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16 マイペースな剣士と眩暈のする魔術師

 レオナールにとって、毎日満足に食事が取れるということは当たり前ではない。一番古い記憶は四歳頃からで、それ以前のものはない。

 その記憶を頼りにすれば、初めて彼に無条件て食べ物を与えたのはアランであり、初めて彼が覚えた共通語は「食べろ」と「お前にやる」である。


 最初のきっかけは、アランが地面に落とした木の実入りのビスケットをレオナールが奪って食べた事だが、レオナールはその事をあまりよく覚えていない。

 それを見たアランがレオナールの分も用意するようになり、幾度か繰り返す事によりレオナールが学習した。

 それが自分のために用意されたものであり、奪い返されたり暴力を振るわれたりしないという事に気付いた時、何故そんな事をするのか疑問に思った。


 いまだにアランのことが理解できているとは言い難いレオナールだが、なんとなくわかっているのは、態度はともかくアランは身内認定した相手に甘い、またはその世話を焼くのが好きだということだ。

 場合によっては、うるさい、またはしつこいと思えるほどに。その大半は「面倒臭い」としか思えないが、それで助かっている部分もあるので強く言えないのも事実である。


(面倒臭いけど、頼まなくてもやってくれるのが楽なのは確かなのよねぇ)


 レオナールとしては、アランがいてもいなくてもかまわないのだが、いる方が格段に便利で楽なので一緒にいる、という感覚である。

 アランが知れば嘆くこと間違いなしである。アランがいなければもっと面倒な事になるという自覚はあるので、それに関して感謝しなくもないのだが。


(いなければいないで、その時はその時だし)


 その場合、一箇所に腰を落ち着けることはないだろうし、誰かに顔を覚えられるような付き合いもないだろう。

 犯罪者になれば町や村への滞在が難しく、まともな方法で生活費などを稼ぐのが困難になるというのは理解しているのだが、それが絶対に必要だという意識もない。

 斬ることと、満足のいくだけの食事ができれば、他人など必要ではないのだから。


 ハーフエルフの聴力は人より若干高めなため、レオナールは人の多い場所が苦痛だ。

 人の声は、その他の物音より聴覚を刺激しやすく、意識して制限しなければ、意味不明な言葉も脳内で半自動的に意味のある言葉として翻訳されてしまう。


 物心ついた頃から、その意味は理解できなくても聞こえた音を丸暗記する事ができた。聞いた当時は、意味がわからなかった。

 少しずつ理解出来るようになったのは、十歳前後くらいからだろう。邸内の人間の大半はレオナールが言葉を理解できない者として扱っていたため、聞き苦しい言葉も良く聞こえた。

 それらの大半が理解するだけ無駄だという事に気付いた時、それらを記憶し理解しようという気が失せた。

 自分に向けられているように聞こえるのに、何故それを自分に言うのか理解できない内容であれば、尚更だ。

 必要なことだけ聞くという取捨選択ができなかったので、全部聞き流す事にした結果、人の話し言葉は雑音と化した。


 それで全てを遮断できれば、もっと楽だったのだが。


(面倒臭いけど、仕方ないわね)


