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異世界でスキル『インターネット』をもらいました  作者: ゆうじ
第1章 いきなり異世界転移
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12.ゴブリンソードマンとの遭遇

ブックマークならびに評価、誤字指摘いただきまして、ありがとうございます。

 無理しないのが俺達の基本方針だが…数日後、厄介ごとは向うからやってきた。毎度の薬草採取をしていると、木立の向う側から。


「グギャゲゲ…ギャギャ」


 ゴブリンの声がする。静かにユリアに声をかけて『感知の奇跡』を使ってもらう。


「『邪悪を報せ給え』…ゴブリンが3匹と多分ゴブリンですが1匹、強い気配を感じます。こちらに向かって来ています。」


「上位個体かもしれないね」


「ギルベルト、真っ先に『アースバインド』を上位個体にかけてくれ


 いつもどおり、俺は飛び道具持ちを潰す。


 ユウトは上位個体相手は荷が重いが牽制でいい、足止めだ。


 ユリア、鼓舞の奇跡を頼む。先手を打つぞ」


 バルトが作戦を組み立てていく。


「かしこまりました。『勇士の魂を顕し給え』」


 バルトと俺が先頭で木立の向うに躍り出る。


『アースバインド』


 ギルベルトの魔法が飛ぶ、だが今日は勝手が違った。


「バルト!アースバインドを抵抗された!」


 ギルベルトの焦った声に、バルトが怒鳴り返す。


「格下をとにかく複数拘束しろ!上位個体は俺とユウトで押さえる」


 状況に合わせた判断が早い!バルトもリーダーが板についたのか。鼓舞の奇跡の効果も大きいか。


 バルトが急停止して方向転換すると、俺と二人で上位個体(小剣を構えている。おそらくゴブリンソードマンだ)を二対一で押し囲む。


「ユリア!ギルベルトに近づかせるなフォローだ!」


「はい!」


「『アースバインド』『アースバインド』…」


 格下のゴブリンが2匹拘束されるが、ギルベルトが辛そうだ。


「魔法は打ち止めだ1匹はユリアと相手するよ!」


 ギルベルトは弓を構え、ユリアが駆け出してメイスを一閃!外したがすぐに離脱する。ユリアに注意の向いたゴブリンにギルベルトが弓を一射、二射と射掛けていく。あちらはなんとかなりそうだ。


 ゴブリンソードマンの方が大変かもしれない。格下のゴブリンよりも各段に体格がデカい。背を伸ばせばバルトと同じくらい、大人と変わらない身長があるだろう。


 俺たちは互いにゴブリンソードマンを挟んで反対側に移動し集中力を削いでいく。バルトに注意を向ければ無防備な背中を槍で突き。こちらに注意が向いたら足元を薙いだり、頭から穂先を叩きつけたりして嫌がらせに徹して手数を出す。


 バルトも無理に切り結ばず。チャンスに踏み込んで一閃叩き込むとすぐに下がって距離をとる。


 地味だが気の抜けない攻防をどのくらい続けただろうか?実際にはそんなに長くなかったのかもしれないが。やっとゴブリンソードマンが地に伏せた。バルトが一応と言って頭をかち割っている。


 ギルベルトとユリアの方も何とか片づけたようで。拘束されて残った2匹のゴブリンがギャイギャイと喚いてる。バルトと俺がそれぞれアースバインドの上から止めを刺した。


 もー疲れた…俺だけじゃなくみんなの顔にも疲れが滲んでいた。特に短時間に魔法を連発したギルベルトの顔色が悪い。今日は引き上げたかったがゴブリンの巣穴があるかも知れない。


