+(プラス)
身長差があるカップルって周りからどう見られてるんだろう?
ワタシ(149cm)とコイツ(189cm)の差は40センチ。
もちろんワタシのほうが低い....っていうか小さい。
この身長に童顔、ぺったん。
平日の昼間におもてを歩くと補導員に呼び止められる。
今でも毎日牛乳を飲んでるけど
私の成長は小学校で終わったみたい。
おかげで一般人の視界にも入りにくくて、ぶつかってはじき飛ばされる日々。
コイツを見たとき言いようの無い殺意を感じた。
背が高いくせにバスケやってるわけでもなく(ヘンケン?)、
いつもぼ~~~~~としててみんなから弱点のわき腹を突つかれる、
そんなコイツがムショ~~~~にキライだった。
しかし、この腹立たしさはコイツには伝わって無かったらしい。
ワタシのドコが気に入ったのか知らないが、
行く先々でなにかと世話を焼いてくれた。
俯いて歩いてるワタシ(のつむじ)によく話しかけてきた。
他人にぶつかられては倒れそうになるワタシのクビ根っこひっ捕まえて
“大丈夫?ケガ無い?”
と半ば無理やり立たせてくれた。
ふと気がつくと...いつも隣でのほほ~んとした顔して立っていた。
“もしかしてアンタのコト好きなんじゃない?“
友達に言われた。ワタシも薄々わかってた。
っていうかバレて無いと思っているのはコイツ(本人)だけ、
周りの友達(野次馬)みん~なが思ってる(-_-;;;
だから帰りの電車を待つホームで
“付合って欲しい”
と告白された時、意外とワタシは冷静だった。
コイツがいつものぼ~~っとした顔で
“映画に行こう!いやドライブがイイかな?“
なんて話してる姿を見てるとワタシの中の「キライな理由」が
知らず知らずのうちに口から出ていた。
“ワタシとアナタとじゃ身長がつりあわないよ”
言ったあとに後悔した。
でも「ホントのことだ」ととも思った。
するとコイツは少し考えて
“僕の身長が189センチ、君の身長が150センチくらい”
“だから2人の身長を足して2で割ったらちょうどイイくらいだよ”
って。
コンプレックスは誰でも持ってることを
このとき初めて気づかされた気ががする。
コイツはワタシと逆の場所で同じ思いをしていたのだと。
“ご、ごめんなさい!!”
言葉と共に涙があふれた。
無神経で素直じゃない自分への怒りで目の前が暗くになる。
このままもっと小さくなって消えしまいたい!
ホントに真っ暗になった。
コイツがワタシを抱きしめたのだ。
電車の音も人のざわめきもなにも聞こえない、
コイツの心臓の音だけが私を包んでいた。
少したちワタシの真上からいつもどおりのほほ~んとした声が降ってきた。
“それにね”
コイツの話しには続きがあるみたい。
“それにね”
“僕は体のわりに包容力が無いから君で精一杯なんだ”
“だからちょうどイイんだ”
顔をあげる。きっとクシャクシャになってる。
でも言わなきゃ!思ってることを!伝えたいことを!
“割りたくない!!”
“?”
“2でなんて割りたくない!”
“3メートル越えたって4メートルになったって足したままがイイ!”
“アナタと一緒にいたい!”
うれしそうに目を細めてコイツが頷く。
“じゃ、ずっと足したままでいよう”
また涙があふれる。
でも、さっきとは違う涙。
週末は友達に車を貸してもらって海まで来た。
途中のパーキングでお昼を食べてる間
コイツはあの時と同じ目でずっとワタシを見ていた。
恥ずかしくてご飯がノドを通らない....。
とりあえずテレかくしにワキ腹を突っついといた。