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10月27日 決戦編その3 いざ、尋常に!

PM0:50



「青コーナーより、

チャレンジャーーー、

清水渉の、

入場です!!」



『グレイトソウル!』



須藤さんの声と共に

会場へのドアが開けられた。

BGMとして夏祭りで歌った曲が流れ、

カクテル光線が暗闇を引き裂く中、

会場の中に足を踏み入れる俺。



•••おい、流石にやりすぎな気が

するんだが。

ここマジで今日の朝も

稽古をした剣道場か?

どう考えても、

これじゃボクシングかプロレスの会場だろう。





「清水先生、頑張ってー。」

「エロ清水ファイトー!」

「アホ澄やりすぎだー!!」

「清水くん、負けるなよー!」



背後からは耳をつんざくような大音声。

こりゃ相当なお客さんが入っているな。

司さんの怒りの声も混じっていた気もするけど•••

まあ、みんな盛り上がってくれているならいいかな。




俺が周りの熱気に苦笑しながら

スポットライトに照らさせた中央まで歩み寄ると、

タキシード姿の須藤さんがまた大声を張り上げた。




「赤コーナーより、

チャンピョーーン、

梅原勝也の、

入場です!」



『天下無敵の秘剣の星をーー』



何故か大昔のキワモノアニメ、

『剣道バカ一代』のテーマソングが流れる中、

静かに梅原勝也が入場して来た。




初対面の時と同様にむすっとしている

その顔からはこの異様な雰囲気に対して

動揺しているのか否かは読み取れないが、

普通でないと感じていることは確かだろう。

こういうノリは基本的にこちらの領分だから、

雰囲気作りとしては決してネタに走っただけでなく、

俺に有利になるようにも考えてくれたのだろう。

さてさてではとことん楽しませてもらいますか。





勝也が中央に来た所で、

会場全体に明かりが灯る。

どうやら一階の道場は照明とか、

音響機材がある以外はいつも通り•••、

あれ?あの長机に座っているのは!



「ご来場の皆々様。

本日はうろな商店街プレゼンツ、

剣道界最強の鬼神梅原勝也と

うろな町最悪のど変態清水渉の、

世紀の義父子デスマッチにお越しいただき

誠にありがとうございました。

司会進行を勤めさせていただきます、

休みの日まで何やってんだサラリーマン、

さすらいの常連客須藤慶一です!」

「頑張れよ、慶一!」

「・・・全くホントバカよね。」



歓声の中に

『流星』のシェフ•パティシエらしき声も

聞こえる。

そういえばあの二人が一緒に働く

きっかけになった勝負で須藤さんが

司会をやってたんだよな。

俺も司さん目当てで乱入したりなんかして。

ああ、懐かしい。





「なおこの放送はうろな町営うろなラジオさんの

ご協力により、

町内全域に放送されております。

うろなのみんな、

燃えてるかーい!?」

「「「「イエーーーー!!!」」」」



まじでこの乱痴気騒ぎを放送してるのか、

相当だなこりゃ。

ここまで大掛かりなのは流石に

商店街の力だけでは大変だと

思ったけど、

直澄色んな所にツテ持ってるんだな。

そこん所は素直に感心するよ。





「そのため二人の激闘を

十分に楽しんでいただくために、

実況•解説の方にスタンバイしてもらっております!

夏香さーん?」

「はいはーい、実況を務めさせていただきます、

うろラジパーソナリティの東野夏香(とうのなつか)です。

本日は激闘の模様をお隣の」

「天狗仮面である!」

「清水先生を指導されたという

天狗仮面さんの解説をお聞きしながら、

会場•町内の皆様にお届けしたいと思います!」

「夏香さん、ありがとうございました!

