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勇者伝承魔王伝  作者: 善信
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第一話 其の八 捕虜への説得

「さっさと殺せ…」

捨て鉢気味にゼフィリアは吐き捨てる。


今は捕縛した他の連中と一緒に座っているが、先程まで悪ノリしたシィランにより、恥ずかしい縛り方でぶら下げられていたためか、その目には涙が浮いていた。


「いや、だから悪かったよ…」

「ごめんなさいねぇ…」

一応、生殺与奪の権利はロッシュ達にあるのだが、なぜか捕虜に平謝りである。楽しませるつもりが、やり過ぎてガチ泣きされ、一気に場の空気が悪くなった…みたいな雰囲気に、妙な罪悪感を覚えてしまったシィランとロッシュはなんとかゼフィリアをなだめて今に至る。


「まぁ、とりあえず話をだね…」

「話す事など何もないわ。知りたい事があるなら、アタシ達を殺した後に勝手に調べればいい」

「いや、だから、殺す気は無いって」

「フン…白々しい。どうせ、情報を引き出すだけ引き出したら殺すくせに…だれがその手にのるものか」

ロッシュはため息をつく。

意地になってるのか、疑心暗鬼になってるのか、あるいは両方か。とにかくゼフィリアは殺せの一点張りだ。

ちなみに他の捕虜の皆さんは、できれば死にたくないと目で訴えかけてきている。


「僕らはこの世界について知らない事が多い…君は何か研究職みたいだし、色々と教えて欲しいんだよ」

勝手に調べればいいと先程も言われたが、基礎知識がないロッシュ達では「なにを調べればいいのか」で頓挫する可能性があるのだから、やはり、ゼフィリアの協力は得たいのだが…

「ハッ!そんな義理はないね!アタシは長い年月かけて調べ挙げたんだから、お前達もそうすればいい。それともまた私を辱しめて、無理やり口を割らせてみるかい?」

よほど屈辱的だったのか、まったく交渉に応じてくれない。


「お前達人間は、捕虜の女を陵辱するのが好きらしいじゃないか。さっきの縛り挙げる辱しめといい、どうやら本当らしいね」

シィランが気まずそうな顔をする。

たしかに先程は悪ノリが過ぎたが、一部の悪習を人間全体に当てはめらても困ってしまう。


「おい…お前、いい加減にしろよ…」

威圧感を出しながら、ギョウブがゼフィリアの前で仁王立ちになる。さすがのゼフィリアも気圧されて黙ってしまう。

「さっきから聞いていれば、辱しめるだの陵辱だの…ロッシュは仮にも『勇者』だし童貞だ!そんな手を使う訳がないだろう!」

「ブハッ!」

突然、味方から背中を刺されるように童貞だとカミングアウトされてロッシュが噴き出す。さらに捕虜達がざわつきだし、なぜかアセリア達が目を輝かせた。


「ギョ、ギョウブ!それは今、関係ないだろっ!」

言われて、ハッとなるギョウブ。悪気はないのだが、たまに言わなくてもいい事を言ってしまうのが悪いくせであった。

「す、すまない、ロッシュ…」

ギョウブがオロオロとして謝るが、ロッシュもお年頃(現在19歳)である。

仕方がないなぁ…と、やや引きつった笑顔でギョウブに答えるが、その背中が泣いていた。


「ほ、本当にすまない…そうだ、後で俺の胸を揉んでいいぞ」

「な、何を言うんだ!そんな事…」

アセリア達を虜にしたその胸を揉んでいいという。口では否定気味だか、心は揺れているのが端から見ても良くわかる。

ロッシュも男であった。


「いけない…ロッシュ!」

突然、リシュリンがロッシュに体当たりする様に抱きついてきた。

「ギョウブの胸は凶器だ…魅いられたら死ぬぞ!揉むなら…私のにしておけ」

リシュリンのセリフに、こんどはアセリア達が噴き出す!

「リ、リシュリンさん!と、突然、何を言いますの」

「そうだ!凶器どころか、男にとっては至宝といってもいいぞ!」

「ギョウブさん!そういう事ではありません!」

「間とってアタシの胸でどうだい?」

「シィランさんまで!」

アセリアの嗜めも追い付かない。


「クッ、ククク…ハハハハハハハハ!」


捕虜そっちのけでワイワイ揉めるロッシュ達を見て、今度はゼフィリアの爆笑する声が響き渡った。

またも馬鹿馬鹿しい雰囲気です。

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