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10月20日その1 修行編その7 必殺技完成間近!あとはお願い、お犬様!!

AM11:30



休日にも関わらず熱気ムンムンのここは

タカさん家、秘密の修行場。



今日はゲストによる特訓を受けられるということで

やってきたのだが、

その特訓の主が森へ向かったユキちゃんに同行しまい、

帰ってくるのは昼過ぎになりそうとのこと。

ということで非番で休んでいた賀川さんに声をかけて、

今日も仲良くどつき合いです。





「はあ!」



ひとしきり打ち合ったところで、

賀川さんがラッシュの体制に入った。

ここ最近賀川さんのレベルアップもすさまじく、

通常の速度の上昇に加えて、

ラッシュの持続時間、そこに入るまでの素早さも

伸びており、

ラッシュが終わってもすでに倒れることはなくなっている。

こちらが成長するのにしたがって、

主な組手相手である賀川さんもレベルアップしてくれるのは、

嬉しさ半分、大変さ半分、

そんな気持ちだった・・・、

そう先週までは。





「おおおおおおおおおおお!!」



賀川さんのパワーアップしたラッシュの威力はすさまじく、

立花さんに徹底的に鍛えられたはずの俺の守りさえ、

簡単に削りとっていく。

しかし今の俺に、恐れはない。

有効打を避けられるギリギリの距離で

その殴打の嵐を冷静に捌くことが出来ている。

この状態から上手く反撃に持っていくのが今の課題だ。






「であ!ぐ!!」

「ぐあ!!」



互いに相打ちの状況となり、

距離を取る俺たち。

賀川さんは未だ立ってはいるが、

大分消耗している。

こちらから一気に攻めていけば、

決めていけるだろうが、

今日はこの後もあるしここまでだ。

そろそろ葉子さんがお昼を用意して

くれているみたいだし、

一旦着替えて上に行こう。










PM12:00



「賀川さん、ラッシュがさらにキレを

増しましたよね。

新しいパターンがまた2つ3つ入っていたんで、

ヒヤヒヤしましたよ。」

「完全に見切っているのに何言ってるんですか?

