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1話目 プロローグ

 俺は立花たちばな まことどこにでもいる普通の高校生。いじめられてもいないし

仲のいい友達もきちんといる。

 

 勉強やスポーツ、容姿も人並み、目立つことのない平凡な人生を歩んでいるごく普通の高校生だ。

 特に何かを頑張っているわけではなく、無駄に一日を浪費していく日々。そのことが駄目だとはわかっていてもやめれない。

 もちろん、惰性に過ごしているので彼女なんて物も縁が無いし、立派な童貞だ。


 朝のHRに間に合ったら俺はすかさず寝る。

 最初こそは「立花、起きろー」と注意されていたが提出物、テストもきちんとやっているので俺は何も言われなくなっていた。

 まあ多分、みんな諦めていたのだろう。


「誠は今日も相変わらずだな、つついても何も反応しないし」


 俺の体を弄びながらそう声をかけてくる男は、顔がそこそこの赤髪短髪の森口 彰人もりぐちあきとリア充だ。

 毎日彼女とデートしているが、決してモテてる人間ではない。


  告白するときに先っぽだけでいいから俺を試してみてくれませんか? と最低な告白をした。これにはもちろん、俺も引いた。とても頭がいかれてるアホな男だ。受け入れた彼女も大概だと思うが。


「おにぎりうめー」


 そう太った、低い声で1時限目におにぎりを食べている、黒髪短髪の愛嬌あるデブは細川ほそかわ 元太げんただ。

 

 彼は太っていることに誇りを持っている、非リア同盟の重要な仲間だ。裏切り者の森川とは違う。


「あら、そんなに食べちゃったら、更に太っちゃうわよ」


 彼の体型を気遣う黒髪ロングの美人は......じゃなくてオカマは一ノ瀬 弘樹いちのせひろき通称エリザベスだ。

 

 最初こそは驚いたものの今では何とも思わない。

 彼女はスポーツ、成績ともに優秀、そして学級委員長をやっている完璧超人だ。


 妬む人もいないし、男女ともに誰とでも仲のいい、お手本のような委員長でとても人気者で、何で俺たちと関わっているかが分からない。


「太るとか問題じゃねえだろ。ていうか、何で一限目から飯食ってんだよ」


 そう朝から元気な突っ込みを入れてくるのは、我々非リア同盟の会長であり創設者だ。

 このボケの渋滞を綺麗に捌いてくれる、貴重な人員だ。

 

 会長及び、茶髪眼鏡系イケメンの影野かげの 誠也せいやを一言で表すのなら変態である。普段は常識人だが、恋愛、性欲に関わるとおかしくなる。

 見たらわかるように俺以外みんな個性のあるやつらだ。


  クラスカーストで言ったら陽キャでも陰キャでもない結構独特な位置にいる。まあ、俺は普通なんだけどな。


 基本ご飯は一緒に食べるし、森口に彼女ができる前はよくみんなで色々なところへ行っていた。

 結構仲はいいと思う。みんなの個性はゲーセンで一番顕著に表れる。


 ゲーセンでの森口はクレーンゲームが上手い。普段から森口は冷たい扱いを受けているのだが、この時だけすごい人気があった。


 細川はダンスのゲームをめちゃくちゃキレキレに踊る。動けるデブと言う不名誉な通り名をもらっている事を彼は知らない。

 しかし知った所で、頭まで脂肪でできている細川にはダメージにもならないのである。


 一ノ瀬はパンチングマシンで、とても表現できないような野太い声を出して、毎日スコアを更新していってる。

 近所のヤンキーから『姉さん』と呼ばれていることを彼女はまだ知らない。


 影野は音ゲーが得意だ、音ゲーでいつもハイスコアを更新している。そして何か、絶対音感があるとか自慢してた。

 吹奏楽とかやればモテるのになって、思った。


 大事だから何回も言うけど、俺は普通だ。

 音ゲーも普通は難しいけど簡単だったら余裕でクリアできるし、1万あればぬいぐるみも絶対に落とせる。

 まあ、色々な意見もあるだろうが、充実した生活を送っているのは確かだ。

 

