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21話目 狩り

 その次の日もその次の日も俺たちは狩りへと行き、魔物たちを殺して食べる、そして残ったものを食料庫へと届る。

 これはもう日常となっており、作業となってしまっている。

 

 ゴブリンとオークは戦い方は単調であるので、テンプレートを組んで戦っていったら、苦労なく勝てるようになった。

 今も丁度ゴブリンを狩って肉を集めているところだ。


 そしてリーダーらしき魔物を倒すと稀に、紫色の石みたいなものが物が出てくる。

 これは魔石と言って、武器に能力を付けたり動力の素となっている物質である。

 王都の地下室の本で読んだのだが、これを使うには魔力量が必要らしくて俺には扱うことが難しいらしい。


「この魔石を使える人っている?」


 応答が何もないので誰も使えないのだろう。

 俺はなるべく早く仲良くなりたいから、威圧する話し方をやめてなるべく柔らかい口調で話すように注意した。

 

 大人には効果が無いけれど、俺が話しかけたら、子供は音を発して答えてくれるので十分に進歩していると言えるだろう。

 そして、獣人は嬉しい時、悲しい時に耳が立ったり垂れたり、しっぽを振ったりしているので見ている分には面白い。


 そして、俺たちが帰っている途中に人族の死体や、亜人族の死体を見つける。

 死体はほぼグチャグチャにされており、腐敗臭が漂っているためか虫らしき生物たちが、遺体にたかっている。

 ハエらしき虫や寄生虫らしい虫がわんさかと湧いていたので、見ているだけでもおぞましい。

 更に死体は身ぐるみを剥がされたのか、全裸なのでより一層グロく見える。


 最初の方は火葬などもしていたが、最近になってはキリがないので死体は放置して行っている。

 そして死体を見ることによって、死体の血や腐敗している度合で、付近に魔物がいたかわかったので役には立っていた。

 

 ここ数日ずっと狩りをさせて、亜人たちにたらふく食べさせてきたからか、俺の奴隷たちの肉好きは良くなっていた。


 そして部屋へと戻り表記魔法の札を書く。最近は20枚ほどの札を書けるようになっていた。

 俺は自分のステータスを見れないからわからないが、魔力量が上がったと言うよりも精神力が上がったたのだと思う。


 そして、俺は20枚のうち16枚を洗濯魔法の札として書いているので亜人奴隷たちはとても清潔で容姿もして良くなってきている。

 

 それでも誰も俺の亜人奴隷を奪おうとしないのは、俺が大国の遠征兵だからだろう。

 あくまでよその軍隊であるという事である。

 

 俺の亜人奴隷たちは日に日に戦闘力を増していき、数も減らしていないので今のところは順調であった。


 そして俺たちはある日、精神衛生上出会ってはいけないものに出くわしてしまう。

 それは悪魔でもなく、ゴブリンやオークでもない今まで見たことのない生物であった。


 本での知識を思い出してみた所、この生物はトロールである。

 トロールは毛むくじゃらで顔は見えない。そして生の人肉を食べており、内臓を引き抜いたり目をくりぬいたりして食べていた。

 トロールは3匹いたが、皆背が高く簡単には殺すことが出来なさそうである。


 こちらの方を向いたらニタアと笑い、新しい獲物を見つけたと言わんばかりに襲ってきた。


 俺は咄嗟に、ドワーフと獣人を前線で戦わせ、支援魔法が使えるエルフはドワーフに強化魔法付与させるように指示すると、ドワーフの動きが良くなっていた。


 俺もトロールたちと戦う、トロールの一撃はとにかく大きく中には、武器を吹き飛ばされている者もいる。しかしトロールの戦闘技術が低いので避けられている者もいた。


 俺が刀で刺してみると、グギャアアアと甲高い耳がキーンとする音を叫ぶものの、トロールが倒れる事は無い。

 何度も切りかかってみるが、効果はあるものの決定打にはなっていなかったので、初級の火の表記魔法を使って、トロールの毛を燃やしてみると、のたうち回り死んでいいった。

 

 弱点が火らしいので俺はトロールに火をつけるようにエルフに言うが全く当たらない、トロールはすばしっこいのである。


 トロールはこれを見て直接エルフを狙ってきた。なので俺は全力でかけて1匹のトロールを止めるがもう1匹を取り逃がしてしまった。


 もう駄目だと思ったときにロイとメイがトロールを止めていたので、今のうちに魔法を放つように言う。


 そうすると、2匹のトロールは人の毛が焼けるような臭いがして絶命していった。

 しかしこの戦闘で負傷したものは多く、血を流していたので水魔法で洗い流す。幸い骨が折れている者はいなかったので、包帯などが無くても何とかなった。

 

 

 そして俺たちはトロールの肉を貪る。これは、焦げてたが背徳感を感じる味である。

 因みにメイはギルさんが奴隷の契約をしてくれたので、手枷足枷が外れている。


 そしてトロールの肉を持っていくと、少し驚ている顔をしていた。

 亜人を地下室に連れて行くと、ルドルフさんと出会い軽く挨拶をする。


「おう、誠、お前さんトロールを倒したみたいだな。やるじゃねか。

トロールを倒したら、一人前と言われるようになっているからな。」

「ありがとうございます。」


 思った以上に情報の伝達が速かった。


「それと今この砦ではやり病が亜人、人族問わないで出ているそうだから気をつけろよ。」


 ルドルフさんがそう言って去って行く。

 そして、部屋へ帰ろうとすると他の兵士たちがちょうど帰って来たので亜人たちを見てみると、皆ボロボロで腕がなかったりしており、血だらけとなっている。


 そして彼らは足枷が掛けられていたために、とても歩きづらそうで明らかに弱っている。

 そして一人の獣人がこけてしまう、1人の兵士が立てよと言いながら、手加減なく腹をけり上げて、ストレスを発散するかのように蹴る。


「あーあ、死んじまった。片付けめんどくせえなあ。」


 そう言って死体を運んで行く、常に奴隷が入ってくる為、奴隷は重宝されず雑な扱いになってしまう。 

 奴隷には権利すらないのだと実感させられる。

 その光景を無言で眺めていたら、ギルさんが隣から急に話しかけてきた。


「立花よ、驚いているか?この世界の奴隷はこれが普通だ、無論どの国でもな。ああそれと、後で私の部屋に来い。」

「分かりました。」


 そう答えると去って行くのであった。

 俺ははやり病が気になったので、きちんと1回地下室を見てみようと思い入ってみると、死にたい、殺してとの声で溢れかえっていた。


 奴隷には子供、女、老人といて皆どれも弱っている。勿論男もいる。

 そして、何とも激烈な臭いが俺の嗅覚を奪っていくが、しばらくしたら慣れてしまった。


 地下室は、幾つも檻があり区画ごとに細かく分けられている。

 これは移動がしやすいためなのだそうだ。

 勿論俺の獣人たちも、一つの部屋に15人ほど入れらているが、広く使えているっぽかった。


 俺の檻の中ロイが刀の練習をしていた。

 取り敢えず俺はとても牢屋が汚いと思い、初めて部屋に洗濯魔法を使ってみると、部屋がきれいになっていた。

 これで少し俺の株が上がってくれていたらうれしい。


 そして俺は地下室から出たのだが、服に匂いがついているのであった。

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