 文句言いたげな表情で睨むアランに、レオナールは苦笑した。


「心配掛けて悪かったわ。ごめんなさい、アラン」


 こういう場合あえて言葉を削って最小限にした方が良い、と学習した。何か付け足すと、余計アランの怒りを倍増させるらしいと経験則でわかっている。

 何故そうなるのか、までは理解できないが。レオナールが謝罪すると、ようやくアランの表情が緩んだ。


「ところでレオ。お前、魔法陣踏んでヤバイと思ったら、すぐ戻って来ようと思わなかったのか?」


「だって転移先にこの魔術師がいたのよ? なるべくすぐ逃げ帰っても同じ結果だったと思うけど」


「だから俺の目の届かないところで、お前に単独行動させたくなかったんだ」


「えぇっ、もしかしてアラン、私を監視しないと何かやらかすと思ってる?」


「当然だろ。逆に尋ねるが、やらかさなかった事があったと思ってるのか?」


「え、そんなに失敗してないわよね?」


「お前に学習能力というものはないのか!」


 キョトンとするレオナールにアランは激昂した。


   ◇◇◇◇◇



「ざっと見て来たが、他にも魔法陣らしきものはあるが、人は他にいないようだった。外にも出られるようだが、確認するか?」


 戻って来たダオルの報告に、アランは頷いた。


「ではその魔法陣と、出入り口に案内してくれ」


「了解した」


 その洞窟、あるいはダンジョンはコボルトの巣の半分くらいの大きさだった。


「転移陣が四つだな。識別名《麦の道》場所名《蜘蛛1》《弱き者》《弱き1》《古き墓場》。

 《蜘蛛1》はさっきの場所で、《弱き者》はたぶんコボルトの巣にあったのが《弱き1~8》だったからおそらくコボルト関連だろう。

 《古き墓場》は初めて見たからサッパリだが、嫌な予感しかしないな」


「じゃあ、早速行きましょう!」


 アランの言葉に嬉しそうな顔で言ったレオナールを、アランが睨み付けた。


「おい、ふざけんな。今から厄介そうなダンジョンぽいところへ行こうってのか? お前、本気で死にたいようだな」


「えぇっ!? なんでよ。面白そうじゃない」


「面白いとか言うのは、お前だけだ」


「……墓場というくらいだ、アンデッドが出そうだな。でなければ遺跡か。ただの古びた墓場に転移する魔法陣など普通は作らないだろう」


 ダオルが渋面で言った。


「だから楽しそうでしょ?」


「準備不足だ、諦めろ」


「えぇっ、食料はたくさん持って来たでしょう!?」


「ガイアリザードの背の上にな。それに不死者対策は出来てない。付与魔法なしだと、1体倒すにも時間がかかるぞ。

 アンデッドは魔法なしだと核を壊さないと動き続けるし、幼竜の餌にならないし、核を壊したらただの臭いゴミだ。

 行くなら、せめて聖水くらいは用意したい」


「じゃあ、次の目的地はその《古き墓場》ね!」


「勝手に決めるな。その前に少し金を稼いでおこう」


「え? だって、ここへ来る前に少し稼いだり、今回の報酬があるでしょう? それに、師匠から送金された収入もあるし」


「それはお前の金だろ。準備にも金が掛かるんだ」


「保存食料は大量にあるのに?」


「薬剤やその材料、ランタンの油、調味料、飲料水は確実に要るだろ。その他の消耗品は今のところ、前のがあるから大丈夫だと思うが」


「足りないなら、ちょっとなら出しても良いわよ?」


「ミスリル剣欲しいとか言ってなかったか?」


「そりゃもちろん欲しいけど……ねぇ、今、目の前にあるのに、どうしてもダメなの?」


「ダメだ。もし、そう書いてあるだけで、転移先が壁の中とか密室だったらどうする気だ。踏み直しする空間もなければ戻って来られないぞ。

 だから事前に情報収集もしておきたい」


「また?」


「とにかく今日は、ここの出入り口を確認したらラーヌへ戻ってギルドで報告するぞ。捕まえた連中の中に賞金首がいれば、臨時収入にもなる」


「面倒臭いわね」


 レオナールは嫌そうな顔になったが、渋々頷いた。ダオルの案内で一行は出入り口へと向かった。洞窟の外は森だった。


「植生や気温からいって、コボルトの巣に近そうな感じだな。だとしたらフェルティリテ山が見えるはずだな。なければ別の場所だろう」


「あの山なら、あればすぐ見つかるだろう」


 アランの言葉に、ダオルが頷いた。


「どう、ルージュ?」


「きゅきゅーっ!」


 幼竜が尻尾で差した方角に、山が見えた。アランが慌ててメモを取り出して、おおよその現在地を書き出した。


「太陽があっちだから、たぶんラーヌの北北東辺りか。ガイアリザードや馬車の回収を考えると、ちょっと面倒だな。

