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9月23日 引っ越し完了!俺の人生も終了!?

PM0:00



「おーらい、おーらい、おーらい。

よし、先生たち、冷蔵庫の場所ここでいいかい?」

「司さんOKですよね?」

「うん。これで料理がさらにしやすくなりそうだ。」

「じゃあ、配線とかしちゃいますね。

あとはこちらでやっておきますんで、

洗濯機の方見に行っておいてください。」

「よろしくお願いします。」

「お昼ここにおいておきますから、

キリのいいところで食べてくださいね。」

「「「ありがとうございまーす。」」」



現在引越し作業もいよいよ終盤3日目。

工務店のお兄さん達が家電類を移動、設置、配線

してくれているところである。






新学期に入って試験や行事を忙しくこなしながら、

新居を決定できたのが9月半ば。

南うろな駅歩いて3分。

中学校、南小、保育園には徒歩で行ける上に

駐車場・庭付きの平屋の一軒家という、

願ったり叶ったりの好物件である。

家賃もお手頃で、

本当に抜田先生には感謝しないといけない。



それで町内であるが、

うちと司さんの家、

両方の荷物をまとめて移動となると、

引越し費用も馬鹿にならないし、

そろそろお腹も大きくなってきた司さんにも

無理はさせられないから

どうしようかと思っていたら、

何と賀川さん、タカさんの全面バックアップを

受けることが出来た。





片付け自体はこの前の14日から16日の連休から始めていたのだが、

引越しはこの3連休で一気にやってしまうこととなった。



初日は賀川さん指導のもと、

ユキちゃんや小林一家にも手伝ってもらって、

纏めていた荷物のダンボール詰と

家具や家電を移動用に梱包。



二日目が一番大掛かりで

あいにくの小雨の中、

水玉シャツ姿の大量の賀川軍団による、

ダンボールや家具類の一斉移動。

お休みに賀川さんの声掛けで有志が

集まってくれたとは言え、

さすがはプロ。

スピーディーにかつ、

荷物を傷つけることなく、

運んでいただきました。



そしては本日3日目は

工務店のお兄さん達による

大型家電の設置や各種配線作業と、

残りのメンバーによるダンボール開けからの

収納大作戦である。

主に女性陣が衣類や食器の片付けを、

男性陣がカーテンの取り付けや

新たに購入した棚の作成なんかを担当してくれている。

ちなみに梅雨はお部屋で果菜ちゃんたちと戯れ中。



本来なら今月いっぱいをかけゆっくりと開けていこうかと

考えていたのだが、

今の勢いなら夕方までにはほとんど全て

終わってしまいそうである。





「渉兄さん、カーテン付け終わったけど、

確認してー。」

「司先生、食器の片付け終わりましたが、

服の手伝いに回りましょうか?」

「司ちゃーん!

チャイナドレス見つけたんだけど、

着てみない!!」



多くの人が手伝いに来てくれて本当にありがたい。

家主としてちゃんと指示をしないとな。

一部暴走している人もいるけど・・・



「直澄ありがとう。すぐ行くから、

本棚作ってくれている拓人先生手伝に行って

くれないか?

あ、そうだ、

その前に洗面台の棚組み立てている、

木下先生の様子も見てくれると助かる。

あれ、結構ややこしそうだったから。」

「田中先生ありがとうございます。

では寝室で作業してくれているユキの所に、

そして果穂!お前はアホか!!

コスプレグッズ置いておくのは許可してやるから、

ちゃんと片付けろ!!!」

「「はーい。」」

「うー、司ちゃんのいけずー。

でもまあ、子どもが増えたら、

また色々バリエーションが増えそうだし、

楽しみ!!」



作業をみんなに頼んでしまって

心苦しい点もあるが、

和気藹々とやってくれているのを見ると、

少し救われた気分になる。



とはいえ全体の指示は司さんに

リビングで座りながら出してもらって、

俺はとっとこ動かないとな。

いつまでも賀川くんを走り回らせている

訳にもいかない。





「じゃあ、司さん、

各部屋の皆さんにそろそろ

リビングに来てお昼をとってもらうように

言って回ってきますね。」

「ごめんな、あんまり動けなくて。」

「いいんですよ。

最近落ち着いてきたとはいえ、

9月前半はけっこうつわりが

ひどかったんですから、

ゆっくりしておいてください。

じゃあ、行ってきます。」

「頼んだぞ、渉パパー。」



大きくなってきたお腹をさすりながら手を振る、

マタニティウェア姿の司さんに励まされて、

半ばニヤつきながら部屋を出て行く俺。


よっしゃー、パパ頑張っちゃうぞーー!





