6話目 訓練一日目
アルベラさんに再び案内されて小部屋へ行った。
そこで如月はクラスの皆に一人で決めてごめんと言っていたが、誰も文句を言うものはいなかった。むしろ全員が賛成していた。
因みに如月はイケメンだが良いイケメンなので特に嫉妬といった感情はない。
緊張が解けたのか皆話し始めた。やはり皆ステータスのことについて話している。そうしたら森口のが話しかけてきた。
「お前、ステータスが無いっていうのは今後の展開的に何かのチートがあるんじゃねえの?」
「あ、うん、そうだといいね。」
あっこれ駄目ですね。森口さんが只今フラグを立てましたね。そして森口はさらに続ける。
「特技のところに何かたくさんあったりするんじゃねえの?」
「オーケー森口、おまえ一回黙ろうぜ。」
え?え?と言って混乱している森口を脇にステータスのことについて考えているとアルベラさんがたくさんメイドを連れて帰って来た。
「彼女達が皆様の身の回りの世話をつきっきりでいたします。早速ですがお部屋にご案内させていただきます。これからのことは彼女たちが致しますのでなんでもお申し付けください。」
メイドさんの後についていくと部屋に着いた。結構大きい部屋かなとも思っていたが8畳くらいの部屋でベッドと机、クローゼットが完備されていた。
部屋に異世界感が無くガッカリしたのはまだ良かったが、俺専属のメイドが中年のやや太めのおばちゃんである事は動揺を隠せなかった。
「誠さん、私はスエノルと言うんだよ。身の回りの世話させていただくことになったからよろしくね。私は農民出身だから言葉遣いが悪くても多めに見てくれると助かるよ。」
そうとても明るく言うのであった。そして俺の気持ちはどんどん暗くなっていった。悲しいことに現実は厳しいようです。
今日はもう疲れたから寝かしてくれと頼んだら、何かあったらこのベルを鳴らしてくれと言っていた。
そして俺は眠りに落ちた。そして夢を見た、ゴブリンと戦っている時だ。何度も殴られて、攻撃が当たらなかった。そしてついには顔の目の前に気の棒が迫っていた。その時に俺は声を上げて目を覚ます。
今俺は改めて死について体験させられた。汗をベッタリと掻いている。
暫く寝られなかったので、俺は今後について考えたら、どこにあるのかもわからない神社へ行くことよりか訓練をして生き抜くことをしようと決心した。
しかしこんなに寝られないのは久しぶりだ。ゴブリンとの戦闘から1日経ち冷静になった今、殺した時のなんとも言えない感覚が襲ってきた。
他のことを考えようとするも中々気持ち悪い感覚から離れられない。
自分の黒歴史を思い出した時の様に次から次へと考え始め、自制が聞かなくなったので、ベッドのうえでバッタンバッタンしていた。
そんなことをしているうちに何とか寝ることができた。
「入りますよー。起きてください誠さん。」
「う…ん?うん」
そこには美少女ではなくスエノルのおばちゃんがいた。ま、知ってたんだけどね。
「ここに朝ご飯を置いとくから食べ終わったらここにトレーごと置いといてくれよ。それじゃあ良い一日を送りなさいな。」
そう言って去っていた。ご飯はパンと苺ジャムとサラダ、スープと豪勢である、味も美味しい。ステータスがよくわからなくて冷遇されていることは無くて良かった。
ご飯を食べ終わってくつろいでいると兵士が呼びに来てついてくるように言われた。
付いていくと皆ほとんど集まっていて椅子に座っており昨日の魔術師のおじちゃんがいた。俺も座るように促される。
俺が座ると同時に体調は宜しいでしょうかと聞いてきた。特に問題が無かったのでこの世界についての詳しく説明が始まった。
まず魔法は、火、風、水、土、雷の基本5種類の魔法があるらしく皆使えるらしい、そしてこの5種の魔法を自由に組み合わせることができ、新しく魔法が作れるらしいのだ。
だが、魔法作るには莫大な魔力とはっきりとしたイメージが必要で難しいらしい。
さらに魔法には珍しい魔法として、光、闇魔法が存在しており、単体でも大分強いとされている。
この魔法は神に与えられる物であるので使える人が限られているみたいだ。けれど転移者は全員光属性の魔法を持っているらしい。
更に魔法は精神のステータスに応じて魔力の減りが変わるららしく、精神値が高いものほど大規模な魔法が打ちやすいとのことだった。
他には周辺の国のことについても説明をしていた。昨日も言ったように人族、魔族、亜人族、鬼人族と戦っておりと説明しながら、黒板みたいなところに地図を広げる。
その地図の真ん中に人がいて、下のほうに亜人、上には魔人、少し離れた島に鬼人が存在している。そして天人は空で移動する島に住んでいるらしい。
けれど天人以外はいくつもの国が手を結んで連合となって戦っているが鬼人とは休戦中のようであった。
これが大まかな説明であった。
「それでは皆様早速ですが今日から訓練を始めさせてもらいます。」
と言い、広場に出るとアルベラさんと金髪の美人騎士がいた。その女騎士は青い目に腰にまで届く薄い色の金髪の髪でくっきりとした顔立ちをしていた。
「皆様この度から訓練を担当するアルベラでございます。改めてよろしくお願いします。」
「私は赤薔薇騎士団の団長を務めているエミリ=ロゼリアだ。よろしく頼む。」
「それと今この場にはいないがカイマンがいるので、頭に入れておいてください。そして皆様には体力値を伸ばしてもらうために走っていただきます。」
どうやらこの世界はレヴェルが上がらなくてもステータスが上がることがあるようだ。なので基礎値を上げてハードな訓練をやるから走り込みをするらしい。
俺はすぐにバテテしまい地獄の時間が始まったのだ。そしてアルベラさんが終わと居て言うまで走り続けたのでボロボロであった。そこから、お風呂に入り泥のように眠った。