 少し離れた場所に転移陣を設置したいけど、良いか?」


「それはあれば助かるが、大丈夫か?」


 ダオルが尋ねると、アランは頷いた。


「設置場所が見つかったり壊されると面倒だから、なるべく人目につかず、魔獣や魔物に荒らされない場所に設置したいんだが」


「屋外でそういう場所探すの、難しくない?」


「わかっている。ただ、手元に紙があるから、短期間なら問題ない」


 アランが言うと、レオナールもダオルも怪訝な顔になった。


「どういう意味?」


「紙の上にも魔法陣は描けるんだ。一番大きな紙でも四方0.5メトルに満たないくらいだが、人間用なら問題ない」


「ルージュならはみ出すわね」


「お前も体験して知っているだろ? なるべく魔法陣からはみ出さない方が良いのは確かだが、定型にのっとった転移陣なら多少はみ出しても問題ない」


「じゃあ、設置できそうな場所を探してくるわ。その間に魔法陣を描いておいて」


「おい、レオ。お前、俺が言ったこともう忘れたのか?」


「ルージュと一緒に行くし、遠くには行かないから安心してよ」


「信用できるか! ダオル、すまないが頼む」


「わかった。なるべくすぐ戻る」


 ダオルが立ち去るのを、レオナールが不服そうに見送った。


「私にだってそれくらい出来るわよ」


「お前はしばらく単独行動禁止だ。俺が大丈夫と認めるまでは、絶対ダメだ」


「子供扱いしないでよね」


「お前は子供より質が悪いだろ。悔しかったら態度で示せ。どんないいわけしようと、目に見える結果が全てだ。

 お前の手元に魔法陣が転がってきたというわけでないならな」


 鼻で笑って言うアランを、レオナールはムッとした顔で睨み付けた。


「いいかげんしつこいわよ」


「うるさくてしつこくて陰険で悪かったな、諦めろ」


 折角こちらから謝ってあげたのに、とレオナールは憤慨した。いっそ単独行動してやろうかと思ったが、これ以上アランを怒らせると面倒なので、悩むところである。


(どういうわけか、アランを斬ろうとは思わないのよね)


 レオナールがその気になれば、いつでも斬れるはずなのだが、イメージが全く浮かばないのだ。それになんとなく気が進まない。やると後で悔む事になる気がするのだ。


(何故かしらねぇ。やっぱりいると便利だから? いないと、ちょっと面倒そうよね)


 特に対人関係のことに関してはアランにまかせきりである。彼が口を開くと、相手を怒らせたり絡まれたりすることが多いからというのもある。

 本人的には、よくわからないけど相手が勝手に激昂した、という印象なので、アランに叱られる度に自分は悪くないのに、と考えている。

 他人に歩み寄る気も理解する気も皆無なので、それが改善されない限り理不尽な目に遭っているとしか思えないだろう。アランにとっても、レオナールにとっても、不幸な事である。

 もっとも、レオナールはアランが短気で怒りっぽいと思っているので、アランと付き合う限り意味不明な理由で怒鳴られるのは仕方ないと考えている。


(それに説教されたり怒鳴られたりするくらいでそれ以上の害はないから、暫く我慢していれば良いだけだもの。意味不明なゴブリンの言葉みたいなものよね)


 それが聞いていない、と言われる理由の一つなのだが、自覚はない。アランがもし、自分の言葉の大半がゴブリン語扱いされている事を知れば、激昂すること間違いなしである。


 アランは地面に屈み込んで、0.47~8メトル四方の紙に、慎重に触媒で魔法陣を描いている。

 最後の結びの文字を描き終わると、崩さないようゆっくり右手人差し指で魔法陣の外円に触れ、古代魔法語で固定するための発動文言を放ち、魔力を吸わせる。


「《結》」


 紙に描かれた魔法陣が青白い光を放ち、順に輝いた。全ての光が消えてから指を離し、その隣にもう一枚同じ大きさの紙を置くと、同じような作業を行う。


「よくそんな面倒臭いことできるわね」


「できなきゃ使えないし、意味ないだろう」


 そう言って、二枚の紙の両端を持って、魔法陣を内側になるように合わせて丸めた。


「円の大きさが同じくらいね」


「多少違っても文字やシンボルが全く同じなら問題ないはずなんだが、念のためだ。魔法陣はまだまだ未知の部分も多い。

 過去には原因不明の事故の例もあるらしいからな」


「便利かもしれないけど、面倒臭いわね」


「正しく使えば、問題ない。転移陣なんて、特にだろ」


「面倒なのは設置の場所と方法よね。私は何度見ても区別つかないし、使いこなす自信は全くないわ」


「古代魔法語の知識がないと大変なのは間違いないが、お前はどうして覚えられないんだ?

