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残念ナルシ鬼畜守銭奴オネエ剣士は我が道を行く!  作者: 深水晶
3章 コボルトの巣穴 ~ラーヌに忍び寄る影~
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32 師弟の会話

 レオナールがダニエルと共に宿へ戻ると、一階は灯りが消されていた。そのまま階段へと向かう。


「アランのお前の夕飯は部屋の方だ。スープは用意できなかったが、代わりにお茶を淹れてくれるってよ。

 あと、水を張ったたらいも用意してある」


「アランは相変わらずマメねぇ」


 半ば感心、半ばあきれたように言うレオナールに、ダニエルは肩をすくめ、その後真顔になった。


「なぁ、レオ」


「なぁに、師匠」


「お前、いつもああなのか?」


「どういう意味かしら」


 レオナールは首を傾げた。


「小人族の件だ。まさか相手が急に無抵抗になったから、どうしたら良いかわからなくなったとか言わないよな?」


「ああ、だって前に、アランが無抵抗になったやつは斬るなって言ってたから」


 レオナールが答えると、ダニエルが一瞬顔をしかめた。


「なぁ、レオ。それ、補足説明ついてなかったか? もしくは無抵抗のやつを斬らない理由とか」


「え~、理由?」


 レオナールはキョトンとした顔になった。


「アランは毎回話や説明が長いから、何か色々言ってたような気がするけど、良く覚えてないわね」


「……アランの苦労がわかるな、これ」


 ダニエルが渋面になった。レオナールが怪訝な顔になる。


「これはあれだな、アランがランクアップしたくないと言うのも、仕方ないな。

 戦闘面の問題だけじゃなく、全般に渡る判断力も状況把握すら怪しいし。冒険者以前に、人として問題あるレベルだったかもな」


「どういう意味?」


「お前が冒険者やるのは、まだ早すぎたかもしれないって事だ。どうだ、一時アランとのパーティー解散して、俺に着いて来るか?」


「何それ。師匠は今、王都で何かやってるんじゃないの?」


「四六時中面倒を見てはやれないが、教師役をつけてやるから、しばらく一般常識や教養や何やら教育してやる。

 合間に鍛錬とかもしてやるから安心しろ。冒険者やるのに、最低限の対人の対処や判断もできないんじゃ、話にならない。

 アランにはちょっと荷が重すぎるだろ」


「冗談よね?」


 レオナールが首を傾げた。


「冗談に見えるか?」


 レオナールは、真顔のダニエルをマジマジと見つめ、肩をすくめた。


「ねぇ、師匠。私はやっと冒険者になれたんだから、やめる気はないわよ」


「一時的だと言っただろう。これなら大丈夫というレベルになったら、復帰させてやる」


「あのね、師匠。それ、やるだけムダだと思うわよ? 座学なんてやった事がないもの。絶対聞いた端から、忘れるわね」


 胸を張って言うレオナールに、ダニエルは眉間に皺を寄せた。


「やった事がないから、やるんだろう」


「より正確に言うわね。やらされても、私はやる気がなかったから、やらなかったの」


 ダニエルがうわぁ、という顔になった。


「お前、何でそれを、偉そうな顔と態度で言えるんだ」


「アランと同じこと言うわね」


 レオナールは肩をすくめた。


「誰だって言うだろ。言っておくがな、今のお前は図体と態度のでかい子供だ。

 ちょっとした判断もまともにできない上に、必要最低限の知識も価値基準すらもない。

 自分の判断基準を他人に依っているが、その内容すらきちんと把握できていないから、かえって、いびつでおかしなものになっている。

 俺もある程度わかってたつもりだが、お前、ちょっとひどすぎるぞ? それじゃ、いずれ何か重大なミスをやらかしかねない。

 そうなった時、きっとアラン一人じゃフォローしきれなくなるだろう」


「だから?」


「だから、それがきちんとわかるように、教育してやると言ってるんだ」


「だから、ムダだってば」


 レオナールは肩をすくめて言った。


「いくら時間と労力かけても、ムダだと思うわ。だって、興味のない事は、全く覚えられないんだもの。

 やり方を変えればわかるようになるって、師匠は言いたいんでしょうけど、やる前からできないとわかっている事を、わざわざやる必要はないわ。

 悪いけど、たぶん私、師匠の言ってる事も、アランの言ってる事も、半分も理解できてないと思うのよね。

