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10月27日 決戦編その9 この手に勝利を!そして•••

PM2:30



「俺はマゾ清水だーーーーーー!!!!

これぐらい気持ちいいくらいだーーーーー!!!!!」

「「「「はあーーー!!!」」」」



俺のアホな復活に

唖然とする会場。



あ、どうやら俺、すぐ起き上がれたんだ。

良かった、良かった。






「渉、無事か!?」

「ピンピンしてますよ、司さん。

無問題です!」



心配する司さんに

大丈夫なことを叫び返す。





もっとダメージ喰っていると

思ったが、

案外平気だな。

鍛練のおかげか、

打ち所がよかったのか。

もしくは・・・



俺は首から下げていたお守り袋に

意識をやる。

何でか知らないが、

これが助けてくれた気も

するんだよな。

直撃を食らう瞬間、

体に何かがまとわりついた

ような感覚があったし。




「何かすごく吹っ飛ばされた割りに

すぐ立ち上がりました、清水選手!

一体何が起こったのでしょうか?」

「今のは『天狗風』•••

なるほど、千里の仕業であるか!

あっはっは、清水殿の人徳は

やはりすごいな。」

「・・・どういうことなんですか?」

「清水殿には天狗と仙狸の加護が

あるという話である。」

「???」



実況席も俺がすくっと立ち上がったことに

ついて盛り上がっていた。

どうやらこれも山ごもりの成果みたいだな。






「あれを喰らってまだ立っていられると

いうのか・・・」



この試合初めて本気で驚いたような

声を出す勝也。

勝也にとってもさっきのは

渾身の一撃であったようだ。

流石に長時間の戦いであることも

あり、僅かに疲労の色が伺える。

俺の雨狼名・響命斬も

ノーダメージということは

ないはずだし、

勝機はまだあるはずだ。



とはいえ銀集気が使えない以上、

もう雨狼名•響命斬を

完璧な形で打つことが出来ない。

それにこっちも流石に

もう一発喰らったら

どう考えてもKO負けだ。

ボロボロなのはお互い様なのだから。






残り時間も少ない。

やはり厳しいのはこちらの方、

•••なんてな。

そういうのはやっぱ、

『俺らしくない』よな。

俺はマゾ清水で

エロ清水で、

策清水なんだ。



どこまでもふざけて、

どこまでもどん欲に、

どこまでもしつこく行くのが

俺の真骨頂。



見せてやるぜ、

俺の最後の切り札を。

大丈夫、ヒントは

色々思い出しているんだ。

斬無斗君、町長、そして

『向日葵の君』、

君たちの力借りるぜ。

でもその前に。





「いっちょ、

ムード変更と行きますか!」

「何を言っておる!!」

「問答無用!

これでも喰らえ!!」



俺は防具の中に手を突っ込み、

『例のもの』を大量に勝也に投げつけた。





「また卑怯な手を使いよって!!」

「卑怯は卑怯でもさっきとは

ちょっと違うぜ。

よく、見てみな。」

「何を•••、

こ、これは!!」



愕然として

動きを止める勝也。

その手に握られていたのは何と•••



「一体どうしたことでしょう。

梅原選手いきなり硬直してしまいました。

あれ、投げたものの一部がこちらにも•••

ちょ、ちょっとこれって!!」

「一体それは何なんであるか?」

「て、天狗さんは見ちゃダメです!!

っていうか清水選手、

マジ最低です!!」



真っ赤になりながら叫ぶ東野さん。

その手に握られていたのは

『下着姿の司さんの写真』だった。



「おー、こっちはナース服の小梅先生だ!!」

「うわー、ロリブルマ梅原懐かしー。

あれ、剣道大会の時だよな。」

「こっちは結局欠場した水着コン用の

写真っぽいぜ。

どう考えてもこれ、

清水の家っぽいけど、

まだ結婚前だろ!

あいつどうやってこれ、鬼小梅に着せたんだ!!」

「エロ清水、マジ神だわ!!!」



会場に飛んで行った写真を見て、

大盛り上がりになる観客達。

それらの梅原のコスプレ写真(しかも盗撮チックなもの多し)

は実にふざけたものばかりであったが、

同時に多くの思い出が詰まったものであった。



自然と笑顔になる観客達。

•••ただ本人の司さんだけは

「わーーーたーーーーるーーーーーーー!!!

