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勇者? 糞野郎だな

勇者とは――。


魔王を倒して世界を救い助けた姫様と結婚したりするあれだ。

母様の本にも勇者を題材にしたものがいくつもあった。俺は寝る間も惜しんでそれらを読み耽るほど勇者の物語が好きだった。

伝説の中だけの存在だと思っていた憧れの勇者。

それが現実にいるらしい。まあ過去にも勇者は実際にいたのだが。

とにかく、それを知って俺は――


「なあジジイ、それで学校いっていいのか?」


「お主、勇者はどうでもよいのか?」


「どうでもいいな。勇者ってあれだろ、可愛い娘に片っ端から手を出していや何もしなくても向こうから寄ってきてやれやれとか言いながらも最終的にハーレム作ってる糞野郎だろ。物語の中だからいいんだよ。現実にいたらぶっ殺したくなるわ」


「歪んどるなー、まあ概ね同意じゃが」


お前は同意しちゃ駄目じゃないの? 立場上さあ。


「はぁ、初めて見たときお主こそが勇者の器だと思ったのじゃがな。中身はとんだボンクラじゃったわい」


「んだと!」


ん? 今こいつ俺が勇者の器とか言ったか?


「おっともうこんな時間か。わしはこれから勇者殿に会ってくる。お主は――」


「学校学校学校学校学校学校学校」


「……まあよいか」


よっしゃ、久しぶりの学校だぜ。


「ところでネルトよ、フランシスを見かけないんじゃがお主知らんか?」


***


三時間目の授業中に俺は学校に着いた。

なんか新鮮な気分だ。

よくよく考えれば入学式の時しか来てないからな。自分の教室も知らなかったわ。




キーンコーンカーンコーン――


「はい、それでは四時間目の授業を終わります」


ようやく授業が終わったぜ。

案外退屈だな学校。

まあいいや、俺の本懐はソフィアとの学園ラブコメ。授業なんてオマケだオマケ。

ところでソフィアはどこにいるのか。一番近くにいた、のっぽに聞いてみるか。


「なあちょっといいか?」


「えっ? ……あ、あなたはネルト・アルバトロス様。どうしました?」


クラスメイトののっぽは畏まった態度をとる。

まあアルバトロス家は貴族の中でもかなり上の方だからな。

ちなみにソフィアの家は中くらい。


「ソフィアって娘しらね? 水色の髪の女の子なんだけど」


「水色、ですか」


「そうそう。髪は肩ぐらいまでなんだけど少し癖毛でまあそれが魅力的なんだが彼女は気にしててなそこがまたなんともそそるのだがそれを言うと目をキッとして怒ってちなみに瞳はブルーでくりくりして可愛いらしく可愛いといえば口もだなぷっくらとして愛らしく笑うと――」


「あの、もしかしてその娘、レオン様の……」




――時間が止まった。


今こいつなんて言った?

レオン様『の』?

の、って何? あ? 

あとレオンって誰だ。


俺の脳は高速で回転し、ある一つの記憶を掘り起こす。


確かソフィアと仲がいい男友達の名前がレオンだった。


ソフィアと仲がいい男がレオンだった。

そして『ナンパされて困ってる』とソフィアは言ったが、その顔は満更でもないって感じだった。


「なるほどねそうかそういうことか」


「ヒッ、ヒィィィィィィ!」


まさかあの、NTR 展開じゃないよな。まさかなそんなのは母様の小説の中だけの話だ。うん、大丈夫だ。大丈夫だよ。大丈夫だよな?


「なあ、お前」


「な、なんでしょう!」


「ソフィアって、どこにいんの?」


「み、三つ隣のクラスです。あとレオン様も」


「何! 同じクラスなのか!?」


のっぽ君、要らない情報だよ。聞きたくなかったよ。

嫌な想像が頭の中をぐるぐるぐる。

……はぁ、とりあえずソフィアに会いに行こう。


「……最後に一つ聞くけど、レオンってイケメン?」


「えっ、あはい。かなりイケメンですね」


ついでにレオン殺そ。

















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