 だから、それ以外の人の言う事なんて論外。


 師匠は、ゴブリンやコボルトの言葉を理解しようと思った事ある? 私にとって、人の言葉ってのは、そういう類いのものなのよ。

 たぶん一生懸命考えてくれてるんだろうとは思うけど、そういうの全部ムダだから、やめた方が良いと思うわ。

 うるさい雑音にしか聞こえないもの」


「……お前というやつは」


 ダニエルはガックリと肩を落とした。そして困ったような顔で苦笑し、レオナールの頭をガシガシと乱暴に撫で回した。


「ちょっ、何よ! 髪が乱れるじゃない」


「まぁ、お前の言い分は本当ひどいが、一応お前的には気を遣ってくれたつもりなんだろうな。

 たぶん俺達相手じゃなきゃ、何も言わずに無視するんだろうし」


「だって、説明とかすごく面倒臭い上に、どうせ言ったら、相手が激昂したり苛立ったりするだけなんだから、言わなくて済むなら、言わなくて良いでしょ。

 別に理解して貰おうとか思ってないから、どうでも良いわ。それより、髪の毛かき混ぜるのやめてよね。汗掻いてて気持ち悪いんだから」


「はいはい。っていうかお前、自分が本音を正直に言ったら、相手が怒るかもしれないとは思ってるんだな」


「理解はできないけど、常々体験してるし、理由は良くわからないけど、どういう言動したら、どういう反応が返って来るかくらい、学習してるわ。

 でも、合わせる気はないし、やっても出来ないから、最初からやらない方がマシじゃない?


 たぶん中途半端に合わせようとする方が、面倒な事になると思うわ。

 たいていの人って、これが出来るのなら、あっちも出来るんじゃないかって、期待したり考えたりする生き物だもの。

 最初から全部ダメって表明しておけば、それ以上期待したり、やれって言われずに済むでしょう」


「言いたい事はわからなくもないんだがな、それ、無駄に人と衝突したり、不快感を与えたり、トラブル起こしたりする元になってそうなんだが」


「それは、ある程度仕方ないわよね。でも、アランが頑張ってくれたから、ロランでは大抵の人が諦めてくれたわよ?

 慣れたとも言うのかもしれないけど」


「……あー、そいつは気の毒に」


 ダニエルが肩をすくめた。


「私もアランも基本的に、不特定多数の人と仲良くしたいと思うタイプじゃなくて本当に良かったと思ってるわ。

 人付き合いなんて最小限で良いもの。それ以上なんて、面倒臭いだけよね?」


「でも、俺が今問題だと思ってるのは、敵対している相手、もしくは犯罪者や襲撃者、お前に危害加えようとするやつについての扱いについてなんだが。

 わかってるか? お前さ、さっきのあれ、あのままあいつに逃げられてたら、どうするつもりだった?」


「逃げたら捕まえるわよ。必要なら、足か腕を斬ったり、折ったりして」


「捕まえられなかったら? 後日、人数集めて報復に来られたら?」


「その時は、その時、対処すれば良いでしょ。手加減が無理そうなら、しなけりゃ良いのよ。『正当防衛』なら仕方ないんでしょ?」


「直接的なやり方でなく、間接的に来られたらどうする気だ? 例えば、宿泊してる宿屋の関係者がさらわれるとか」


「それは別に私たちに被害出てるわけじゃないから、関係なくない?」


「そのせいで、宿に泊まれなくなったら?」


「その時は、仕方ないから他の宿を探すか、面倒臭いけど、首謀者や実行犯捜しに行って、ぶちのめすしかないわね」


「さらわれた相手が、既に殺されてたら?」


「それは仕方ないわよね。だって、それはやった相手が悪いのであって、私たちがどうにかできる事じゃないもの」


「……うーん、やっぱり、俺が悪いのかねぇ……」


 はぁ、とダニエルが溜息をついた。


「どういう意味?」


「いや、なんというか、お前がそう考える心当たりが、自分になくもないという辺り、やっぱ俺に子育ては無理だという事がつくづく良くわかったというか、身と心に突き刺さるというか。

 俺、出来ればお前とアランには、俺とかの悪い影響はなるべく受けずに、可愛い良い子に育って欲しいと思ってるんだが、なんか既に手遅れっぽい感じがヒシヒシと」


「可愛い良い子とか、それ騙されたり虐げられやすい、カモ代表じゃないの? なんでそんなものに育って欲しいとか言うのか、サッパリね。

 師匠って嗜虐趣味なの? それとも女だけじゃなくて稚児趣味まであるのかしら? 最悪ね」


「いやいや、違うからな! 全然的外れだからな、それ!! どうしてそんな妙な事言うんだよ!?