 討伐証明をの左耳を切り取り終わると、ゴブリンの足跡が集まる方にバルトを先頭にして慎重に探索する。

 ほどなく木立の切れ目から先に開けた場所があり、その先に洞窟らしき穴が見える。これ以上の接近は危険だろう。


「ユリア、感知をもう1回いけるか?」


「やってみましょう。『邪悪を報せ給え』…」


 ユリアが膝をついて息を整える。


「ゴブリンが24、上位個体と思われるのが8、ゴブリンソードマンが3です」


「「良くやった…」」


 俺達は慎重に洞窟から離れると、ギルベルトとユリアを支えながら、冒険者ギルドに報告に向かった。


「ゴブリンの氾濫ですか…」


「経験が無いので推測でしかありませんが」


 ギルベルトがダウンしているので俺が頭脳担当して、冒険者ギルドの職員に説明している。


「少し奥の部屋でお話しましょうか」


 受付のお姉さんが硬い表情でカウンターの奥に案内してくれる。今まで入った事のない部屋に案内され、しばらくすると、年かさのギルド職員が現れる。


「副ギルド長のアンドルーだ。話を聞かせて欲しい」


 俺はゴブリンソードマンと戦った事、足跡を追跡して感知の奇跡で複数の上位個体の存在を見つけた事を報告した。


「ゴブリンの上位個体が11匹に、ゴブリン24匹か街は市壁があるからまだしも。周辺の村には十分な脅威だな」


「繰り返しになりますが、俺達が確認した時の数ですし経験が無いので確証はありません」


「Dランク複数のパーティからも異変を感じると、報告を受けている。君達はEランクだが堅実にやってるようだし信用しよう」


「ありがとうございます」


「ひとまず森への立ち入り制限と調査を行わないとな。今から調査に同行できそうかな?」


「俺とバルトの2名なら」


 バルトは渋い顔をしてたが頷いた。


 受付のお姉さんがギルベルトとユリアを運ぶと言ってくれたので。お願いして2人は星屑亭に帰して休ませる事にする。


 1時間ほどしてDランクの本職の斥候を擁したパーティ『夜の猫目』が招集された。俺とバルトは現地までの案内だ。


 薬草採取でなれた足つきでDランクパーティを先導していく。もちろん警戒は怠らないが、疲労した俺とバルトの警戒が甘くなってたのは否めない。


 だが、『夜の猫目』の斥候は足音をさせないように俺達に促し。時に迂回路を提案して隠密に心がけていた。


 ようやくゴブリンの巣穴に到着し、『夜の猫目』の斥候は単独で巣穴の洞窟に接近していく。足音もしない、目の前で姿を見ていなければ存在も見落としそうな見事な隠密。

 バルトと俺はその技術の高さに息を潜めて魅入られていた。


 時刻は夕暮れ、そろそろゴブリン達が活動し始める頃だと言うのに『夜の猫目』の斥候は洞窟の入り口に近づき何かを調べる様子が確認できる。


 やがて、斥候は足音も立てずにするすると戻ってくると


「状況は分かった。詳細は冒険者ギルドで報告しよう」


 俺達は静かにその場を離れ、街へ帰還する事となった。


 街に帰還すると日は完全に落ちていた。これから『夜の猫目』の斥候がギルド長に報告をするようだ。


 副ギルド長は俺達を気遣って。


「お前達はもう休んでも良いんだぞ」


 そう言ってくれたがバルトも俺も緊張と興味が疲労を上回っていた。


「おおよそ、そこの駆け出し達から聞いたとおりだ。足跡の数や大きさ、糞の量から上位個体が15以上、雑魚を合わせても総数で60は居るだろう。糞から判断するに、家畜に手を出しているが、人間の犠牲は出していない。まあ、時間の問題だろうが」


 ギルド長も深く頷いている。


「明日、すぐに緊急招集かける。早ければ明後日の午前中にも大規模討伐にかかるぞ」


 ギルト長が宣言すると、俺達に


「良くやったな、お前達。情報提供報酬を用意させてある、カウンターで受け取って今日はゆっくり休め」


 正直、バルトも俺も睡魔の限界だった。ありがたく帰ろう。


「ああ、大規模討伐に参加したいなら明日の朝、冒険者ギルドに来い。もちろん情報提供でお前らの仕事は十分果たした。受けなくても良いぞ」


 俺達は頭を下げると、宿屋に帰り泥のように眠った。


 翌朝、なんとか普通に起きた俺達は食堂で朝飯を食いながら、昨日の事をギルベルトとユリアに説明していた。


「一応、僕らの責任は果たしたけど討伐不参加ってのもスッキリしないね」


「邪悪は最後まで討果すのが神のご意思です。無理にとは言いませんが」


 ギルベルトもユリアも大規模討伐参加に消極的賛成って意見だった。バルトはヤル気だし、俺もギルベルトと同意見だった。


「とりあえず冒険者ギルドに行かないか?俺達の手も必要な状況なら受けても良いんじゃないか?」


 俺達の意見はまとまった。

読んでいただきまして、ありがとうございました。

引き続き読んでいただければ幸いです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] サクサク読めて面白かった 主人公は転生能力持ちだけど 単独だとあんまり強くないので 地域の人々やパーティと協力する必要が生じて それが異世界での生活感の表現にちゃんと繋がってるので ここが…
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