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皇帝の戦い

かつて、暗黒に光が刺し、五大神が現れてから1万の時がたった。

彼らは中央の大陸を一通り作り上げたあと、風神、火神、土神、水神は北西、南西、南東、北東の方向に自らの領土を作り、創造神のみ中央にとどまった。

こうしてリボンのように形作られたアルフェーペ大陸の中央のそれぞれの端は、神々の住処として、長く栄え、特に中央は創造神の末裔である神聖皇帝が治める神聖帝国となり、世界に名を轟かす超大国となった。



永遠を約束された超大国に、立ちはだかった国が存在した。

それが、北西、火神の国、アラガメシュ神国と神聖帝国、その間にあるクロウシュタット帝国である。

五大神を崇めず、巨大な狼に変じ、貧困にあえぐ民を助けたとされる初代皇帝クライス・サイザー

を崇める国家である。

当然の事として五大神を崇める四神国とは基本仲が悪く(火神国に限り仲はそこそこだったが)特に気位の高い神聖帝国との衝突は凄まじいものがあった。

その衝突はついに、魔法歴1453年、第一次ラグナロックで開花した。

四大神国と神聖帝国そのすべてのバトルロワイヤル、そんな中クロウシュタット帝国は火神国と同盟を組み世界を相手に戦ったのだ!

しかしやがて神聖帝国に優位が傾き初め、クロウシュタットも国土四散の危機に陥るが、皇帝の首と引き換えに、ほぼすべての領土、財産を失わず戦争は集結した………。



否、戦争は終わってはいなかった!!

まだ、未だにその息吹は、国民の、軍人の、家臣の、新皇帝の、その心の中に、深い傷として残ったのだ。



ここに、1485年、第二次ラグナロック、またの名を、『カイザー・シュラハト』の開始が宣言された。

クロウシュタット帝国の第一目標はただの一つ、神聖帝国皇帝、ジュリアス・ハルキナータの首ただひとつ。

やつの首を柱に吊り下げること、それこそがあの敗戦の屈辱を晴らす唯一の方法なのだっ………!!



第一次攻勢

動員兵力

クロウシュタット帝国

A軍集団90万人。

神聖帝国

第2軍、第10軍60万人



兵力の差においては圧倒的な分があった。

しかし障害もある。

それはクロウシュタット帝国との間にある、デレップス要塞だ。

堅牢なトーチカと要塞砲で頑健に防護されたその要塞を突破するのに数カ月はかかるとされていた。

しかし、A軍集団の総司令、ルドルフ・デッセンは決戦に備え、500門もの重砲、Aランク魔導大隊などを動員。

圧倒的な重砲の波状攻撃と、閉所において絶大な効果を発揮し、トーチカ内部の制圧に貢献したAランク魔導大隊、それらが3日での攻略を可能としたのだ。

こうしてA軍集団は西方の要塞都市チャールズから100kmのところまで近づいた。

しかし、間には川が二本あり、間の陸路も防衛網がはられていた。

川の渡河は不可能、陸路も厳重な防衛網が貼られB軍と一進一退の攻防を繰り広げていた。

その危機を打開するため、ルドルフデッセンは攻勢をやめ、デレップス要塞内に本部をおいて各将軍と会議を開いた………。



キキッ、と黒い車を止めて、静かに出てくるのは元帥ルドルフであった。

「ここは、廃墟ばかりだな………。」

そう車から見えたデレップス要塞の感想を漏らすが、廃墟にしてやったのは他ならぬ元帥の軍である。

そんな中唯一無事な場所があった、そこはデレップス要塞防衛本部がかつて置かれていた場所であり、煉瓦造りの立派な建物がそこにあった。

そしてここで今、各3個軍の指揮官と、元帥、そして参謀本部の代表二人が会合するのだ。

会議室の扉を開ければ静謐な空気が流れている。

「皇帝と会うのではあるまいに、そこまで緊張する必要もないだろう、さあ、私の席はどこなのかな。」

こちらです、と一人の男が奥の席を指差す。

そこにルドルフは座ると、早速切り出した。

「まず、要塞陥落おめでとう、諸君らと麾下の軍人の才なくしてはここまで早い陥落はあり得なかった。」

そう言うと、若く、活力に溢れた男が口を開く。

「いえ、あれ程の重砲や人員を、元帥がてはずしてくれなければ、この迅速な勝利はまず不可能だったでしょう。」

ドナル・フォンハンゼン大将、A軍指揮官。

35歳にして大将に上り詰めた期待の新星である。

続いてガル・シュターク大将とボロディン・バライカ大将が口を開く。

「我々が聖都侵攻の要ですからな。」

「皇帝陛下にもこれくらいはしてもらわねば、やってはいられません。」

そうだな、そうルドルフが返すと、本題に入っていく。

「参謀本部は、此度の停滞に際して1つの解決案があると聞くが本当か。」

そうです、そういって立ち上がるのはメガネをかけ、ドナルよりさらに若い、20代の男だった。

「参謀本部から代表として派遣されました、ホランシュタイン・アルゼー准将です、この作戦も私の立案ゆえ、今回代表として参加することになりました。」

少佐、説明せよ!!そう彼が言うと勢いよく立ち上がった男が地図を出す。

「今回、我々は川を厳重に監視され、無傷での突破は不可能となっており、中央の陸路も封鎖されているのが現状となっています、しかし、強行偵察の結果、防衛隊は数こそ多いものの、火砲や対戦車装備をそこまで配備していないようなのです、そこで、我々はここに戦車500両を投射し突破します、その後は100kmを一気に駆け抜けチャールズまで肉薄、後方及びチャールズを脅かし、この陸路を担当するB軍にもできるだけ攻勢にでてもらいます、包囲殲滅、チャールズ陥落、これらのリスクを考えれば、第ニ、第十軍は前線を下げる、つまり川の防御をといて撤退せざるおえない、そのタイミングで全軍に川を渡らせ、追撃するのです。」