 だいたい、俺はそんな言葉、お前に教えた覚えねぇぞ! どこで学習したんだ、そんなの!!」


「冒険者ギルドや下町の酒場へ行けば、いくらでも聞けるわよ? あと、絡んで来たり喧嘩売って来る連中が、侮辱や罵倒に使って来たりね。

 冒険者ギルドのおかげで、語彙がだいぶ増えた気がするわね」


「おい、その手の語彙は必要ないから、封印するか忘れておけ」


 ダニエルが嫌そうな顔で言う。


「あら? でも罵倒語は結構便利よ。対人には必須よね!」


「いや、それ、絶対違うと思うぞ。

 って言うかさ、レオ、シーラと似た口調や発音で、下品な語彙や言い回し使われると、俺、なんか思わず土下座したくなるんだが」


「どうして?」


「だって、あいつ、お前がこんな言葉使ってるとか知ったら、絶対、引き籠もりやめて、俺を全力で潰すために、襲撃かけて来そうじゃねぇか。

 あいつ、怒らせるとメチャクチャ恐いんだぞ。しかも忘れてくれたかと思えば、いつまでもしつこく覚えていたり」


「そんな事言われても、あんまり接触する事なかったから、サッパリね。

 脱走するのはそう難しくなかったけど、あの人の周囲は、警戒が凄かったから、あいつがいる時は会話すらなかったもの」


「……うん、悪かった。なぁ、レオ、お前、後悔してないか?」


「どういう意味?」


「色々な。俺に師事した事含めて、なんてのかな、例えば、俺がやった事が、本当にこれで良かったのかと、時折ちょっとな」


「良くわからない事言うわね。何が言いたいのか、何を意図してるのか、さっぱりだわ。でも、私、後悔なんてほとんどした事ないわよ?

 一つだけあるとしたら、あいつを殺せなかった事くらいだけど」


「あー、それについては、悪ぃけど、勘弁な。でも、お前の不満や怒りが少しでも解決できるように、処理したつもりだし、後始末もちゃんとする。

 とりあえずは、シーラの契約解除してからだけどな。

 今、あいつがいるのは、決められた看守以外は接触できない場所で、食事以外には、時折尋問を受ける他は、動く事も許されない禁固刑を受けている。

 たぶんあいつ、他にも情報握ってるはずなんだよ。でも、そっちは俺にまかせろ。悪いようにはしないから。


 レオ、俺は時折嘘も言うが、お前たちには絶対幸せになって欲しいと願っている。だから、そのための努力や行動を怠るつもりはない。

 困った時は、迷わず俺を頼れ。いつでも何処でも、可能な限りなるべく早く駆けつけてやるし、出来る事なら何でもしてやる。

 俺は正直、子供の扱いなんか良くわかんねぇし、良い大人の見本とか絶対無理だし、たぶんどっちかと言えばロクデナシの部類だと思うが、お前らのために何かしてやりたいって気持ちだけは、確かだからな」


