表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/124

10月27日 決戦編その5 これで決まりだ!!

PM1:15



「こいつはどうだ!」

「ええい、忌々しい!!」



試合開始からの流れがかれこれ15分ほど

続いている。

左右の打ち込みからの

ローリングソバットは避けられて

しまったが、

相手に反撃を許すことなく

再び距離を取ることができた。





「えっと、何かもうどっちが

悪役なのか分からない感じですが、

さっきの技も天狗さんの発案なんですかね?」

「いや、あれは別の人の技をアレンジしたものである。

ただしあれに似た『天狗舞』という技があることから、

その動きも取り入れて、

『堕天使舞』という名を与えはしたがな。」

「本当に何でもありですね、天狗流・・・」



東野さんの若干呆れかけた声も聞こえるが、

リズさんの技を真似た連携はそれなりに

形になってくれたようだ。

よし、こいつを使って仕掛けてみるか。






「決めさせてもらうぜ!」

「来い!!」



勝也の咆哮に応えて

俺は相手に向かって突進していく。

そのまま全力で再び

左右に打ち込みを浴びせ、

そして。



「同じ技を二度も喰らうか!!」



俺が飛び込もうとしたタイミングで

勝也の一刀両断の斬撃が振り下ろされる。

先ほどと同様に飛び込んでいれば

恐らく致命的な一撃を食らっていたであろう。





「なに!」



しかし残念ながら俺の姿は振り下ろした

先にはなかったのである。


俺は飛び込む素振りを見せながら、

前ではなく勝也の左側方に回り込んでいた。




「渉兄さん!」



直澄の声が聞こえる。



必殺の間合い。

完全に雨狼名の態勢に入った。

仮にここから勝也の反撃があったとしても、

それをくぐり抜けて相手に一撃いれる

イメージは出来ていた。

これで決まりだ。





そう思って次の一歩を踏み出そうとした瞬間だった。



これもある意味生きるか死ぬかの修行の成果なのだろうか。

俺の頭で

「死ぬぞ。」

という警告(アラート)が急に鳴り響いたのは。



体重を無理やり後ろに移しながら、

竹刀を構えたまま後方に飛び退く俺。

次の瞬間、

衝撃が俺の竹刀に叩きつけられた。



その威力は

先ほどまでの斬撃とは

全く質が異なっていた。

壁際にまるで吹き飛ばされる様に

俺は後退させられたのだった。





「梅原流・桃華翔閃(とうかしょうせん)

久しぶりに使ったが

少しキレが落ちたか。

まあ、必殺の間合いにありながら、

攻撃への欲を見せずに

即座に防御に切り替えた

判断の素早さは褒めてやろう。」



渾身の一撃を防がれたというのに

どこか薄笑いを浮かべる勝也。



あの野郎、

やっぱり奥の手をまだ隠していやがったんじゃねえか!





「い、今のは何が起こったんでしょうか?

清水選手が相手の攻撃を見事に避けて

いよいよ止めの一撃を放つかと思ったら

いきなり後退。

その直後に何故か吹っ飛ばされましたが、

一体どういうことなんですか、天狗さん!!」

「これは凄まじい。

勝也殿、一瞬隙が出来たと思いきや、

その直後にまるで達人の居合の如き

超速の切り上げを放ってくるとは。

常人の反応速度では絶対に避けられない

はずだが、

清水殿はあらかじめ後方に避ける態勢に

入っていたため防ぐことができたのだろう。

お互いに見事だ。」

「・・・ちゃんと見えてた天狗さんも

十分すごいです。」



あまりに素早い展開についていけない実況の東野さんと

会場の観客大多数が若干ざわつき始めた。

今の一連の動きを確認できたのは天狗君や藤堂先生を始め、

僅かな達人達だけだったろう。

それくらいに俺の雨狼名への入りは完璧だったし、

それに対する勝也のカウンターの鋭さは

まさに見事という他なかった。






『桃華翔閃』



防いだ瞬間にはそこまで

頭が回らなかったが、

あれは勝也が若くてまだ

今ほどの絶対の実力ではなかった頃に

編み出したカウンター技のはずだ。

一瞬の隙に相手が振り下ろして来た所を

後の先の切り上げで胴を抜く。

その後相手に打ち込ませずに勝つスタイルに

なってからは殆ど使っているおらず、

映像も殆ど残っていないはずだが、

若い頃はこの技で逆転勝利を収めることも

少なくなかったはずだ。



てか、何が

「キレが落ちたか」だよ!

映像に残っていたのとは

比べ物にならない剣速で、

本能的に回避してなかったら

一撃KOだろ!!







「少々お前のお遊びに付きやってやりすぎたようだ。

今度は多少力を入れて打ち込んでいくぞ。

避けられるものなら、

避けてみるがいい!!」



再び構え直した勝也からは先ほどまでにはない

凄みが漂っていた。

それを感じ取ってか、

シーンとなる会場。



やっぱり一筋縄ではいかないようだ。

ここからが本番ってことかな。



俺は必死に心を奮い立たせようとするが

勝也の放つ闘気は、

その全てを竦ませてしまうかの如きものであった。



いよいよ鬼神のターンが開始される。

シュウさん達の企画、『うろな町』計画に参加させていただく作品です。



いっきに勝負をつけようとした清水ですが

そうは問屋が下ろさない。

いよいよ勝也本領発揮となります。



朝陽真夜さんより

リズさんのお名前と技を

お借りしました。

技に勝手に名前を付けてすいません。


引き続きお借りしている方々も

気になる点がありましたら、

お気軽にご連絡ください。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