険者だったんだ。昨日今日でDランクの威厳なんて身につくはずもない。しかもパーティを組んでから一年たったが、俺達はみんな17,16歳程度の若造だしな。まあ、ゴブリンを狩ってくれば態度も変わるだろう。


「さっそくで申し訳ありませんが、馬車を停めておきたいのですが」


「それなら私の家に停めてくだされ。今晩の宿も私の家にとまってくださるといい」


 村長さんが言ってくれたので、馬車を村長さんの家の庭先に停めた。


「ゴブリンを見た人の話を聞きたいのですが、村長さんのお家をお借りしてもいいですか?」


「うんにゃ、むらの集会場がありますんで。そっちの方を使って下され」


 村長の案内で集会場に入った。長机と長椅子があるだけのガランとした場所だが、確かにここなら村人に一度に話を聞くのに向いているだろう。

 村長が指示をしておいたのだろう。ぞくそくと村人が集会場に集まってくる。


「さて、みなさん。改めて依頼のゴブリン駆除を受けました『光の翼』です。こちらがリーダーのバルトです」


 こういう時にバルトにしゃべらせても、あまり役に立たないので黙って堂々とした様子で立たせている。その実、すこしでも舐められないためのお飾りである。


「みなさんにはゴブリンの目撃情報を教えていただきたい。どのあたりで見かけたのか?そうですね。狩人の方が居れば森のどのあたりで見かけたとか分かるといいですね」


 アランさんを意識してなるべく堂々としかも丁寧に話しかけてみる。少しは協力的になってくれるだろうか。


 しばらくガヤガヤとしていたが、やがて3人ほどの村人が進み出て状況を話してくれる。


「オラの家が村のなかで一番森に近いんじゃが、鶏舎が荒らされたんじゃ」


「俺の畑の森に面した所でゴブリンとおもうが、足跡がついていた」


「猟師をしとるが、森の中で6,7匹騒いどるのを見て逃げ帰ったんじゃ」


 やはり、森からはぐれのゴブリンが住み着いたのだろう。猟師から目撃した場所の詳細を聞き取り、足跡が残っていたという若者から案内してもらって手がかりを探そうとする。


 手がかり探しは意外にバルトが熱心で足跡を数えていたりしていた。その後、俺達は猟師がゴブリンを見かけたという場所にも足を運んでいた。


「さきほどユウトは堂々としていましたね」


「ああ、あれ?最初、村に着いたとき若造と舐められてたようだからね。アランさんの真似してみた」


「でも、あれから協力的になったようだよ」


「まあ、依頼が上手くいくようなら良い事じゃないか?ところでバルト、形跡は見つかったかい?」


 そうなのだ、さきほどもそうだがバルトがゴブリンの足跡が追えないかとか色々試しているようだったのだ。


「いや、草地で足跡が分らん。猟師が見かけたという場所に行ってみた方がいいだろ」


「そうか」


 俺達は警戒を強くしながら、勝手知ったる森の深い場所に進んでいった。ほどなくして猟師の教えてくれた目撃場所に着く。


「確かに、ここで何か焼いて食べた形跡があるぞ」


「規模が分かるかな」


「正直、俺じゃ分らん。だが、猟師の話から言って10は超えないだろう」


「それならいつもの戦法で正面から行っても大丈夫そうだね」


 ゴブリンの姿を確認は出来なかったが、ひそんでいそうな当たりはついた。日も傾いてきたし。これからは魔物の時間だ。俺達はそっとチノの村に帰還しすると、村長に朝からゴブリンに襲撃をかけることを告げると、村長宅で宿を借りると明日に備えたのだ。

読んでいただきまして、ありがとうございました。

引き続き読んでいただければ幸いです。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] サスペンションは無理でも、 クッションくらいは作ったらどうだ
[良い点] ユウト君ならマナポの所得でそのうち馬車も買えそうではある [気になる点] ゴブリンって火を使うのか [一言] アランさんは良い先輩 学べるうちに良いところは見習っていけるといいね
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