さっきのも相打ちっていうより、

そっちが距離を空けただけでしょ。

今週だけでやけに水を空けられた

気がするんですけど、

一体何があったんですか?」



お昼ご飯の親子丼を食べながら、

向かいに座った賀川さんと

先ほどの組手について

感想を言い合った。



修業期間毎日顔と腕を合わせているせいか

大分仲良くなれた気がする。

以前にも一度二人で飲みに行ったけど、

決闘後また行こうかな。

直澄辺りを連れて行っても面白いかもしれない。

その時にはたまに魚沼先生の後ろを追っかけまわしている、

『あの子』の真相についても聞いてみようか。

流石に隠し子ってことはないんだろうけど・・・



「まあ、色んな人のおかげでね。

でも反撃部分が未完成なんですよね。

そこが上手くいかないとこの技、

意味がないんですが。」

「やっぱり新しい技なんですね。

でもそれ、竹刀を持っててもできるんですか?」

「直澄との組手でも使っているけど、

何とかやれていますよ。

まあ、技っていうよりも戦法というか

思考法に近い所がありますからね。」

「・・・若干こちらの攻撃を読まれている気がするのは、

それですかね?」

「流石ですね。

読んでいるというよりは誘導しているっていうのに

近いですが、

相手の攻撃を受ければ受けるほど確度は

上がっていくようになってはいます。

修行の成果として防御スキルや速度が

上がってこそのものですよ。

とはいえ最終的には初対戦の相手とやるので、

毎回賀川さんがパターンを変えてきてくれるのは

本当に助かります。」

「あそこまで確実にいなされていると、

流石に悔しいので。

でもそれじゃ初対戦だとあんまり

効果がないんですか?」

「それじゃ意味がないんで、

毎回前回までのことは一度頭から除いて、

その組手の中で対応できるように心がけてはいます。

とはいえ賀川さんや直澄とは毎日やってるんで、

どうしても体が覚えちゃってるんですけどね。

そういう点で今日の特訓は助かりますよ。

あのベルさんと互角の力を持つ人と

やれるんですから。

何てお名前でしたっけ?」

「はい、えーっと、

確か緋辺・A・エリザベスって名前で

みんなからはリズちゃんとかリズさんって呼ばれてますよ。」

「じゃあ、俺もリズさんって呼べばいいのかな。」

「ただいま戻りました。」

「戻ったッスよ!」



俺が賀川さんに今日の特訓相手に

ついて訪ねていると丁度、

ユキちゃんと噂のリズさんらしき人が

帰ってきたようだった。





「葉子さん、私おなかペコペコッス!」

「はいはい。大盛りにしておいたわよ。」

「ありがとうッス。いただきます!」





すぐさま席に着いた黒髪の彼女は

ものすごい勢いで親子丼をかきこみ始めた。

なかなかいい食いっぷりである。

まるで餌を与えられた犬のようだった。





「あ、清水先生。

いつもお世話になっています。」

「こんにちわ、ユキちゃん。

元気そうでなによりだよ。

また遊びに来いって司さんが

言っていたから、

気軽に来てね。

・・・もちろん賀川さんも一緒に。」

「そ、それはどういう・・・」

「清水先生・・・」

「ははは、二人とも顔真っ赤だよ。

司さんにブーケはユキちゃんがいる方に

投げるように言っておこうか?」

「「え、えーーー!」」

「私はまだ賀川さんのこと、

認めたわけじゃないッスからね!」





若い二人をからかっていた俺の

背後から顔をむすりとさせた

リズさんがそう言い放った。

それはまるで主人を外敵から

守ろうとする番犬のようであった。




「・・・賀川さん。

リズさんを怒らせるようなことしたの?」

「ああ『臭う』んでしょうね・・・。

心当たりがあり過ぎて。

それに会った初日にネズミ花火?

彼女に放り投げてしまって。

他の人には真面目で人当たりがいいんですが・・・」

「『臭う』って何が?

そりゃ賀川さんも肉体労働してますから、

多少は汗臭いでしょうけど、

タカさんやお兄さんたちの方がすごい気が・・・。

とにかく第一印象が肝心ってことかな?

よし。ごちそうさま。」







俺は手を合わせると、

リズさんの元に赴き、

正座をして声をかけた。




「緋辺・A・エリザベスさんでよろしいでしょうか?」

「ばくばく。ん?緋辺?

・・・あー、私のことッスね!

な、何ッスかね?」

「申し遅れました。

私、本日あなた様にご教授いただく、

うろな中学校教員、清水渉と申します。

ベルさん、ユキちゃんにも大変お世話になっております。

あのベルさんのご推薦とのことで、

特訓をご許可いただき大変光栄に思います。

何卒ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。」



自分の名前を呼ばれてきょどる彼女に若干疑問を覚えながらも、

俺は自己紹介をしたのち、

本日の特訓のお礼を言いながら深々と頭を下げた。



「そ、そんな頭を下げなくても。

先輩やユキちゃんの知り合い・・・

先輩の推薦・・・

分かったッス!

大船に乗ったつもりでいてほしいッス!!」



俺のど丁寧な態度に面食らった彼女であったが、

その後こちらの言葉に気をよくしたのか、

まるで尻尾を振る子犬のように

実に嬉しそうな表情で協力を快諾してくれた。



よしこれで問題ないだろう。

ベルさんの話では

「パワーとスピードではベルよりも上」

とのことだし実にいい特訓になりそうだ。

ベルさんも今回はリアルタイムでアドバイスを

くれるそうだし、

必殺技完成のために頑張ろう。



そんな風に俺が気合を入れる後ろで

その様子を見ていた賀川さんが、

「清水先生、ズルい。」

なんて恨めしそうにいってたのには、

俺以外誰も気づいてはいないのだった。



ダシにしてごめんね、賀川さん。


うろな町企画に参加させていただいている作品です。。


特訓もいよいよ大詰め、

最後は堕天使さんにお願いしていますが、

その前に賀川さんと復習です。

桜月りまさんチェックありがとうございました。


ではリズさんに清水揉んでもらおうと

思います。

朝陽真夜さん、

連続チェックでお手数をかけますが、

次話もよろしくお願いします。

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