試合が終わったらどうなるか分かっているんだろうなーーーーーーーーー!!!!!」

「司ちゃん、落ちる落ちる!

妊婦がなに二階から飛び降りようとしているのよ!!」

と試合に乱入するぐらいの勢いで激怒しており、

果穂先生が必死に抱きとめていたのだった。





娘の痴態を見せつけたれた勝也も

「この男、やはり生かしてはおけぬ!!

改めて刀の錆にしてくれるわ!!!」

と同じく大激怒。

その怒りのままに、

こっちに向かって斬り掛かって来た。



うんうん、予定通り。

海ちゃん入れ知恵ありがとう。

やっぱり俺の舞台はこうでなくちゃ。

それじゃ、ラストスパートといきますかね。





「くらえ!!」

「ほいっと!!」



勝也の怒りの斬撃を

実際はギリギリのタイミングであるのだが、

どこか半笑いで避ける俺。



途中から少し真面目にやりすぎた

分だけ、俺は全力でふざけながら、

最後の締めに向けて

態勢を整えていく。






「この動きは•••

貴様は、すでに敗れた技が

儂に通用するとでも

思っておるのか!!」

「疲れきったボケ老人には

これで十分さ!!」

「この減らず口め!

まだ、何か隠し持っておるのか。

ええい、何が来ようが今度こそ、

我が究極の一撃で

血祭りにあげてくれるわ!!!」

「鬼さん、こちら、

へのなる方へ!!!」



もう一度円を描きながら

勝也を引き込んで行く俺。

俺が何かを狙っていることを

理解しながらもそれを粉砕しようと

そのまま突き進む、勝也。





「桜花乱舞!」



勝也はあえて先ほどと同様に

得意の連撃を放って来る。



いいじゃん、いいじゃん、

俺もお付き合いしようじゃないか。



俺もそれを何とか避けて

雨狼名の態勢に入る。



俺が勝也の胴を捉えようとした瞬間だった。





「桃華翔閃!!」



今度もまた同じ技。

流石にキレが落ちて来ているものの、

こちらの反応速度も落ちている。



それでもまた姿を消し、

その背後に回り込むと

今度は間髪入れずに勝也に

思いっきり打ち込んだ!





「それで隙を付いたつもりか!!

片腹痛いわ!!!」


素早く身体を翻し、

竹刀を水平に払って

俺の打ち込みを弾く勝也。

何とか俺も体勢を維持したまま、

腕に力を込める。





「これで終わりだ!!」



勝也の闘気が最大限まで高まる。

この長き戦いを終わらせる為に、

全身全霊を込めた奥義・梅香殺を

放つ気だろう。



タイミングは五分と五分。

この状態では剣速に劣る俺に

勝ち目はない。

俺は竹刀を振り下ろすのではなく、

すっと降ろして、

受ける体勢に移行した。





「貴様ではこの一撃を

受け止めることは不可能だ!!

成仏せい、クソ婿!!!」



「清水先生、無理だ!」

「渉兄さん、避けて!!」

「渉ーーーーーーー!!!」



勝也の無慈悲なる斬撃が振り下ろされる瞬間、

会場のあちこちから悲鳴のような声があがる。



そしてそのまま勝也の縦一閃が

俺の面を無惨に打ち砕いた、







ように多くの観客には見えただろう。

思わず目をつぶってしまった人も

少なくなかったはずだ。



みんな、心配かけてごめんな。





しかし次の瞬間。



パサッ

パサッ


藤堂先生が右手に持った旗を上げた。

それに遅れること数瞬、

河中さんも自分の右手に持った旗を上げた。

そして最後に。



パサッ



しっかりと確認する様に

こちらを見ていた魚沼先生が、

同じく右手の旗を上げたのだった。



3人が右手に持っていたのは、

白い旗。

これが振られるということは。







「「「「「えっ!」」」」」



多くの観客が改めて目を凝らす。

すると道場の中心では

勝也の竹刀が俺の面、

ではなくて、

肩に食い込んでいた。

一方で俺の竹刀は、










勝也の喉元に

しっかりと食い込んでいるのだった。



長きに渡る激闘の決着が

今ようやくついたのである。


シュウさん達の企画、『うろな町』計画に参加させていただく作品です。



ついに決着がつきました。

最後どうなったのかは

次をお楽しみに。

今日中にアップできるよう頑張ります。


小藍さんからのアイデア使わせていただきました。

修行の時も含めて色々ありがとう

ございました。

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