表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/62

8話目 図書館

 今日も訓練が終わったので俺は部屋へ戻って、昼間の魔法使いを待った。それとこの王城には大浴場があり誰でもタダでは入れるのできちんと汗は流せている。


 風呂に入れたので夕食を取って魔法使いが来るのを待った。それから一時間ほどゴロゴロしていたらドアを叩く音が聞こえたのでドアを開けたら、いつもの魔法使いが立っていた。


「それでは参りましょう」


 軽くうなずくと薄暗い道を蝋燭ろうそくで照らしながら進んで行き、しばらくしたら図書館に着いた。

 図書館は2階まで本棚があり一階に机が並べられていた。部屋自体もとても大きく本が沢山あるように見えた。


「ここにはたくさんの本があるんですよ。何でここに連れてきたかわからないって顔をしていますね。実はですね貴方に勉強を教えろと言われまして。この夜にお教えすることになったんです。」


 昼間の魔法使いは死んだ顔をしているが、今は何故かハアハアと興奮しており本を見た瞬間にとても明るくなっていた。

 

 多分俺に勉強を教える理由は午前中にずっと瞑想をしていて、全く勉強しておらず周りの皆と遅れているからだろうと理解した。


「それは、迷惑をかけてしまってすみません。」


 俺に勉強を教えるのは教える人の時間が減るだけなので申し訳ないなと思い謝る。


「全然いいですよ、僕、本を見るのが好きなので前々気にしてませんよ。それにサンペルトス王立大学を主席卒業しているので安心してください。」


「そう言ってもらえると助かります。」


 ありがたいなと思ったが、本を読むじゃなくて見るって所に少しやばいと感じたのは黙っておこう。


「あ、自己紹介が遅れてしまってすみません、僕の名前はヒルンドと申します。年齢は17歳です。よろしくお願いしますね。」


「俺は立花 誠だ、よろしく。ヒルンド敬語じゃなくてていいぞ。」


 同い年で眼鏡の気弱そうな勉学少年だったので俺は強気にため口で言った。俺は相手を見て態度を変えるタイプなんだよ。


「それは大丈夫です。敬語で話すのは昔からの癖みたいなものなので。」


 自己紹介が終わったので早速勉強に取り掛かることにした。やっと魔法の勉強ができるとワクワクしていたらヒルンドは歴史の本を出してきた。


 俺は何でこんなに異世界で上手くいかないのかと天を仰いだ。地球ならまだしも異世界の歴史を学ぶ必要はあるんだろうか?そう思っていると


「きちんと教材を作って来たのでしっかり勉強できますよ。任せてくださいね。」


 そう言って空間収納から10冊近くの本を取り出してきた。これ以上勉強やだなとか思ったらさらに本が出てきそうな気がしたので


「こんなに勉強できるなんて楽しみだ。」


 そう言ったら


「本当ですか!これでも多いいと思って5冊くらいにまけるけるつもりでしたが、勉強が楽しみなのでしたら20冊に増やしておきますね!」


 さらに本を増やしてきたので、転生した時の勉強を思い出してガクブルしてしまった。これから変なことを言うのは止めようと心から決めた。


「取り敢えず1週間後にテストをしますから覚えてきてくださいね。安心してください、全部じゃなくて5ページですから。」


 一つ分かった事があるとするならヒルンドは天才であるという事だ。でないと一週間で覚えろとかは嫌がらせでしかないからな。


「それでは、本を読み始めてください。わからないことがあったら聞いてくださいね。僕も隣で勉強をしていますので。」


 勉強を始めたら全く分からなかったのでヒルンドに全部聞いていたら、とても分かりやすくて頭に入っていた。そしてずっと話を聞いていたら朝になっていた。


「すみません、朝になってしまいました。ついつい授業が楽しくて。」


「ああ、別に大丈夫だ。」


 そして直ぐに午前の訓練になるのでボーっとしながら訓練士に行った。また周りがクスクスと笑っていた気がしたが眠すぎたので全く気にならなかった。


 瞑想の訓練をしていたら一瞬で意識が無くなった。次に気づいたときはヒルンドが目の前に立っていた。


「午後の訓練は行けそうですか?」


「もちろんだ。」


 そう俺は言ってランニングしに行き、いつもの日常を終わると速攻で図書館へ行った。この生活を1週間続けてテストを受けたが不思議な事に満点をとれていた。


 完全記憶ができているような気がしたがそんなことよりヒルンドが目を大きく見開いて驚いていた。


「じゃ、じゃあ今度は1週間で15冊覚えてきてください。」


 ヒルンドは唇をかんでいたので嫌がらせをしているんだろうなと確信した。多分彼は敢えて無茶なことを言って周りの人にあいつは無能だと俺を晒上げようとしたのだろう。


「ああ、問題ない。」


 嘘である、実際には問題しかない。普通に考えても無理だ。だが俺はこいつのテストに落ちる方が悔しかったので一生懸命に頑張った。

 誰も瞑想の時間に俺のことを見ていなかったので瞑想の時間に本を持ち込んで勉強をした。


 瞑想中に本を持ち込むという天才的な発想は2日してやっと思いついた。誰でも思いつくですって?そんなことは無いですよ。


 ヒルンドが来る前にランニングをしに行ってバレない様にしていたが、睡眠時間が全く確保できなかった。勉強のほうは前回の5冊で幸いにも基礎ができたので苦戦することはなかった。


 5徹もしていたが神様の地獄の勉強を思い出したら何とかなった。そして何とかテストも満点を取った。そうしたらヒルンドは俯いて顔を見せなかった。そして数分間黙りやっと口を開くと


「こ、これで僕がもう教えなくて大丈夫ですね、明日から貴方は一日中ここで勉強することになったので走ることも瞑想するなどの無駄なことをしなくて大丈夫ですよ。」


 そう暗い様子で今までお疲れさまでしたと悔しそうに言っていた。どうやらここの図書館に閉じ込めて周りと差別化していくようだ。

 理由はたぶん窓際社員みたくするためであろう。


 ランニングと瞑想ばかりに少し飽きていたのでちょっぴり嬉しかったので俺はニチャアと笑顔をしたらプルプルして、とてもご立腹な様子で立ち去って行った。


 この二週間でこの世界の歴史について学んだ。様々な人類や亜人、魔人の国の文化や風習、誰がどんな政策をしてなどというものも学んだ。

 

 しかし、鬼人と天人の事の記述の本はなかった。けれど今後この知識が役に立ちそうなことはなく、とても無駄な時間を過ごしたように思えた。


 そしてこの国についても分かった。サンペルトス王国は300年も続く国家であり、文化や魔法技術が優れており人類最大の国家であった。

 

 その為、戦時である今であっても繁栄を極めている。だが、結構汚い反面も見えてきており他の種族を見下してる節があった。


 更におかしいことがあった。どの国の本にも同じ時期の10年間全く何も記されていなかったのだ。なので暫くはここの本を読み漁っていこうと思った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