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異世界でスキル『インターネット』をもらいました  作者: ゆうじ
第1章 いきなり異世界転移
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2.初めての冒険(薬草採取)とお風呂

 翌朝、窓からの日差しで目を覚ます。さて、初めての冒険の日だ。食堂で朝食を食べて、さっそく冒険者ギルドに向かおう。


 冒険者ギルドは朝から人でごった返していた。やはり実入りの良い依頼は早い者勝ちなんだろう。まあ、俺は常設依頼からなんでゆっくり待とう。

 しばらくすると依頼ボードの前から人が減ってくる。おもむろに依頼ボードの前に進み、常設依頼を探す。

 

 薬草採取!コレだやっぱり最初はこれからだよねー。羊皮紙には、依頼ボードから剥がさず受付に直接話しかける様に注意書きがあった。なんだ待つ必要は無かったのかな?

 

 受付カウンターのお姉さんに常設依頼の薬草採取を受けたい旨を伝えると説明をしてくれる。


「マブキア草と言って回復ポーションの材料になります。これを5本一束で納品カウンターに持ってきて下さい。取り尽くさないように根は残すようにして下さいね」


 まだ昨日採取したばかりと思しきマブキア草を見せてくれながらそう言うと。


「ユウトさんは冒険者になりたてですから、森には入らないで周辺部で採取して下さいね。あと、最低限の武器位は買っておいた方が良いでしょう」


「おすすめの武器屋はありますか?」


 アドバイスをもらったので武器屋も紹介してもらおう。


「ギルドから一本裏の通りで一通りの装備が整います。そうですね、角笛の音という武器屋が初心者にはオススメです」


 受付のお姉さんにお礼を言うと、早速武器を手に入れに歩き出す。しかし俺にはインターネットスキルがある!もっと良い武器が手に入るかもしれない。


 『初心者にオススメの武器屋』で検索っと…うん角笛の音がトップに出てくる…ウン、シッテタ…

 気を取り直して武器を買いに行くかね…掘り出し物があるかも知れないし。


「らっしゃいボウズ、何が欲しいんだい?」


 おおう、武器屋の親父は頬に刀傷があるマッチョでなかなかの威圧感だ。


「初心者向けのですね…薬草採取に行くんですが、最低限自衛が出来る武器が欲しくて…」


 親父に威圧されながら、インターネットを起動して検索窓の端にあるカメラのマークを押す。視界がカメラのファインダーの様に切り替わる。シャッターボタンを急いで押して『高品質』と検索する。きっとこの中にお宝物の武器が人知れず眠っているんだ。

 ボクはソウイウノニクワシインダ…


「ボウズの様な駆け出し未満なら財布にも優しいこのあたりの短剣だな、銀貨1枚だ。数打ち品だが悪い品じゃねぇ。ボウズの腕が上がって武器を換えて大物を仕留められるようになったらこの短剣は解体ナイフにでもすればいい」


 結論から言えばお宝品は無かった。親父に勧められた短剣も十分に良い品だった…


 気を取り直して薬草採取に向かおう。だが闇雲に探しても効率が悪いだろう。

 『マブキア草』『群生地』『マップ』と検索をかける。

 森深くに沢山あるが危険だろう。周辺部でそこそこの群生地に向かう事にした。


・・・・・・・・・・


「銅貨60枚ですね」


「えぇ…」


 冒険者ギルドの納品カウンターで俺はそんな気合いの抜けた声を出してた。マブキア草の群生地で一日中採取してたから、もっとたくさん稼いだつもりだったのだ。


「はい、マブキア草とよく似てるのですがデマキア草がほとんどですので」


 そう言われれば仕方がない、改めてカウンターを画像検索すると。実際、草のほとんどがデマキア草だった。1日分の宿代にもならないとは。何という孔明の罠!俺はトボトボと昨日泊まった宿に改めて宿をとりに行ったのだった。


「いらっしゃい!あら昨日のお客さん、今日も泊まってくかい?」


「はい…お願いします…」


 微妙な敗北感を味わいながら夕飯を食い、ベッドにゴロリと横になる。

 『マブキア草』『デマキア草』『違い』で検索をかけると葉の裏に黒い斑点があるのがデマキア草と写真付きで結果が表示される。ちくせう…


 翌日も薬草採取依頼を受けた。何はなくとも、宿に連泊しても大丈夫な収入源くらいは確保しておきたい。マブキア草の群生地を再び検索して、今度は慎重に葉っぱの裏を確認しながら採取をしていく。


「銀貨2枚と銅貨70枚ですね」


 冒険者ギルドの納品カウンターで薬草を査定をしてもらう俺は上機嫌だった。群生地で効率よくマブキア草を採取する方法を確立した俺は1週間ほど薬草採取を繰り返し着実にお金を貯めていた。もちろん宿屋も星屑亭に連泊している、と…


「お客さん、10日くらいまとめて宿をとったらどうだい?割引もするよ」


 宿屋のおばさんにそう言われた。たしかに定宿にしていて不満は無いし割引は美味しい。


「じゃあ、10日分宿をお願いします」


「あいよ、じゃあ10日分で銀貨8枚だね。まいどあり」


 ワーイ節約だね。


「ところでお客さんは風呂には行かないのかい?」


「風呂?」


 ワッツ?バスルーム?


「そうだよ体を拭くだけじゃさっぱりしないだろ。大通りに銭湯があるから行ってみたらどうだい?」


 早速、インターネットで銭湯を地図検索すると確かに大通りに存在していた。入浴料、銅貨2枚なり。


「うちよりもっとお高い宿には共同浴場があるけど、冒険者相手の宿じゃ一般的じゃないねぇ」


「ち、因みに一般家庭の風呂の普及率は?」


 いかん、混乱してニポン語っぽくなってしまった…


「そうだねぇ、ちょっと裕福な家なら結構あるね。でも銭湯だと吟遊詩人の詩やお芝居もやってるから、銭湯に行く人の方が多いんじゃないかい」


 おおう、意外と文化的じゃないか。そういえば宿屋のおばさんはいつもいい香りがしてた。おばさんなのにいい香りが。

 大事な事なので2回言いました…


 じゃない!現代チートしっかりしろ!これでは風呂を作って一儲け出来ないじゃないか!

 いやいや、まだ焦る時間じゃない。きっと石鹸で現代知識チートしろって神様の誘導に違いない。


「銭湯に行ってきまーす!」


「あいよ、行ってらっしゃい」


・・


『カポーン』


 そんな音が聴こえそうだった。


「あ゛〜」


 そんなオヤジ臭い唸り声が出るほど良い風呂だ…風呂は良いね…リリンが生み出した文化の極みだよ…


 石鹸?ああ、石鹸ね。


-----------------

石鹸


泡の実をスライムの粘液で固めたもの

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 泡立ちも良いのに、作り方はファンタジーだねぇ…入り口で銅貨1枚だったよ…花の香り付きの高級なのでも銅貨2枚…良いね、文化的だね…

 吟遊詩人の詩も良いね…良いね、文化的だね…

 大事な事なので2回…


 銭湯から出た女の人は香油?で梳ってつややかな髪をしていました…シャンプー無双ぇ…


読んでいただき、ありがとうございました。

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