1.スキル『インターネット』と異世界転移
初投稿です。よろしくお願いします。
「天城悠斗さん貴方は世界の隙間からこぼれ落ちて、この世界の神である私の部屋に落ちて来ました」
「はぁ?」
いやいやいや、いくらなんでもいきなりこんな事を言われたら混乱くらいするだろう。
なにせ目が覚めたと思ったらいきなり何も無い空間に居て、目の前のぼんやりとした人の様なものからそんな事を言われたら。
「今からさらに落ちる世界は魔物が居て、人々は剣と魔法で魔物と生存競争をしています。そんな世界で争い事の無い人生を歩んで来た貴方はすぐに死んでしまうかもしれません」
おおう、ガンガン話が進んでいくな。しっかし、そんなに危ない世界なのかよ。でも、異世界召喚とかちょっとわくわくするな。
俺こと、天城悠斗(16)は異世界召喚や異世界転移などのファンタジー小説に慣れ親しんだ日本人。自分がそんな事態に遭遇したらなどと想像しててもおかしくない人種であった。
「ですから貴方が生き延びる為にどんなものでも一つだけスキルを授けましょう」
コレはチートスキルをもらって異世界で無双しろって事ですねワカリマス。
急いで欲しいスキルを考える。うーんどんなスキルが良いか?荒事になりそうだし戦闘系か?それとも戦略系で軍師か?生産チートでスローライフも良いな。
黙考するする事しばし、ヨシ!現代知識チートで大活躍にしよう。
「貴方はどんなスキルを望みますか?」
「インターネットでお願いします」
「インターネット…インターネットとは何ですか?」
神様でも知らない事が有るらしい。
「世界のありとあらゆる事を知る事が出来る便利な道具です」
「なんと…それでは全知…神の権能の様ではないですか。まあ良いでしょう貴方にスキル『インターネット』を授けましょう」
その言葉を聞くと俺の意識はゆっくりと落ちていった。
・・・・・・・・・・
気がつくと俺は街道が見える林の中に居た。いきなり人が出現したらそりゃびっくりしますよねー。
早速俺は『インターネット』と唱える。すると目の前に半透明の板状のものが浮かび上がる。真ん中に検索窓だけの簡素な画面、信頼と安心のG◯ogleさんですね。下の方にはキーボードも完備です。
『周辺の地図』と入力すると自分の周囲と思しきマップが表示されます。GPSも地磁気センサーも無いのに自分を模したマークには方角も示されて至れり尽くせりだね。
とりあえずマップに表示されてる程近い街に行く事にしよう。街のシンボルには見た事もない文字でラベルが付いてるのけど普通に読める、カドラの街ね。
ついでにシンボルをつついて見ると読み上げも完備だった。日本語とも違うけどちゃんと聞き取れるし、自分でも発音できる。文字の読み書きは神様のサービスかな?
テクテク歩いてると街が見えて来る。街の前に人の列が出来てるがこれは入市税とか要るのかも?
