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残念ナルシ鬼畜守銭奴オネエ剣士は我が道を行く!  作者: 深水晶
3章 コボルトの巣穴 ~ラーヌに忍び寄る影~
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28 相方の魔術師を、剣士は理解できない

戦闘および残酷な描写・表現があります。人間相手の戦闘描写があります。苦手な人は注意して下さい。主人公の言動がちょい問題ありかも?

 時折、かする程度に傷付けたり、剣の平たい部分で打ったりしつつ、レオナールは男の攻撃パターンや、武器の扱い方を観察していた。


(んー、もう良いかしら?)


 冷静な時なら、もっと面白かったのだろうが、熱くなっている状態では反応がつまらない、とレオナールは感じていた。


(邪魔がいなくなったから、もう本気出してくれても良いんだけど、これ、本気で周りが見えてないわね。

 うっかり遊びすぎて、アランにほとんど無力化させちゃったから、後で文句言われそうねぇ。

 っていうか、他にいないのかしら、確か全員じゃないわよね。有象無象なんて、いくら数がいても変わりないのに。何考えてるのかサッパリだわ)


 どうせ集めるなら最低でも五十超、可能ならば百人くらいは集めて来て欲しいものだ、とレオナールは思う。二十や三十じゃ、たいした事はない。

 もちろん、その全員が精鋭の傭兵、あるいは統率された指揮官付の騎士や兵団であるという場合は別だ。

 しかし、一般人に毛が生えた程度のチンピラを、実戦経験のある冒険者にぶつけてどうしようというのか。


「眠くなるような斬り合いじゃ、張り合いないわね」


 レオナールは冷笑した。


「つまんないわ」


 もっと高揚するような、興奮するような、あるいはヒヤリとするような、そういう攻撃をしてくれるなら、もっと楽しめたのに。

 血を見るのが好きだというわけではない。肉や骨を断つのが快感だというわけでもないし、相手が傷付き、苦しむのを楽しんでいるわけでもない。

 ただ、自分の身体が動き、相手がそれに反応し、それに対してどう対応するか、そういう攻防や言葉を介しないやり取りが楽しいのだ。


 もちろん、自分の攻撃がキレイに急所などに入って、一撃で倒せた時も快感・爽快感を覚えるのだが、本当に楽しいのは、敵の動きからその意図や思惑を読み、どう動けばそれを阻止でき、こちらの思惑通りにする事ができるか、そういう駆け引きだと思う。

 殺したいと思って殺した事はない。ただ、斬りたいと、イメージ通りに剣を振りたいと思うだけだ。


 正直なところ、イメージ通りに振るえるのならば、相手の生死も、自分の生死もどうだって良い。

 自分の意思通りに身体を動かそうとして、それが上手く決まると気持ちが良いのだ。

 しかし、その快感の度合いも、相手次第である。強い敵を倒せないのなら、雑魚も木偶もそう変わりはない。


「ねぇ、もっと私を楽しませてよ? 遊ぶのも良いけど、ちょっとは本気見せてくれる?」


「くそガキがっ……!」


 レオナール本人的には、この時、挑発する気は皆無であり、単に本音を口にしただけなのだが、相手はそうは受け取らなかった。

 ますます怒りを募らせ、熱くなる男に、レオナールは心底不思議に思い、首を傾げた。


(……難しいわね、人間って。これ以上、いくらやってもムダかしら。なら、アランがキレる前に終わらせた方が良さそうね。仕方ない)


 レオナールの顔から感情が削げ落ちた。男が槍斧を大きく強く、水平に薙ぎ払う。それを屈んで避けると、地面を蹴りつけ、飛び上がる。


「何っ!?」


 レオナールはバスタードソードを振り上げ、振り下ろす。ガァンと響くような音を立てて、右肩にヒットし、更に亀裂・破損を拡げる。

 そして着地する前に、男の下腹部辺りを両足で蹴りつけ、飛びすさった。

 男が、バランスを取るため、左足を僅かに一歩引き、槍斧を正面に構える。

 そこへ再度地面を蹴りつけ、距離を詰めたレオナールが、男の右ふくらはぎを側面から、回し蹴りで払った。


 レオナールが分厚く堅い革のブーツを履いているように、男も革のブーツを履いて防護していたのだが、重心が若干左足寄りになっているところだったため、ガクリと右膝が曲がった。