「急にどうしたの、師匠。なんか年寄りくさいわよ?」


「……年寄りくさいとか。お前、時折、ひどいよな。

 ……ってそういや、レオが『師匠大好き!』とか言う可愛い子供だった事は、一瞬たりとてなかったな」


「何それ、妄想? とうとう頭がおかしくなったの、師匠」


 真顔で言うレオナールに、ダニエルがはぁ、と溜息をついた。


「お前、そういうとこ、シーラそっくりだよな」


「そう言われても、良くわからないわ。そんなに似てるかしら?」


 レオナールが首を傾げる。


「うーん、ちょっとした仕草や所作が似てるせいもあるのかもな。まぁ、初恋補正がかかってないとは言い難いが」


「師匠ってば、本当、趣味悪いわよね。あの人の他は、人妻とか、未亡人とか、ヒモにたかられてる年増の酌婦とかだったわよね。

 今もそういうのやってるの?」


「おい、どういう意味だ。趣味とかじゃねぇぞ。俺はいつも真摯で本気だ。

 まぁ、世の中のいい女は、大抵既に他のやつに目をつけられたり、結婚したりしてる事が多いのは、事実だが」


「……確か、人妻は現在の国王の妹で、宰相夫人だったかしら。確か金髪碧眼の美人だけど、今年三十三歳とかだったかしらね」


「お前、どうして、そういうどうでも良い事は覚えてるんだ」


 無表情になったダニエルがボソリと言う。レオナールは肩をすくめた。


「だって一時期酒飲む度に、うるさかったじゃない? なんであんないい女が人妻なんだって、ぼやいてたじゃない。

 そりゃ普通の貴族や王族の娘は、早ければ十五歳、遅くても十八歳までには大抵結婚するんだから、夫が死ななければ、人妻なのは当たり前よね? 

 しかも王妹と来れば、直系中の直系。上級貴族の中でも、特に富裕で権力も持ってる、条件の良い男のところへ嫁ぐのは当然よね。

 そんな女に横恋慕しても、相手にされないのは当たり前でしょ」


「殿下は美貌だけでなく、内面も素晴らしい女性なんだよ。頭も切れるし、バランス感覚も良い。それでいて、女性らしさも寛容さも持ち合わせている。

 きっとお前も直接会ったら、メロメロだぞ?」


「そんな機会は一生ないし、私が誰かをそういう対象として見る事は絶対ないわね」


「お前、なんでそういう事言うの? それって、人生つまんなくねぇ?」


「例えばの話よ? 師匠は、オークを性的対象として見られる?」


「おい、なんでよりによって、オークだよ。良くわかんねぇが、要するにレオにとって、人種全般が対象外だと言いたいのか?」


「まぁ、そういう事ね。だからといって、魔獣や魔物に性的興奮を覚える事もないけど」


「あー、まぁ、それは良かったとしか言いようがねぇけどな。でも、淋しくないか?」


「別に。そんな風に考えた事も、感じた事もないわね。私から見たら、そういうものに振り回されてる人達の方が、面倒臭そうだし、どうでも良い事に振り回されて、大変そうだとしか思えないけど。

 理解しがたい生き物だとしか思わないわね」


 肩をすくめるレオナールを、ダニエルはしばらく真顔で見つめ、仕方ないとばかりに肩をすくめた。


「まぁ、そういうのは、考えたり意識的にそうなるもんじゃなくて、感じるものだからな。たぶん、人の本能的な感覚なんだと思うぞ。

 エルフ種はそういう情動が薄い傾向があるから、ある程度は仕方ない。他の長命種は必ずしもそうとは言い難いんだが」


「とりあえず、師匠やロランのギルドマスターやサブマスター、職員の女の子見てる限りでは、面倒臭そうとしか思えないわね」


「へぇ、ギルド職員の女の子?」


「アランにご執心なのよ。でも、アランってば鈍いから、やり取りが時折噛み合ってなくて、面白い事になってるけど」


「……あいつ、わりと興味ない事には、無関心だったり不注意だったりするとこ、あるからな。大丈夫なのか?」


「時折、困る事もあるけど、たいてい何とかなってるから、大丈夫でしょ。

 何かに夢中になってる時は、それ以外の事に注意が向きにくくなるのが難点だけど」


「んー、なんかサポート要りそうだな。お前が俺に着いてこないってんなら、役立ちそうな便利なやつを見繕って送るか?」


「それはアランが喜びそうね。明らかにランクが違い過ぎると面倒だから、その辺り考慮して貰えれば助かるけど」


「じゃあ、現時点で、冒険者ギルドに登録してないやつが良さそうだな。本命は盾になる戦士か、最悪でも戦闘時に挑発とか支援ができる遊撃役かな。

 で、頭脳労働と対人処理と、レオの教育係もできそうな器用で頭が良くて、察しの良いやつか。結構難しいな」


「一人に全部やらせようってのが、難しいんじゃないの?」


「そうかもな。まあ、考えておく。良く考えたら、俺、頭使うの苦手だから、補佐に考えさせた方が良さそうだけど」


「でも、アランってば、どうして最初から師匠に頼まなかったのかしら」


「あいつ、俺のコネ使えねぇとか思ってるみたいだからな。

 まあ、俺の直接の知り合いは、ちょっと変なやつが多いのは事実だし、じゃなかったら地位が高すぎたりして、自由に動けなかったり、コネがあっても早々会えないやつが多かったりするから、それもある意味間違いじゃないんだが。

