10月27日 決戦編その1 勝負の朝がやって来た!
AM5:30
早朝のうろな駅周辺。
朝の散歩を楽しむみなさんの間を縫って、
俺の足は軽快に動いていた。
試合開始は13時であり、
昨日直澄と約束した最後の朝練も
7時からではあるのだが、
いつもの習慣で5時前には目が覚めてしまったことから
こうして軽くジョギングをしている次第である。
昨日までの山ごもりと最後のドタバタがあったことから、
どれだけ身体が回復しているのかが気がかりだったが、
どうやら快調そのもののようである。
あとは7時から剣道場で山ごもりの成果の
最終確認が出来れば、
やれることは全てやったことになる。
本番の戦略も基本は雨狼名に繋げて行くために、
相手の攻撃を受けながら待つという方向性で決まっており、
いまさらジタバタすることはない。
唯一の懸念は八咫鏡式が完成までいかなかったことであるが、
そこはまあ、仕方が無い。
その代わり新たなバージョンを身につけられたことだし、
それでよしとしよう。
十分すぎる程の準備はしたのである。
今は心穏やかに本番に向けて
集中力を高めて行こう。
「清水先生、朝早くからご苦労さまです。」
「町長!あ、役場の近くまで来ちゃってたんですね。
おはようございます。
こんな時間にどうされたんですか?」
横合いから声をかけられ多少びっくりしてしまったが、
そこにいたのは町長であった。
手にカバンを持っているということは
こんな朝早くから仕事だろうか?
本当に忙しい人である。
「ちょっとやってしまいたい仕事がありましたから。
でも午前中に終わらせて、
午後には先生の試合見に行かせていただきますよ。
頑張って下さいね。」
「ありがとうございます。
来月末の結婚式にも是非いらしてください。」
「もちろんですよ。
楽しみですね。」
俺は役場へと向かう町長に付き合って、
あれこれと話をしながらしばらく歩いて行った。
今後の町の連携のあり方なんて固めの話から、
今回に至るこちらの事情、
町長の趣味である手品の話に至るまで、
短い時間であったはずなのに
実に楽しく話すことが出来た。
「では一旦失礼しますね。
無理せず頑張って下さい。」
「あはは。無理はしちゃいそうですけど、
みなさんに心配をかけないように努力します。」
役場の前で町長と別れ、
再びジョギングを再開する。
何か気づかないうちにしていた緊張が
自然と解れて来たように感じる。
流石町長さんは偉大である。
この勝負が終わったら、
結婚式の準備と共に
連携担当としての仕事もしっかり
進めて行かないとな。
そのためにもいい結果で
終わらせたいものだ。
よっしゃ、やってやるぜ!
俺は改めて気合いを入れると、
学校へ向かう速度を徐々に
早めて行ったのだった。
シュウさん達の企画、『うろな町』計画に参加させていただく作品です。
順調に進行が遅れております(苦笑)
一歩一歩頑張っていきます。
まずは朝の一コマを。
何気ない風景が大事な瞬間に
繋がることも多い気がします。
シュウさん、町長さんお借りしました。
本番見に来ていただいたことにして、
大丈夫ですかね?
それでは次でいよいよ勝負が開始されると
思います。
どうぞお楽しみに。