 そこへ、更に左のかかとで男の右膝を踏みつけ、右手で握った剣の柄で、槍斧を下から跳ね上げるように叩く。

 慌てて槍斧(ハルバード)を引き戻そうとする男の腹を、左手の平でトン、と押すと、剣をクルリと回して側面から脇腹に叩き付ける。


「ぐっ……!」


 男の力が緩んだ瞬間を狙って、左手で槍斧の柄を跳ね上げ、掴む。そして投げ捨て、着地すると、素早く右足を払った。

 倒れ込む男の下腹部辺りを踏みつけると、男の鼻先、拳一つ分の距離に、剣の刃を突きつけた。


「はい、終わり。……で、念のため聞くけど、どうして私たちを襲ったの?」


 男は無言でレオナールを睨み付けた。そこへアランがゆっくり近付いて来る。


「聞くだけ無駄だろ? それより周囲を索敵してくれ。どこに敵がいるか、わからない」


 アランの言葉に、レオナールは肩をすくめた。そして、右足で男の顔面を蹴りつけた。


「おい!」


 アランが咎めるような声を上げるが、レオナールは気にせず、そのままグリグリと踏みにじる。


「抵抗する気力がある内は、気が抜けないわ。しっかり心を折るか、動けなくなるまでやっとかないと」


「あーもう、わかった。ちょっと待ってろ。……汝、暗く優しい眠りの霧に包まれ、風の精霊ラルバの歌を聴き、夜の女神シルヴァレアの(かいな)に抱かれ、混沌たるオルレースの下、深き眠りにまどろみたまえ、《眠りの霧》」


 魔法が発動し、男がガクリと意識を失った。


「後々の事考えたら、しっかり心を折っておいた方が良かったと思うけど?」


 レオナールが首を傾げて言うと、アランは溜息をついた。


「下手すると自分の息子くらいの年齢のやつにそこまでされたら、最悪再起不能になるだろ。後が面倒だから、やめとけ」


「そうかしら? でも、そんな相手に集団で襲いかかるような下種で下劣な品性の男、どうなってもかまわないじゃない。

 むしろ、新たな被害者を出さなくなって、かえって良いんじゃないの?」


「それは俺らの仕事じゃねぇだろ。だいたい、お前、ダニエルのおっさんにまかせたとか言ってなかったか?

 自衛と身を守るための反撃はともかく、それ以上の事やらかしたら、あのおっさん、余計な事すんなとか、段取り狂わすなとか、文句言ってくんじゃねぇの」


「アラン、何か怒ってる?」


 レオナールが怪訝そうに尋ねると、アランはギッと睨み付けた。


「とにかく他に敵がいないか、周囲を索敵してくれ。使える魔法は増えたが、索敵とかに使える魔法は全くねぇんだよ。ほら、早くしろ」


(なんだかよくわからないけど、怒ってるわね。やっぱり、大半アランに片付けさせたからかしら? そんなに魔力消費させたかしらね。

 コボルトの巣の時と比べたら、そんなにたいした事なかったかと思ったんだけど。

 うーん、魔法の事は良くわからないものねぇ。それとも面倒くさいことさせんなとか、もっとお前が片付けとけとか、そういう事かしら)


 レオナールは首を傾げつつも、周囲を視覚・聴覚・嗅覚により、注意を払う。建物越しの人の気配が雑多なため、いつもより、余計なものが多すぎる。

 眉をひそめながら、辺りをグルリと見回すが、こちらを見ている者は見つからず、怪しい動きをしている者も見つけられなかった。


「……大丈夫そうに見えるけど?」


「《疾風の白刃》の金髪の剣士がいない。あと、魔術師二人と、槍斧(ハルバード)の戦士はいるが、神官もいない。

 それと、さっきあの酒場の二階から弓矢で射られた」


「怪我をしたの?」


 レオナールは慌ててアランを振り返るが、アランは首を左右に振る。


「いや、当たらなかったから無傷だ。まだしばらく俺もお前も《鉄壁の盾》の効果があるが、効果が切れない内に、伏兵か見届け役を捕まえておきたい」


「伏兵ねぇ? じゃあ、そこの酒場の二階、見に行く?」


「その間に、こいつら回収されてもつまらないだろう。特にこいつ、槍斧(ハルバード)の戦士は、絶対に確保しておきたい」


「こいつらを拘束して運ぶには、人手が足りないわね」


「ロープは常に持ち歩いてるわけじゃないしな。レオは何か持ってるか?」


「持ってるわけないじゃない。だって、本来なら夕食取って、アランの用事済ませたら、宿に戻るつもりだったんだもの」


「万一のために、戦闘できるよう完全装備で来たのは幸いだったよな。……それより、お前、頼むから戦闘時は、全体見て行動してくれよ」


「え? どういう意味?」


「このおっさんが、お前が遊んだり絡んだりしたくなるタイプだってのは、わかってるよ。

 だけどな、他にもまだ敵がいっぱいいる状態で他を放置して、目の前の事にだけ集中するのは勘弁してくれ。

 今回は事前に《鉄壁の盾》を使えるようになっていて、前もって詠唱する事も出来たし、運良く俺に弓矢も当たらなかったから、なんとか処理できたが、結構危うかったんだぞ?」