『カドラの街』『入市税』っと検索。
銀貨1枚と出てくる。俺、お金持ってないけどどうしよう?売れる物でもあればとポケットを探ると銀貨が10枚出てくる。神様サンキュー。
無事何事もなく街について列に並ぶ。色んな人が居るね、商人風の人や農夫っぽい人。結構栄えてる街みたいだ。程なくすると順番が来る。
「冒険者ギルド証か、入市税銀貨1枚ね」
やっぱりあるのか冒険者ギルド!意外と人当たりの良さそうな門番さんに銀貨を渡すと木の板を渡してくれた。
「入市証明だよ。一週間ならその木札で出入り自由だ。長く居着くなら冒険者ギルドに加入すると安上がりだ、どこの街に行っても使えるしな。大通りを進んで右側に有るから行くと良い」
お約束だね!冒険者ギルドに加入しよう。
言われたとおり大通りを進むと剣と盾を組み合わせた看板が出てる大きめの建物が見える。あれが冒険者ギルドだな、入会料とかかかるのかな。
『冒険者ギルド』『入会料』っと検索。
入会料は無料だった。有り難いね。農村出身者が身分証明の為に入会したりもするらしい。
木戸をくぐって受付カウンターに向かう、冒険者と思しき厳つい格好の人達がたむろってる。先輩冒険者に絡まれたりするのかとチョットビビってたけどそんな事無かった。身分証明の為に取る人も居るからそんなものかな。
「あの、冒険者ギルドに加入したいんですけど」
「はい、少々お待ちください」
受付のお姉さんに名前や出身地とか聞かれたけど、最低限名前だけで良いらしい。名字が有るのは貴族だけかもしれないからユウトとだけ答える。
それから冒険者としての仕事の受け方とか一通り教わった。
入り口近くの依頼ボードに依頼内容が貼り出されるから持ってくれば良いらしい。ちなみに依頼に失敗すると違約金が発生することもあるから注意するように言われる。
依頼はランク分けされていて自分のランクの1つしたから1つ上までが受けられるそうだ。依頼を成功した実績から自分のランクが上がるそうだ。初心者の俺はFランクからスタート、常設依頼のFランクの薬草採取から始めると良いとのアドバイスをいただいた。
冒険者ギルド出るともう日が傾いてる。今日はもう宿を探した方が良いな。
『オススメの宿屋』っ検索と。ずらずらと表示される。飯が美味いとかベッドが清潔とかオススメ度が★の数で表示される。あまり無駄遣いも出来ないしそこそこリーズナブルな宿屋を見つけてマップで探して向かおう。
ベッドの印の看板を掲げた宿屋が見えてきた。星屑亭か、検索したとおりだ。ここで間違いないな。早速扉を開くと中へ入る。
受付カウンターがあって奥は食堂になってるようだ。
「いらっしゃい」
カウンターに居たおばさんがニコニコと笑顔で声をかけてくる。
「泊まりかい?それとも食事かい?」
「泊まりで一晩お願いします」
「はいはい泊まりね、一晩朝夕ごはん付で銀貨一枚だよ」
銀貨を渡すと部屋の鍵を渡してくれた。
「料金に体を拭くお湯も含まれてるから、食堂で夕飯を食べた時に言っとくれ。後で部屋に持って行かせるよ」
そう言うとおばさんは今度は二階に向かって
「おーいエリルー!お客さんだよ!」
「はーい!おかみさん」
二階から小さな女の子が降りてくる。
「この娘は下働きのエリルだよ。何か用があったら言いつけておくれ。エリル、お客さんを案内しておくれ」
「はーいおかみさん。お客さん、付いてきてね」
エリルと呼ばれた女の子に付いて二階に案内される。
「ここがお客さんの部屋ね。鍵もかかるけど大事な物は持って出てね」
ひとしきり説明をしてもらうとベッドに横になる。うん、検索でオススメの通りシーツも清潔でいい匂いがする。さて、お腹も空いてきたし今日の所は早めに食事にしよう。明日は冒険者ギルドで依頼を受けてみようかな。
鍵をかけて一階の食堂に夕食を食べに降りた。
「あ、お客さん。ちょうど夕食が出来た頃合いだよ。今日は煮込みシチューだよ好きなテーブルに座りなよ」
おばさんが声をかけてくる。手近なテーブルに着くとエリルが夕食を運んで来る。この世界での初めての食事だ。うん、美味そうビーフシチューみたいな何かのお肉と野菜がゴロゴロ入ったスープとパンだ。
「パンはお代わり自由だからたくさん食べてね」
「ありがとう、後でお湯を部屋に運んでね」
俺はエリルに頼むと早速食べ始める。うん期待を裏切らない味だ、いいね。
部屋に戻って、明日からの事を考えているとドアがノックされた。開けるとエリルがいて、お湯の入った桶を運んで来てれてた。なるほど入浴は一般的ではないようだな、家庭でもお風呂に入れる様なチートを作成すれば成功しそうだ。
そんな事を考えながら体を拭いて俺は眠りに就いた。
読んでいただき、ありがとうございました。