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前回の投稿から大分間を開けての投稿です!

すみません!

「いつまで続けるつもりだ」


今、この部屋には私ともう1人の人物しかいません。だから当然、その言葉は私に投げかけられたものでした。

ここは彼の書斎。本棚には難しい本がずらりと並び、カーテンは光一つこぼさないくらいきちんと閉まっている。この部屋は何もかもがきちんとしているのです。


また彼は口を開く。私はそれに合わせて目をつぶります。

どんなことにも動揺してはだめです。この人にはスキを見せることは絶対してはいけないのですから。


「甘えるな。これはお前の仕事なんだぞ。雇い主の私を裏切るつもりか?」

「いえ、」

「なら早くしてくれ。これは命令だ」


有無を言わさないとでも言うかのように彼は書斎から出て行きました。一つ一つの動作が丁寧で美しい。こんな状況でも私は素直に見とれてしまうほど。


扉が完全に閉まるのを見計らって、私は両手で勢いよく自分の頬を叩きました。


「…………よし!」


これは仕事。絶対にこなさなければマイラーの名が廃る。

私は覚悟を決めました。あの人を殺すために。


そういえばまだ紹介してませんでしたね。

さっきの彼はイダニル・ルーセント。ルーセント公爵であり、エミリー様のお父様でございます。


*****


その夜、私はまた1人で王宮に乗り込みました。1人の方がうごきやすいですからね!


「今日は夜風が気持ちいですね〜!………よいしょっと!」


屋根に乗っているから、景色も綺麗なんですよ〜。これが仕事でなければここからスカイダイビングしたかったんですけどね。

独り言を呟きながら命綱である縄を柱にくくり付け、自分の腰にもしっかりときつく結び付ける。

………ん、これちょっとキツすぎたかも…。

少し緩めようと縄に手をかける。と、その時自分の手に他の誰かの手が重なった。


「こんなところで何をしてるの?」

「!!」


顔を上げるとそこには、


「ドミ、お兄様……?」


いつものように優しく微笑むドミお兄様が立っていました。ただいつもと違ったのは重く頑丈な鎧ではなく、ドミお兄様も暗殺者の真っ黒な仕事着を着ているということ。


「なぜ、お兄様が仕事着でこんな所に?」

「ふふ、僕は見回り中だからだよ。で、ララは?」

「っ……、えっと、私は」


この任務はお兄様にも秘密にしているのです。だから、言い訳しなきゃ!えっと、…………


「あ!」

「?」

「ア、アラン様に呼ばれてるんでした〜!急がなきゃ!では、お仕事頑張ってください、お兄様!」


急いで腰に巻いた縄を解き、ドミお兄様の視線から逃れようとする。でも、お兄様は見逃してはくれないみたいです。


「待ってよ、ララ」


その言葉と同時になにか硬いものが後頭部に当たる。カチャリという音と一緒に。

その硬いものが何なのか私は見なくても分かってしまいました。


「お兄様?何をしているのですか?」


振り返らずにお兄様に問いかけます。


「ふふっ、分かってるのにそれ聞く?」

「…だって実の妹に()()を向けてくるお兄様は正気じゃないですよ?」

「さぁ?本当に正気じゃ無いのはどっちかな?」


素早く拳銃から逃れると同時に後ろに回り込んでいたお兄様に足払いをしようとしましたが、さすがお兄様、………避けやがりました!


「ちょっ、避けないでくださいよ〜!」

「ええ〜。ほら、口ばっかり動かしてると殺しちゃうぞ!」


頭上から拳が降ってくるが難なく避け、自分も殴り返す。が、お兄様は私の拳を掴み拗らせる。同じ方向に体も拗らせその反動を利用して今度は蹴りを連続で繰り出した。


が、…………、


「背中ががら空きだよ」

「っ!」


蹴りをかわされ一瞬体制を崩したところを狙われた。背後に回り込まれ、軽く背中を押された。本来ならよろけもしない強さだったのだが体制が崩れていたため、立て直すために着地するはずだった場所より、数メートル遠い位置に着地をするはめになった。


「っ…、」


まずいです。これはお兄様を倒さなくてはいけないみたいです。

私は一度もお兄様に勝ったことないけど、どうにかしないと…!


「ララ、もう一度聞くよ。」


いつもの優しい微笑みは消えていました。ただ、こちらをじっと見つめてくるだけ。恐怖なのかなんなのかは分からないけれど、私の体は無意識に震えていました。


「僕の組織はお国を守るのが仕事だよ。でも、ララはそれに反する行為をしている。違うかい?」

「………………違わない。」

「うん、正直に言ったね。偉いえらい」


ドミお兄様は近づいてくると、微笑んで幼い子供と同じように私の頭を撫でました。


「でも、ララ。君はそうなると反逆者だ。………残念だけど、」


カチャリ


額に拳銃が突きつけられる。


「ここで死んで貰うね」

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