 こんな平穏な日常が、いつまでも続けばいいなと思っていた。けれども願望は無残にも、打ち砕かれる。


 ゲーセンから帰っている途中、足元から魔法陣が出現した。

 異世界転生です。そう思いながら目を閉じた次には神々しい場所に立っていた。

 トラックで轢き殺さない辺り、コンプラは一応守っているらしい。


「時間がないので手短に話させてもらう。」


 そう言葉を発した主を見ようとしたが姿かたちは見えず、脳内に言葉だけを語り掛けてくる。

 脳にゾワゾワした感じがして、とても気持ち悪い。


「今からおぬしは異世界に転移することとなる。お主には説明せずとも、どんな世界か大体わかろう?

 おぬしには加護を授ける。時間が無いので加護の内容は言えないが、後々に気づくと思う。すまないな、こちらも立て込んでおってな。

 取り敢えず次の場所へ移動させる。そこで詳しい説明を受けてくれ」


 次の瞬間には、俺の目の前に二人の巫女と神官がいた。図書館らしきところに立っている。

 流石にラノベ検定準2級保持者の俺でも、展開の速さに着いていけなかった。

 そして予想していた展開と違う事にに驚きつつ、森口たちがいないことに気が付いた。


「わしはここの管理を任されているものだ。お前さんの名は?」


「立花 誠です」


 そう言うと神官さんは少し驚いた表情をしていた。

 そして急に黙り込んで考え始めた。そこで次に巫女さんが話し始めた。


「あまたは今から異世界へと転生してしてしまいます。そしてあなたは、本来向こうの世界には存在していません。

 なのであなたの心に、歪みができてしまいます」


 無理やり転生させるので、強い力が働くらしい。そのことによって、世界にも心にも歪みができてしまうようだ。


 ジト目で美人な巫女さんが一気にそう言うと、大きく息を吸って更に続ける。

 

「異世界の神ができた歪みへ、無意識のうちに全く別の価値観や能力を植え付けてしまいます。

 植え付けると言っても、人格が大きく変わるという事はできません。

 そして残念な事に異世界へ行った代償として、こちらの世界から存在が抹消されてしまいます」


 これはこの世界からの矛盾を取り除く為に用いるらしい。

 確かに集団失踪なんて事件が起きたら、不可解に思ってしまう。しかし、抹消することまでのことなのだろうか?


「あなたにはこちらの世界の神様であらせられる、大国主大神おおくにぬしのおおかみ様によって、あなた自身に歪みを作らせないような加護を授かりました。

 ですがそのことによって、異世界の神様が本来与えるはずの翻訳能力を手に入れられないのです。ですので勉強していただくことになります」


 そう巫女は無情にも俺にそう言った、英語の定期テスト41点の俺にそう言った。

 

 そして恐ろしいことに、早速勉強が始まる。休んでいる暇は一刻も無い。

 どうやらこの世界は時間の進みをゆっくりにできるらしい。それでも全く時間が足りないみたいである。


 勉強で疲れて寝ていると電撃が飛んできた、これには昭和の教師もドン引きであろう。

 そしてしばらく勉強をしているとトイレに行きたくなった。


「あのぉ、おトイレはどこでしょうか?」


 そう尋ねると、


「漏らしてください」


 そう、答える巫女さんがいた。何か反論しようとしても電気が飛んできたので、俺は小学生以来のお漏らしをした。

 もちろん大きい方も漏らしてしまった。これには体罰教師もドン引きだ。


 俺はなぜかいくつかの言語を学ばされた。だが不思議な事に頭の中にすんなりと入っていった。

 

 そして定期的に試験が開始された。何十回も落ちたので、その都度心が折れそうになった。しかし何とか耐えた。

 そして質問すらさせてくれず、ほとんどしかと状態だったのでその点でも俺は心が折れそうになった。


 どれほどやったかわからないが俺はついに合格をした。それと同時に意識が途切れていった。

 


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