第2話 忌まわしき記憶
2話目です!
何が起きたかすぐに理解できた。
1番桑原がヒットで出塁したのだ。
だが、岡留は成瀬の事が気になってしょうがない。
また歓声が起こった。
2番石川がフォアボールで出塁した。
三浦大輔のユニフォームを着た成瀬は拍手をしている。
岡留は話しかける勇気が出ない。
続く3番の梶谷もフォアボールで出塁した。
球場全体がざわめく。
ノーアウト満塁で迎えるバッターは4番筒香。
浜風がさっきよりも強くなった気がした。
その瞬間、完璧にとらえた打球音と、ものすごい大歓声と共に観客が一斉に立ち上がった。
岡留も立ち上がり、周りの人とハイタッチして喜びを分かち合った。
すると、成瀬が話しかけてきた。
成瀬「逆転満塁ホームランですよ!!筒香!!」
成瀬の声を聞いた岡留は過去の記憶を思い出した。
それは、小学生時代まで遡る。
当時小学6年生の岡留はクラスの中心的存在だった。
5月の初旬。
クラスに転校生がやってきた。
名前は、
「成瀬 沙織」
容姿端麗な成瀬を初めて見た岡留はほっぺたを真っ赤にした。
そして岡留の隣の席に座った。
その後成瀬はクラスの人気者になり、岡留とは家も近かったため親友的な仲になった。
だが、11月の中旬に事件は起きた。
成瀬の事をよく思わないクラスの女子数名が成瀬の上履きを校舎裏の池にこっそり捨てたのだ。
そしてすぐにクラス会議が開かれた。
先生「誰か、どんな些細な情報でもいいからなんかないか?」
クラス全員「………」
すると、主犯格である秋野 ゆかりが手を挙げた。
秋野「先生!私犯人知ってます!見ちゃったんです…岡留くんが、成瀬さんの上履きを池に投げ捨てるとこを!」
岡留「えっ…………………」
岡留の頭は真っ白になり、「やってない!」と言いたいのに声が出ない。
先生「そうか…ありがとう秋野。岡留!お前は居残りだ。それ以外は解散!」
秋野「……クククっ」
岡留は何度も問題を起こしていたため、無実を主張しても信じてもらえなかった。
先生「岡留、明日ちゃんと成瀬に謝るんだぞ」
岡留「……」
先生「ほらっ、遅いから早く帰れ」
岡留には「怒り」という感情は芽生えなかった。
「怒り」を通り越して「無」になっていたのだ。
昇降口に行くと、成瀬と成瀬の母親がいた。
岡留「成瀬、俺は…」
成瀬「シンちゃんだったんだね…シンちゃん、沙織のこと嫌いだったんだね」
岡留「……」
成瀬「大丈夫。沙織ももうシンちゃんのこと嫌いだから。信じてたのに…バイバイ」
その後成瀬は1週間学校に来ず、そのまま転校してしまった。
そんな成瀬沙織が今隣に座って岡留に話しかけてきてる。
あのときの誤解を解くチャンスだと思った岡留は勇気を出して口を開いた。
3話に続く……
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