「包囲殲滅をちらつかせ撤退させるのはいいが、それなら普通に殲滅してしまえばいいのではないのかな。」

「無論可能であれば狙いますが、目的は敵の撤退にあることを忘れないで頂きたい、この一連の攻勢計画を、我々は鉄竜の火作戦と名付けました、いかがでしょうか。」

「………いいだろう、その方針でチャールズを攻めることとする。」

こうして鉄竜の火作戦は認可され、すばやく実行されることとなる。



臨時で編成された500両の大戦車軍団、その指揮官はサッター・クルルト中将が務めることとなる。

「いいか、戦車は足で稼いでなんぼだ、戦車の真価は装甲でも火砲でもねえ、その機動力こそがすべてよ。」

………こんな事を言い放つ機動力大好きマンである。

鈍くて歩兵部隊は性に合わない、あんな速度で部隊に追従できるのかなど迷言の多い彼であるが流石にあそこまで言い放つだけはあり、行軍速度に関しては神がかった速度の持ち主である。

彼の指揮のもと準備は進められ、来たる8月10日、ついに実行に移された。



その日、奴らとまともに戦って生き延びたのは十万人中僅か3万だったという。

「恐ろしい地響きだった、反撃なんて思いもよらなかった。」

そう語る兵士がいるように、あまりの異様さに一発の銃弾も撃つことなく撤退した部隊もいた。

そうだろう、その日、数本しかない道路に500両の戦車が殺到したのだ。

その密度は恐るべきものであり、一両仮に倒せてもあとから10両やってくる始末なのだ。

このとき配備されていた火砲はたったの40門であり、その中で対戦車砲は10門しかない始末であった。

まあむしろ100門単位をポンと出すクロウシュタット帝国軍がおかしいのだが、とはいえその差はいかんともし難い。

しかし、その対戦車砲はある一人の大尉のもとにすべて集約されていたのだが………。

記録によれば、残り30kmの地点で突然側面から砲撃を受けたという。

それは他ならぬ対戦車砲中隊、ホフマン大尉の部隊によるものであった。

「くそ、なんだ!どこから撃たれた!」

「閃光を確認!700m、右側、森の中です!」

ホフマンは森の中に陣地を構築し、敵の側面を突いたのだ!!

当時の戦車砲の精度である、まして森に敵は隠れてまともに見えない。

ホフマン大尉自身、戦闘魔法をAランクまで鍛えており、戦車砲をシールド魔法で弾いたという話すらある。

この戦いで30両の戦車が最終的には撃破されたが、とはいえ進軍は止まらず、チャールズにまで戦車軍団は肉薄した。



「敵は、敵はチャールズにまで肉薄しており、B軍もその穴から20kmほど少しずつ前進、このままでは各個撃破、包囲殲滅の恐れも………。」

「やむおえん!!チャールズまで軍を引け!川の防衛はなしだ!!」



「敵は川から引きつつある、今こそが好機である、A軍前進!敵に鉛玉の味を教えてやれ!!」

「B軍も同じく進むのだ、確実に渡り、損害を少なくせよ!!」

こうして川から引き始めたところを渡河し、

両軍は追撃を始めた。

しかし、それを見越し第ニ、第十軍は素早い撤退をみせ、無傷のままチャールズに立て籠もる事を許してしまう………。



「小細工でチャールズは落ちん!!こここそが温存した兵器火器の使いどころである!!攻城戦を開始せよ!!」

チャールズはかつて創造神によって作られたという高さ20m、厚さ5mの城壁に囲まれた超弩級の城塞都市である。

中には300万人が住んでおり、2個軍を養うにたる設備と備蓄があり、食糧不足になるまで包囲するのも難しい。

力押しでしか陥落しない、その判断は、間違いなかった。

今回デレップス要塞で使用された火砲が引き続き使用された。

圧倒的な火力にも巨大なチャールズの城壁は耐え続け、また城壁の上にすえられた火砲が火を吹き、近づくものをなぎ倒す、戦いは熾烈を極めた。

しかし、1ヶ月経つと城壁もボロボロになり、損害により疲弊していた。

そこをすかさずAランク魔法使いを集めた精鋭中の精鋭、Aランク魔導大隊を含む精鋭を送り込んだ。

この城壁をこえ内部に突入する戦いでも1万の死傷者が出たとされる。

しかし、ついに門を制圧し、開かれ、そこから怒涛の量の帝国軍が攻め寄せた。

10月3日にチャールズの防衛本部は陥落、その時点で2個軍は脱出した。

その時点でチャールズは陥落とみなされ、本部庁舎には狼をあしらった帝国国旗が掲げられた!!

これにて、チャールズ攻防戦は何万もの屍を築きながらも終結となった………。



これからさらなる攻勢をと意気込む将官太刀に一報が入った。

今回北部の攻勢作戦となったが、その際火砲や戦車は南部の防衛軍から引き抜いてきた。

「これだけ火砲や戦車を北部に集中させていれば、南部はかなり弱体化しているのでは?」

という当然の疑問により南部で反攻作戦が起こり、ジリジリ押され始めた。

このため火砲や戦車の大半は南部行きとなり、攻勢は中止となった………。



その後も大戦は続き、そしてそれは周辺各国を巻き込み、いよいよラグナロックの体を見せ始めるが、疲れたのでここまでだよっ♡

ここまで見てくれてありがとう。

そしてさようなら!!












END!!




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