「そうなの?」


 レオナールがキョトンとした顔になる。


「そうなんだよ。確かに、弓術士と魔術師に攻撃魔法使うとは、事前に予告したが、非殺傷魔法の手持ちが少ないから、結構きつかったんだ。

 《眠りの霧》は人間相手、特に魔術師相手だと、かからない事も多いからな」


 そこへ、足音が聞こえて来た。レオナールがあら、と声を上げる。


「……誰だ?」


 アランが尋ねると、レオナールは笑顔で答えた。


「師匠と、ギルド職員のジャコブって人と、情報屋ね」


「あー」


 アランが呻くような声を上げた。


「そういや、俺、言ったな、確か」


「何を?」


 レオナールの質問に、アランは苦笑を浮かべた。


「いや、さっき声掛けられて、イラッとして、おっさん呼んで来いって言ったんだよな」


「うん? どういう事? っていうか、ジャコブが来てたってこと? ここに?」


「ああ。ちょうど、弓術士と魔術師とやり合ってる最中で、一番気が張ってた時だったんだよな。

 あのおっさん、こっちが神経尖らせてる時に、のんびり話しかけて来るから、つい」


 他に何か言ってなかったかな、とアランは首を傾げたが、思い出せない。とにかく、巻き込ませないよう追い払おうとした記憶だけはある。


「よぉ、お前ら大丈夫か? って、もう終わってんのか」


 ダニエルが声を掛けて来た。


「はぁい、師匠。わざわざ荷物持ちありがとう。ロープか鎖か何か拘束するものある?」


 レオナールが言うと、ダニエルが苦笑する。


「お前、俺をこき使う気満々だな、レオ。悪いが、一応戦闘できる装備はしてきたけど、ロープの手持ちはないな」


「なんだ。気が利かないわね」


「なるべく急いで来たつもりだったんだがな。あ、ジャコブ、何か持ってる?」


「えっ!? い、いや、持ってません。すみません」


 ジャコブが何故か謝っている。


「ロープなら手持ちが少しある。でも、全員分はない」


 と、アントニオが言った。


「わぁ、ありがとう。借りても良いかしら?」


「ああ」


 そう言って、アントニオがロープをレオナールに手渡した。レオナールはそれを受け取ると、嬉々とした表情で、槍斧(ハルバード)の男の拘束に取り掛かる。

 アランがそれを手伝いながら、ジャコブを見た。


「悪い、ジャコブ。さっきは戦闘中で、ちょっと気が立ってた。ちょうど一番神経使うところだったんだ。

 でも、ああやって鎧も装備してないのに、魔法の撃ち合いやってる最中に近付くのは、危ないぞ」


「ああ、こっちこそ悪かった。神経集中している時に邪魔されたら、誰だって怒るし、気が散っていらつくよな」


 ジャコブに真顔で謝られて、アランはキョトンとした。


「うん? ああ、まぁ、そうだけど。でも、俺もちょっと焦ってて、余裕なさすぎたからな。それにこの人数だから、どうしようか困ってたんだ。

 ダニエルのおっさん呼んできてくれた事も含め、応援に来てくれて有り難う。すごく助かる」


 そう礼を言うと、ジャコブが苦笑した。


「ああ、いや、喜んで貰えて良かったよ」


 ダニエルが笑って言った。


「おいおい、アラン。俺にはそんな気を遣ってくれた事ねぇじゃんかよ。普段から俺にも、もっと感謝の念とか、お礼とか、賞賛とかしてくれたって良いだろう?」


「はぁ? いや、おっさんには礼するような事より、嫌がらせとか迷惑のが多く掛けられてるだろ。

 そんなに感謝されたり賞賛されたきゃ、余計な事言ったりやったり、しなけりゃ良いだろうが」


「……おい、ずいぶんだな。お前の口から、きゃーステキカッコイイ天才ダニエルさん、とか出るとは思ってねぇけどさ。でも、ほら、もっと何かねぇの?」


 ダニエルは頬を掻きながら、尋ねた。


「何がだよ? あ、そうだ、おっさん。そこの酒場の二階、一応見てきてくれないか? さっきあそこから弓矢でこっち狙ってきたやつがいたんだ。

 もういないかも知れないけど、いたらそいつも拘束して連れてきて欲しいんだが」