 だけど、間接的なコネだとそうでもないんだけどな。あ、これアランには暫く伏せとけ。その方が面白いからな」


「アランをムダに怒らせたり、苛立たせたりしないなら、別に良いけど」


「大丈夫だっての。そこら辺はちゃんと考えてやるから。俺を信用しろ」


「師匠を全面的に信用すると、たまに痛い目を見るんだけど」


「あん? そんな酷い事したか?」


「師匠基準では酷い事でも、痛い目でもないんでしょうけどね。でも安心して。師匠にそんな過大な期待したりしないから」


 ニッコリ笑うレオナールに、ダニエルが渋面になる。


「そこまで言われると、なんか悔しいから、アランとレオナールが大喜びして感動してくれそうなやつ、捜して選んでおく事にする」


「無理しない方が良いわよ? 師匠、いい加減トシなんだから」


「いやいや、自分で言うのはともかく、人にトシだとか言われたくねぇからな!? 俺はまだまだこれからなんだからな、おい!!」


「師匠がムダに元気で若く見えるのはわかってるけど、そろそろ人間なら、老化現象が始まってもおかしくないでしょう?」


「中年呼ばわりはされても仕方ないから良いが、老化とか言われると泣くぞ、おい」


「じゃあ、泣けば? 私、師匠の泣いたとこ見た事ないから、見てみたいかも」


「悪ぃが、そのリクエストは受け付けらんねぇわ、無理」


 そして二人は、二階のレオナール達の宿泊する部屋の前に到着した。


「じゃあ、師匠。おやすみなさい」


「あー、俺も中に入る」


「そうなの?」


 レオナールが首を傾げて、ダニエルの肩に担がれた小人族に目をやった。


「ああ、これか。一応、アランに《眠りの霧》かけて貰って後で適当に放り込んでおく」


「潰れないかしら? これ」


「そんなにヤワじゃねぇだろ」


 そして、二人はノックしてから入室する。


「おかえり、レオ。遅かったな。おっさんも一緒か?」


 アランがダニエルに気付いて、首を傾げる。


「ああ、これに《眠りの霧》をかけて貰いたいのと、ちょっと話がある」


「何? もしかして、レオが何かやらかしたのか」


「ちょっと! なんで私が何かやらかしたとか考えるのよ」


「え、違うのか?」


 アランがやや驚愕したように、軽く目を瞠った。レオナールが渋面になる。


「それについては、俺の部屋でしよう。レオナールは食事に集中したいだろうしな」


「じゃあ、茶を淹れたら、そっちの部屋へ行く。三階の一番奥の大きい部屋だよな?」


「ああ、じゃあ、魔法だけかけてくれ」


「了解」


 アランはダットに《眠りの霧》をかけた。


「じゃ、また後でな、アラン。レオ、おやすみ」


「ええ、おやすみなさい、師匠」


 そしてアランはレオナールのために茶を淹れて、カップに注ぐと、部屋を出る事にした。


「じゃあ、行って来る。遅くなるようなら、先に休んでろよ、レオ」


「子供に言うような事言わないでよね。眠くなったら寝るわよ。いってらっしゃい」


 頷き、アランは部屋を出て階段へと向かった。一人残されたレオナールは、茶をすすり、冷めたクレープを頬張りながら、考える。


(やっぱり、さっきの事かしらねぇ?)


 確かに、無抵抗になられたからと、対応に迷ったのはまずかったのかもしれないが、何が問題なのか、レオナールには理解できなかった。

サブタイトルつけるの苦手です。パッと決まる時は決まるのですが。

早くモフモフとかトカゲとか書きたいですが、しばらく登場しません。ケモ度100%のモフモフとか、トカゲとか爬虫類系、可愛くて良いよね、とか思うのですが。


以下を修正。

×ハーフリング

○小人族


×お前おとアランには

○お前とアランには


×本当は盾になる戦士か

○本命は盾になる戦士か

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