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5話目 王の間

 周りを見渡してみると、細川がもっと食べたいのかどうかわからないが泣いていた。お前、ご飯好きすぎだろ。


 それからは一切会話などはなく、食後の余韻なども楽しめずにいたのだった。

 俺は緊張のせいか、食べた物を戻しそうなくらいに気持ち悪くなってしまう。


「皆様、国王陛下の準備が整いましたので付いて来てください」


 10分くらい豪華なシャンデリア、赤い絨毯のある道を進んでいく。

 その道の先には5人の屈強な衛兵と、荘厳な5mほどの扉が佇んでいた。

 アルベラさんが近づくと、衛兵が何も言わずに横にはける。


「国王陛下、只今勇者様方が参られました」


 アルベラさんが低く通る声で言うと、門が開き王の間が現れる。

 天井は15m程あり、いくつもの絵が飾られステンドグラスから光がさ差し込んでいた。


 縦横30mほどの部屋には柱があり、その柱には複雑な柱頭、柱身は細長く繊細な細工がされている。 

 柱が左右6本ずつありその前には衛兵、騎士、貴族らしき人の順番で並んでいた。


 そして紅い絨毯が一直線に敷かれておりその先には階段があり見上げると、椅子に座った威厳のある国王が座っていた。


「よく来られましたな、勇者方よ。私はこのサンペルトス王国のエリンケ=ジークフリート3世である。

 先ほどの森に転移したとの件、耳にしたぞ災難であったな」


 国王がそう言うとみんなの表情が一層こわばる、俺も情けない話、国王の圧と周りの目から少し膝が震えてきた。

 そしてしばらく沈黙が続き変な汗をかき始めた。


「いえ、この度は我々を保護して下さり感謝申し上げます。国王陛下」


 そう、お礼の言葉を述べてこの沈黙を破った言葉の主は如月であった。


「そんなことは気にせんでも良い。お主。何か申したそうな顔をしているな、なんでも申してみよ」


「はい、早速ですが私たちの事を勇者とお呼びになられていますが、どういうことなのですか?」


「ふむ、そのことについてだが……

 我が国の魔法の最高責任者である。アルベルト=カルロングに説明を頼む」


「かしこまりました」

 

 そう言って出てきたのはローブを羽織った長髪、鷲鼻の高齢のお爺さんであった。


「それではわたくしから説明させていただきます。

 我々の世界には100年に一度、あなた方の世界からこちらの世界に流れ付くものがいるのです。

 これは我々人族の聖書に記されており、【異世界から流れ付くもの必ずこの世界を救うであろう】と言われているのです。

 異世界の方々の勇猛さは素晴らしく、そのうち我々はこの救世主様方を敬意の念を込めて、勇ましい者と呼ぶようになりました。

 その呼び方が略されて勇者と呼ばれるようになりました。」


 ここで一回、質問はございませんかと少し休憩を入れた。

 なるほど、つまり俺たちはこの世界救う人物らしい。

 少しずつ状況に慣れてきているのか、皆緊張が解けているように見えたものの質問はなかったので、再び説明を続けた。


「なので我々は勇者様方を保護し永住権、免税、移動の自由、領地を与えるなど様々な権利を認めることで協力していただきました。

 なので皆様方にも協力していただきたいと思っているのです。よろしいでしょうか如月殿?」


 そうアルベルトさんが言うと如月は後ろをちらっと見て確認する。

 気のせいかもしれないが如月と目が合った気がした。


「わかりました。ですが、私たちが何をするのかを教えてもらってもよろしいでしょうか?」


「ふむ、わかり申した。今この世界は、我々人族、魔族、亜人族、鬼人族、天人族の5種族が存在しています。

 ですが、今から100年ほど前から天人族以外の種族で戦争が起こり居ました。

 そして我々人族は他の族に蹂躙され、略奪され生存権を狭めていきました。

 なので勇者様方には我々の戦争に協力してほしいのです。」


「わかりました。そのような事でしたら協力させていただきます。

 ですが、クラスの皆を危険にさらさないという事をお約束ください。」


「とのことです。どのようにいたしますか国王陛下。」


 そうアルベルトが振り返ると、不敵な笑みを浮かべた国王がそこには座っていた。


「良かろう、ならばこれより盟約の儀を執り行う。皆の物準備せよ」


 と言うと衛兵らしき人たちが、これを見越してかと言わんばかりに直ぐに用意を始めた。

 程なくして水晶玉と机を運びこまれて、準備が完了した。


「今から皆様には皆様にどれ程の力があるか測らせていただきます。

 この水晶に手をかざしてみてください。」


 所謂ステータスというものが表示されるらしいるらしい。そして如月が手をかざすと


「おお、まさか全ての能力値が1000越えとは、、、素晴らしいですぞ。如月殿!」


 周りがよどめいてざわざわした。


 次々と皆の測定が終わっていくと大体の平均は200くらいであった。

 これは異世界の成人男性の10倍ほどのステータスらしい。

 ステータスは攻撃力、防御力、素早さ、体力、知力、器用さ、魔法、精神の7つであり、その他に特技を持っている。


 やはり他の貴族たちが話してるからなのか、クラスメイト達も少しずつ話すようになっていった。


 森口は器用さ・素早さが700、細川は防御力・体力が700、影野は知力・魔法が700、エリザベスは基本700で攻撃力が1500とこの世界では規格外すぎるらしい。


 こいつらにも”おお”というどよめきが出ており、今回の勇者は質が高いぞと盛り上がっていた。


 そして皆、レベルが5を越えていた。昨日ゴブリン倒したから上がったんだよなあと思った。


 森口たちの話を聞いていたら直ぐに俺の番になった。

 いっちょ本気を出してみますか、と思って手をかざしてみる。


 LV.1  立花 誠


 攻撃力 ?

 防御力 ?

 素早さ ?

 体力  ?

 知力  ?

 器用さ ?

 魔法  ?


 「な、なんと」


 ととても驚き絶句していた。

 

 この結果を見てみんな驚いていた。もちろん俺も驚いていた。

 だってステータスが低いとかではなく記されてないんだもの。


 驚きの結果に水晶を眺めながら呆然としていたら、部屋の喧騒がすっと消える。

 本日2回目の気持ち悪い感じの汗をだらだらと掻いた。お尻までも凄い汗を掻いてしまった。


そして恐る恐る上を見上げると国王とアルベルトのお爺さんがコソコソ話していたので、抜き足差し足で音もたてずにみんなの列に戻る。


 森口が耳元で、誠らしいねって囁いてきた。これはあれですね、完全にケンカを売ってますねー。

 立花 誠はピキットとした。しかし、効果はないようだ……


 そして国王が


「勇者たちよ、これより盟約の議を果たす故、如月よ前へ出てこうべを垂れよ。」


 如月がしゃがんだらエリザベスもしゃがんだので皆もエリザベスに合わせて慌ててしゃがんだ。国王は如月の肩に剣を置き。


「そなたら勇者、以下40名は余のため、国のため、人族のために剣を振れるか?ここで誓うのだ!」


「はい、我らが剣は国王陛下、国のため、人の為に剣を振るうことを誓いましょう」


 そう言ったら拍手喝采が起きた。ていうかこれ絶対如月もラノベ読んでるだろ。

 そして国王陛下が続ける。


「これより、おぬしたち勇者に魔族討伐令を出す。

 我が国の優秀な教官をつける故、準備ができ次第こちらから出陣の命伝える。

 今日はもう疲れたであろうから、これより各自の部屋へと案内する。大義であった。」


 そう言うと俺たちは王の間を出て案内されたのだった。




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