「うーん、ロープはねぇけど、一人くらいなら気絶させて運んで来りゃ良いか。あ、悪い、ジャコブ。どっかでロープ買って来たりできるか?」


「あ、はい。じゃあ、近くの雑貨屋に置いてないか、見に行きます。あれば買って来ますね」


 そうして、ジャコブはロープを買いに走り、ダニエルは近くの酒場の建物内に入って行った。

 アントニオは、レオナールとアランが拘束するのを眺めている。


「ずいぶん手際が良いな。慣れてるのか?」


「ああ。時折やってるから。一応、やり方はダニエルのおっさんに習ったんだが」


「それは、人間限定の縛り方だな。もしかして魔獣・魔物を生け捕りにした場合の、拘束の仕方も習ったのか?」


「ああ、一応、大きさとかタイプ別に、いくつか習ったかな。今のところ、魔獣・魔物の生け捕りの依頼は受けた事ないが」


「だろうな。Fランク冒険者に、そういう依頼を出すやつはいないだろうし」


「そうだな、俺が依頼主でも、Fランクには頼もうとは思わないだろう」


 ロープの長さがあまりないので、後ろ手に縛って、足首と腰の辺りで、動けないよう、縄が動かないようにグルグル巻いて結び目を作っただけである。

 縛る前に、一応武器などを身に付けてないかチェックして、武装解除済みである。

 財布などは、中身だけチェックして、元の場所に戻しておいた。


 他の拘束していない者達も含め、武装解除して、一箇所に集めて地面に並べた。

 あれだけの騒ぎを起こしたのに、人の気配がする近所の酒場や飲食店から、一人も出て来ないのが、少々不気味である。


「なんで、誰も来ない上に、様子見に来たりもしないんだ?」


「係わり合いになりたくないからだろう。たぶん、他の連中は、お前らが勝つとは思ってないだろうし、見て見ぬ振りをするのにも慣れている」


「ベネディクトと《疾風の白刃》の神官がいなかったから、てっきり見届け兼報告役か、伏兵がいると思ったんだが」


「ベネディクトは、今頃、自宅か飲食店か酒場か娼館にでもいるだろうよ。神官は、この町の光神神殿にいるだろうな」


「何だって? ラーヌの町の神殿所属の神官が、現役の冒険者、しかもよりによって、こんな事をしでかす連中の仲間なのか?」


「神殿所属の神官と言っても、色々だ。とは言え、ラーヌの町の神殿に関しては、何処も似たり寄ったりというか、各神殿に貢献している神官については、色々優遇されている」


「貢献って、つまり、金、賄賂か?」


「神殿の場合は、賄賂とは言わないな。寄付とか、浄財とか、まあ、色々言い方はあるが、要するに一番わかりやすい貢献が金集めなのは確かだ。

 金集めが上手くて、人集めが上手い神官が、神殿で出世する」


「……酷い話だな。つまり、清廉潔癖で清らかな聖人的な神官ってのは、伝説・伝承の類いにしか存在しないのか」


「地方の田舎や辺境、巡礼・巡回してる中には、いるかもしれないが、どのみち出世はしないだろうな。

 そういう連中は、世渡りが下手そうだし、立ち回りや根回しが上手いとは言い難いだろう」


「夢も希望もないな」


 はぁ、とアランが溜息をついた。


「アランは夢を見すぎだと思うけど?」


 レオナールが言うと、アランは眉根を寄せた。


「別にそういうんじゃねぇよ。でも、世の中あんまり酷い事ばかりだとは思いたくないんだよな。

 全ての人間が善人ってわけじゃなく、とんでもない悪党も大勢いるけど、世の中の大半は、そのいずれでもない普通の人だと思ってるからな」


「アランは、世の中には善人、悪人、それ以外の普通の三種類の人しかいないと思ってるの?」


「いや、それもちょっと正確ではないとは思ってるぞ。

 だいたい、俺なんかまだまだ知らない事だらけだってのに、世の中とか社会とか、俯瞰して見られるわけないし、全てわかったようなつもりになれる程賢くもないし、悟りを開いてるわけでもないしな」


 そう言ってアランは肩をすくめた。


「だけど、世の中には嫌な事ばかりじゃなくて、良い事、楽しい事もいっぱいあるだろ?