 他のやつが言うなら仕方ないと思うが、レオはかなり頻繁に目にしてるはずだろう?」


「そんなの決まってるでしょ。興味がないからよ」


 怪訝そうに尋ねるアランに、レオナールはフッと笑って答えて、さらりと髪を掻き上げた。


「胸張って偉そうに言うな!」


「アランってば本当短気ね」


「お前のせいだろ! だいたい、そういう事を自慢気に言えるお前の神経がどうなってるのか、知りたいよ!!」


「神に愛される美しい天才は、凡人には理解しがたいものよね。仕方のないことよ」


「お前のその根拠のない自信が、どこから来るのかサッパリわかんねぇよ……」


 アランは呻くように呟いた。



   ◇◇◇◇◇



「少し離れた場所で、古い角牙熊の巣を見つけた」


「穴を岩か何かで塞ぐか、木の枝か何かで隠蔽できると良いな。《知覚減衰》と《認識阻害》の魔法陣を見つけたから、それを設置してみても良いが」


「穴を塞いでも、また来て使うんでしょ。面倒臭くない?」


「そうなんだが、必ずしもすぐ来られるとも限らないからな」


「えっ、どうしてよ」


「ラーヌでまたトラブルが起こらないとも限らないだろう、この前みたいに。本当はなるべく早くロランへ戻りたいんだが」


「じゃ、何もなければまた来るのよね」


「レオ、次回は対の魔法陣があるから、ロランからでも行けるんだ。急がなくても良い」


「でも、さっきの拠点っぽいとこ、ギルドか何処かに報告するんでしょう? 次来た時中に入れるの?」


「それはダニエルの管轄だな。責任者が彼だから、おれが報告出す際にその旨伝えておこう」


「という事は今回捕まえた連中も、俺達がギルドとかに報告する必要はないって事か?」


「その通りだ。さっき、周辺を見るついでに連絡も出しておいた。応援もどこかから派遣されるだろう」


「なんかそれ、追加の追加で、どんどん増えていきそうなんだが」


「王国中に人員が派遣されているはずなんだが、いまだ首謀者は判明していないし、どういう組織なのかもよくわかっていないからな。どうしても後手に回りがちだ。

 だが、くわしい事は知らない方が良い。下手に係わると口封じに殺されたり、拉致・誘拐されかねない。実際、そういう被害も出ている」


「え、でも、俺達二人とも既に係わっているだろ?」


「始末されていない《混沌神の信奉者》を見たことがあるのか? 下っ端じゃなく、他を指図するような幹部クラスを」


「……ダオル、聞いてないのか?」


 アランが声をひそめ、怪訝な顔になった。


「ダニエルから一通り話は聞いたつもりでいたんだが、違ったのか?」


 ダオルが不思議そうに尋ねると、アランは口ごもった。


「あー、その、とりあえずその角牙熊の巣へ向かうか」


 明らかな話題変換をするアランを、レオナールが横目でチラリと見た。ダオルは訝しげな顔はしたが、頷いた。


「こちらだ」


 その巣は、比較的若い角牙熊が棲んでいたと思われるが、あまり使われない内に引っ越したのか、あるいは猟師や冒険者に狩られたのか、においも足跡などの痕跡も薄くなっていた。

 あまり大きくない巣穴なので、他へ移動したのかもしれない。


「ルージュやガイアリザードは出入りできるか微妙ね」


「紙に描いてあるから先に人を転移させて、広い場所へ置いて再度発動させれば良い。だから使う時は、レオが最後だな」


「ふぅん、問題ないならそれで良いけど」


 そう言って、レオナールは退屈そうに大きく伸びをした。アランは魔法陣を描いた紙を平らな場所に置くと、入り口付近に触媒で《知覚減衰》と《認識阻害》の魔法陣を描いて、魔力を吸わせて固定化した。

