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残念ナルシ鬼畜守銭奴オネエ剣士は我が道を行く!  作者: 深水晶
5章 古き墓場の鎮魂歌 ~古代王国の遺跡~
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55 古竜との挨拶と話し合い

「先程ぶりです、古竜殿」


《おお、良く戻ったな、若人達よ。先程、穢れた長耳がそこの船?から恐ろしい形相ですっ飛んで行ったが、無傷で撃退できたようだな。重畳、重畳》


 古竜は身体を揺らして満足そうに笑った。


「船から出てきたの?」


《どうやら一番奥に転移陣を設置しておったようじゃ。その先はおそらくやつの本拠地であろうな。ずいぶん遠距離のようだから、そこの蜥蜴とドワーフと小人族は使わん方が良いぞ。魔力が枯渇して死にかねない。

 あとの者らも魔力の大半もしくは半分以上を失うので気を付けた方が良かろう》


「ということはあいつは船の扉を開閉できたのか?」


 アランの疑問に古竜は答えた。


《短距離転移ではないかの。魔力の動きがそういう風に視えた。面白かったぞ、あの長耳。何やら嘆いたり罵倒したり、混沌神に祈りを捧げたりしていた。

 魔結晶とやらが奪われたやら唯一無二の至宝を破壊されたとか盗人を殺すとか言っておったが、転移陣と船から出るための短距離転移で己の大半の魔力を消費するとは愚かしきことよ。

 あのようなことをするよりその辺の壁をぶち破った方がよほど魔力消費量が少ないだろうに》


 理解に苦しむとばかりに古竜が首を大きく左右に振った。


《んー、たぶん船をこれ以上壊したくなかったんじゃないかな。修復して使いたいと思ってたんじゃないかな。ただまぁ、魔結晶を取り戻せたとしてもこの船を修復して使えるようにするのは不可能だ。

 時間を四千年以上巻き戻さないと無理だね》


 メテが言った。


「それについてイライアスは混沌神の奇跡で解決するつもりだったんだろうな」


 アランが頷きながら言うと、メテは首を左右に振った。


《神を召喚して奇跡を願うの? それはずいぶんおバカさんだね。そんなことをしたら最悪世界が滅ぶよ。生き残るのは元々この地に住んでたドラゴンくらいだね。人間もエルフもドワーフも小人族も全員死ぬ。

 神が人の言葉や願いに耳を貸すはずがない。ましてや個人の望みなどかなえるはずがない。残念ながら我らが母船はこのまま朽ちていくだけの残骸さ。

 貴重なものや重要なものは全て城へ運ばれ、禁書庫や宝物庫に収められた。ボクたちがドラゴンに滅ぼされた際に王族が生き残っていたなら、持ち出せる分は持ち出して逃げたはずだ。

 船に残っていた最後の貴重なものは魔結晶くらいだ。重くてかさばるし、王族ならいくらでも作れるから持ち出す意味がない》


「魔結晶を作れるのか!?」


《時間と材料と魔法陣さえあればね。今の霊体では魔法陣を描くのに苦労しそうだけど、手伝って貰えれば欲しい大きさと属性の魔結晶を作れるよ》


「それは凄いな。ものすごく心惹かれるけど、今は増援が恐いからな」


 アランが憂鬱げに嘆息した。


「では、転移陣の設置は諦めた方が良いだろうか」


 ヴィクトールが不安げに尋ねる。


「すぐ近くに敵の本拠地と繋ぐ転移陣があるということは、その転移陣を破壊しても放置しても確認に来るであろうな。実に厄介だ。

 なにヴィクトール殿、今回は残念だったがまた日を改めてここに来よう。遺跡は逃げはしない」


 オーロンが慰めるように言った。


「ここに新たな転移陣を作るのはやめた方が良いだろう。オーロンの言うとおり増援や偵察が恐い。

 船にある転移陣はたぶん《静かなる古き精霊の森》と繋がっているか、イライアスの研究または実験のための施設かダンジョンに繋がっているだろう。

 たぶんダニエルのおっさんが調べたがるから、不安は残るが残しておいた方が良い。あのエルフはとても危険だ。

 彼については専門家に任せて、ここの安全が確認されてから来た方が、ヴィクトール殿の心行くまで調査・探索できるはずだ」


 アランがそれを後押しするように言うと、ヴィクトールは心底残念そうに頷いた。


「その通りだな、すまない。今回の探索に期待していたが、自身や皆の命には代えられない」


 その返答を聞いて、アランは胸元から転移陣を描いた羊皮紙を取り出し、オーロンに手渡した。


「詳しい情報が手に入れば連絡するがこれはひとまずオーロン、あなたに預ける。たぶん俺が持っているよりも安全だ。

 あの金髪碧眼のエルフ、イライアスはとある犯罪者集団との関わりがあると目されているが、これまで証拠がなく放置されていた男だ。

 詳しくは語れないが、彼に身柄は《疾風迅雷》ダニエルに引き渡す。俺とレオナールはやつに認知されているので最悪の場合、次の調査は我々抜きで行った方が良いだろう。

 この洞窟を出たら互いの連絡は必要最低限とし、ロランのギルドマスターを通して行うこととしよう」


「……それは大丈夫なのか?」


 オーロンが眉をひそめた。


「大丈夫だ。こちらは頼りになる護衛もいる。残念ながらラーヌは人が多く、領兵もギルドも完全には信頼できない。俺達は荷物を回収したらラーヌには寄らずにロランに帰還するが、あなた方はどうしたい?」


「同行させていただこう。我々は其方らの馬車でここまで移動したので他に移動手段もないし、全員で行動した方が安全であろう」


 オーロンの返答にアランは頷いた。それからダオルに小さく告げる。


「おっさんへの連絡は任せた」


 ダオルは無言で頷いた。


 その間、レオナールとルージュは拘束してガイアリザードの背に荷物毎紐で括られたイライアスを見張り、時々つついて反応しないか確認していた。


「すごいわ。呼吸していないのに、死んでないなんて」


そうだね(きゅきゅう)!」


 ダットはそんな一人と一匹を視界に入れないよう距離を取って、周囲を伺っていた。


「大丈夫、襲撃者も近くに寄ってくるものもいない」


 レイシアはダットにそう告げた。ダットがそちらへ振り返ると、レイシアは頷いた。


「転移陣から来ることもない。安心して」


 何故それがわかるのかとは聞けなかった。

予定より更新遅れました。

低血圧なせいか気圧が低くなると頭痛や倦怠感に悩まされるので困ります。

あとやたら眠くなったり集中力が落ちるのが厄介です。

字が読めなくなる(目を瞑っているせいもある)ので眠気には勝てない。

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