 だから、なるべく嫌な事、面倒な事は全力で回避して、楽しい事を楽しいと思えるような過ごし方をしたいと思ってるんだ。

 ……とりあえず、ラーヌは面倒臭い事が多すぎて、楽しめる自信はあまりないが」


「それは、ラーヌに住む者としては残念だが、まぁ、現状を考えれば、そう言われても仕方ないな」


 アントニオの言葉に、アランは慌てた表情になった。


「あっ、すまない。そういうつもりじゃなかったんだが、俺、田舎育ちで世間知らずなもんだから」


「いや、実際、ラーヌに慣れた人間以外には、風通し悪くて暮らしにくいのは、確かだろうからな。

 ただ、こんな町だからこそ、俺の商売が成り立っているとも言えるから、微妙なところだ」


「ああ、そうか」


 なるほど、とアランは頷いた。確かに情報の有用性が重視されるのは、それが必要とされたり、正確なそれを自力で入手・収集するのが困難な場所だろう。

 なくても問題ない、あるいは自力でそれを入手するのが容易い場所であるなら、商売として成り立つものかどうか。


「そう言えば、アメリーに聞いたが、何か用があったのか?」


「あー、それはまた、今度にする。今聞いても、頭に入るか自信ないしな。でも、予告しておいても良いか?」


「ああ、何だ?」


「ラーヌ南東のダンジョンについてだ。そういう噂があるか、あるとしたらどういう内容か、実在しているかどうか」


「……何処で聞いた?」


「レオナールが、ロランの騎獣屋で聞いたらしいんだが」


「悪いが、聞いた事はないな。一応、調べておくが」


「あー、あんたが聞いた事ないというなら、それは良い。あと気になる事と言ったら、そのロランの騎獣屋の方だが、そいつは詐欺をやらかしてるから、たぶん捕まらないだろう。

 俺達に無許可のガイアリザードを売りつけたんだ。気付いたのがこの町に来てジャコブに話を聞いてからだから、もう遅い。

 なぁ、レオ。騙されてる可能性が高いけど、やっぱりそのダンジョンってやつは……」


「もちろん確認はしに行くわよ。アランは存在しないと思ってるのかしら?」


「普通に考えたらそうだろう」


「でも、私はあると思ってるわ」


 自信満々な顔でレオナールが胸を張る。


「は? 何でだよ」


「強いて言えば、勘、だけど。あれは嘘ついてる顔じゃなかったのよね。

 もしかしたら、私たちをハメるための罠って可能性は皆無じゃないでしょうけどね」


「そう思うなら、行かないって選択はないのかよ」


「やあね、アラン。面白そうな事、楽しそうな事は、直接確認しないと。『かもしれない』とか『たぶん』とか、そんな推測・推論なんかどうでも良いわ。

 わからなかったら、実際確認してやってみる、で良いじゃないの」


「……俺は、お前のそういうところが、すごく嫌なんだが」


 アランがぼやくように言うと、レオナールはニッコリ笑う。


「別にアランがどう思おうと、私は行くわよ。アランが行きたくないって言うなら、別行動になるだけの話よね」


 レオナールの言葉に、アランはものすごく嫌そうな顔で、深い溜息をついた。


「はあ……。そういうやつだよな、お前って。わかった、俺も行く。お前一人で行動させられるかよ」


「そんなに嫌なら、ついて来なくても良いのに」


「嫌だけど、お前を野放しにしたらどうなるか考えたらゾッとする」


「どうしてアランはそうなのかしらね?」


「それは俺の台詞だっ!!」


 アランが渋面で叫んだ。

サブタイトルが微妙(いつもの事ですが)。

レオナール、人によってはメチャクチャ嫌われるだろうな、と思いながら書いてます。

なるべく読んでくれる人が、過剰?な期待しないようにキャラ設定したつもりですが。

たぶん普通に俺様にすると、ハーレム展開とか恋愛要素とか期待されるかもしれない、と思ったので、この設定になりました。

中身オーガなハーフエルフが、人間社会で生活する様子や、成長(?)を描きたいというのが、一応プロット立てた時のコンセプトです。

以下修正


×フル装備

○完全装備


×分厚い堅い革のブーツ

○分厚く堅い革のブーツ


×面倒臭い

○面倒くさい


×有り難う

○ありがとう


×世の中、

○世の中には


×巡察

○巡回

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