 全員が外に出てから、魔法陣を発動させる。


「へぇ、あのダンジョンの出入り口ほどじゃないけど、魔獣や魔物相手ならこれでいけそうね」


「そうだな。高位魔術師じゃなければごまかせると思うが」


「おそらく大丈夫だろう。場所を知らずにここを見つけるのは、難しい。この森は広いから、全て探索し調べ尽くすのはほぼ不可能だ」


「同じ魔法陣なんだが、術者による魔術だったのかな、あれ」


「幻術や精神魔法を毎日かけに通ってたとか? いくら転移陣があっても面倒じゃない、それ」


「そうだな。そう言えば、入口付近は《隠蔽》もかかってたんだよな。でも、指定がちょっと自信がないし、今回は諦めるか」


 それから今度は魔獣避けの魔法陣を描き、固定化し、発動する。少し眩暈を覚えて、アランはその場にしゃがみ込んだ。


「大丈夫?」


「魔力不足だ。しばらく休めば問題ない」


「そうか。おれは先程の洞窟へ行って連中の様子を見て来よう」


「そうだな、放置している間に目覚めてたら面倒だ。特にエルフの魔術師が厄介だ。あの状態じゃ魔法は使えないはずだが、魔法陣は生きてるからな」


 アランが動けるようになるまでレオナールとルージュが周辺を警戒し、先の洞窟へと向かった。それが見えて来た辺りでレオナールとルージュが立ち止まった。


「どうした、レオ」


「何も感じない? 人が増えているわ。何人かはわからないけど、少なくとも十数人はいるみたい。ルージュはどう?」


「きゅきゅーっ! きゅっきゅうーっ!!」


 ルージュはブンブンと頷き尻尾を振るが、アランには何が言いたいのかサッパリわからない。レオナールがそれを見て渋面になった。


「もしかして、もっと多い?」


「きゅうきゅう!」


 そうそう、と言わんばかりに上下に頭を振る幼竜。なんだと、と驚愕するアランに、レオナールが困ったように肩をすくめた。


「ですって。でも、戦闘音は聞こえないのよね。もうちょっと近付かないと会話内容まで聞こえないから、ちょっと行って来るわ。

 ルージュ、あなたはアランとここで待っててくれる?」


「きゅう!」


「おい、レオ!」


 慌てるアランに、レオナールはニッコリ微笑む。


「あら、あなたが来ても足手まといになるだけでしょう。ここでルージュと一緒に待ってる方が良いと思うけど?」


 言われて、アランはグッと息を呑む。


「なぁ、レオ。頼むから無茶するなよ?」


「大丈夫、安心しなさい。ねぇ、アラン、嫌な予感はする?」


 レオナールに言われて、アランは気付く。


「……何もないな」


「ふーん、じゃ、やっぱり敵じゃなさそうね。ちょっと確認してすぐ戻るから、待ってなさい」


「そうか、ダオルの応援か」


「だと思うんだけど、確証はないから。何か会話してるっぽいから聞いてくるわ。低く籠もった声だと、ちょっと聞き取りづらいのよね」


「わかった。一人で接触しないで、何かわかったら戻って来いよ?」


「大丈夫。知らない人と会話するだなんて、そんな面倒臭いことするわけないじゃない」


 レオナールはそう言ってヒラヒラと手を振りながら、洞窟へと向かった。


「……知らない人との会話が面倒って、お前、それはそれでまずくないか……?」


 アランは軽い眩暈を覚えた。

話が進んでNEEEEEって感じですが(汗)。

地の文を何回も書いては消し、を繰り返しました。

やっぱり心情とかそういうのは、文章でこうだ!って書くより、ストーリーで納得できなきゃね、と思ったので該当箇所を削除。

見えないものを魅せなきゃね!とか思うのですが、ここ暫くダラダラしすぎなので、反省中。

あと2~3話くらいで今章完結できたら良いなと思いつつ。←自信皆無。

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