それでは皆様、選手の紹介に移らせていただきます!!」



やっぱり名机に座っているのはそうだったのか。

•••天狗くん、君何やってるんだよ。

大方千里さん辺りに乗せられたんだろうけど•••

まあ、丁度いいから、

終わった後で山ごもりの顛末でも聞いてみますか。






「青コーナー、

178cmーーー、

70.3kgーーー、

うろな町に舞い降りた究極のど変態にして、

敏腕連携担当、

うろな中学校国語教師にして、

新婚ホヤホヤのリア充野郎、

清水、わたぁーーるぅーーーー!!」

「「「「マゾ清水ーーー♪」」」

「「「ロリ清水ーーー♪」」」



須藤さんの明らかに私怨入ってそうな

選手紹介と会場から湧いた声援?に対して

深々とお辞儀をする俺。






「赤コーナー、

187cmーーー、

89.5kgーーー、

剣道九段教士、

全国制覇も成し遂げた

剣道界の生きる鬼神、

清水先生には悪いけど

生で見れるのが嬉しいぞ、

この野郎、

愛する一人娘をゲットされた怒りを

目の前の若造にぶつける破壊神、

梅原かつぅーーーーやーーーーーー」

「二人とも怪我しないようにねーー。」




先ほどから身じろぎもしなかった勝也であったが、

お義母さんの声にはぴくっと反応していた。

夫婦仲はやっぱりいいんだね。

今後も困った時は頼りにさせていただきます、

お義母さん。





「それでは続いて審判の紹介です。

まずは副審二人、

あのおっぱいをどう弄んでいるのか、

星野さんをゲットして調子に乗ってる

藤堂整体院の藤堂義幸先生!」

「•••須藤君、あとで覚えておきなよ。」

「気苦労が一目見ただけで分かります、

梅原道場師範代、河中賢治さん!」

「うろな町、色々すごいですね。」

「そして主審を務めてくださいますのは、

梅原勝也の幼馴染にして、

清水先生の師匠のお一人、

最近ロリコン疑惑が発生中のエロ河童、

弁護士、魚沼鉄太!」

「仮に痴漢冤罪で捕まっても

助けてやらんからな。

•••冴、終わるまで離れていなさい」

「•••わかりましたわ。そのかわり、こんど温泉ですわよ?」

「ぅぬ」

「そのロリッ子はマジで何なんだ!!

河童がモテるなら、

俺も河童になりたいぜ、

チクショー!!」



魚沼先生の腕にぶら下がっていた、

黒髪にシャギーが入った可愛い少女を見て

叫ぶ須藤さん。

•••彼女については色々突っ込みたい点があるけど、

今は止めておこう。

とりあえず彼女に自然と言いくるめられている

魚沼先生がいつ見ても実に不思議だということだけ

記しておく。





「ルールは2時間一本勝負。

お互い剣道の装備で戦ってもらいますが、

どんな手法を用いても基本OKです。

基本的には相手を戦闘不能にするか、

ギブアップで勝利となりますが、

清水先生の側は勝也の面、小手、胴への有効打、

喉又は胸の突きが入ったと、

主審を含む二人の審判が判定をした場合

即刻勝利となります。

よろしいでしょうか?」

「•••本当に公平になんぞできるのか、

このクソ河童。」

「ようやく口を開いたと思えば

今更つまらぬいちゃもんを付けるな、

脳筋侍。

剣は捨てても正義は捨てん。」



須藤さんのルール説明の後に

何故かにらみ合いを始める、

勝也と魚沼先生。

眼鏡を外した魚沼先生の眼力は

決して勝也にも負けていなかった。





「えっと、よろしいですかね?」

「こいつのへらず口はいつもの

ことだし大丈夫だ。

ここまで来ていまさら文句はあるまい。」

「•••ふん。」

「清水くんも大丈夫か?」

「大丈夫です。よろしくお願いします。」

「よろしい。では司会の君、

始めて大丈夫だ。」

「ああ、はい、ありがとうございます!

それではいよいようろな史上に残るであろう、

決戦の火ぶたが切って落とされます!

では両者、面を付けてから

中央に進んで下さい。!!」






須藤さんの声と共に、

いよいよ試合に向けた最後の準備の

時間となった。



正座をしながら面をゆっくりと付けていく。

指先の感覚はしっかりとしており、

特に震えもない。

よし、万全だ。



面を付け終わった後、

最後に愛する妻の方を振り返る。

丁度目が合った司さんは静かに

コクリと首を縦に振った。



君が見てくれるなら俺は

どんな相手にも負けはしない。





「おっしゃーーー!!」



飛び上がる様に立ち上がり、

竹刀を握る俺。



丁度時を同じくして、

勝也の方も準備を終えて、

会場の中心に歩き始めていた。



互いが正面を向き、

礼をして抜刀する。


あとは斬り結ぶのみ。




いよいよ町中を巻き込んだ

大父子喧嘩、

スタートだ!!!

シュウさん達の企画、『うろな町』計画に参加させていただく作品です。


玩具やの悪魔の暗躍により

色々盛り上がっております。

ここまで盛り上げた裏事情については

また勝負の決着がついて後に

書こうと思います。



引き続き綺羅ケンイチさんから須藤さんを、

葛西さんや一条さんもちょっと出てもらいました。

加えて審判として藤堂先生にも入ってもらってます。



桜月りまさんからは

審判に魚沼先生を、

そして『彼女』にも

ちょっと登場いただきました。

こんな感じでいいですかね?



三衣千月さん、

天狗仮面に実況に入ってもらおうと思いますので、

よろしくお願いします。


また実況をうろラジの東野夏香さんに

お願いしております。

菊夜さんどうぞよろしく。



それでは次からいよいよ戦いの方を

書いて参ります。

まずは山ごもりの成果を

披露していくことになるかと思いますので、

お楽しみに。

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