PM3:00



「皆さん、本当にありがとうございました。

タカさんや葉子さんにもよろしくお伝えください。」

「先生たちもお疲れ様です。

でも海江田の奇跡こんなにもらっていいんですか?」

「この家を探すところからお世話になっていますから。

それに安く譲ってもらえるんで、

仕事の対価として遠慮なく飲んでいただければ。」

「先生、太っ腹!

じゃあ、ユキ姉さん、賀川君、お先に。」



早めにお仕事が終了したので、

最後のちょっとした片付けまで

手伝ってくれるという賀川さん、ユキちゃんを

除いて、他の皆さんにはお疲れ様ということになった。



すでに直澄・田中先生カップルや小林一家、木下先生なんかは

我が新居を後にしている。

この人たちにもちょっとした手土産を持って帰ってもらったけど、

後日またお返しを考えないとな。

本来なら2つの家から荷物を移動させて、

かつ各種設置までやってもらうとなると

10万は軽く飛んでいくはずなのに、

実質お昼ご飯とお礼の提供しか

お金使う部分なかったもんな。

ていうか、ダンボールから荷物を出すのなんて

普通は当然家族でやらなくちゃいけない話だから、

司さんに負担をかけずに済んで本当にありがたかったよ。

お金の問題ではなく、

そういったことに対する感謝もしっかり伝えないとな。





「司せんせー、あと片付けるのって何ですかね?

小林先生が途中で買い出しに行ってくれたものは

大体冷蔵庫と食材スペースにしまっておきましたけど。」

「ユキ、ありがとうな。

それにしてもそのTシャツとジーパン姿も中々似合ってるな。

お昼もよく食べていたし、元気で何よりだが、

何か心境の変化でもあったのか?

どことなく胸回りも更に大きくなった気もするし・・・」

「な、何を言ってるんですか!?

この服装は単に引越しだから動きやすい服装ってだけです!!

それに胸だったら、司先生こそ大きくなってきてるじゃないですか?」

「ふふふ、そうだな。

それじゃあ、キッチン周りの配置確認を手伝ってもらいながら、

何があったのか、根掘り葉掘り聞くとしようか?」

「もー、先生ったらーー。」



母娘のようにじゃれあいながら、

家の中に入っていく司さんとユキちゃん。

ユキちゃんも大分元気になったようで良かった。

さてその辺りに俺の後ろに立って赤くなっている

青年はどれくらい関与しているのだろうか?



「ねえ、賀川君。」

「はい、清水先生、なんでしょうか?」

「やっぱり君が揉んで大きくしたの?」

「はい!?」

「ははは、冗談だよ。

確か空になったダンボール、

君の車で持って帰って

くれるんだよね。

直澄達がまとめてくれているらしいから、

取りに行こうか。」

「・・・ホント勘弁してくださいよ。」



ぐったりする賀川君のリアクションを楽しみながら

俺たちもまた家に入っていった。



うーん、夏休み梅雨を長期間預かってくれたこともあるし、

彼にはしっかりとお礼をしなくちゃな。

取り敢えず今度飲みに連れて行くとして、

一体何を聞き出そうかなー。

タカさんちに新たに加わった居候についても

色々聞きたい所だしね。

司さんも今度お礼がてら商店街へ

ショッピング&ランチにユキちゃんと行くらしいし、

そこでの情報と統合すれば結構状況が見えてきそうな

気もするな。

うん、今後も色々楽しみだ。







PM5:00



あれから1時間ほどして本当に片付け

完了となったので、

賀川君とユキちゃんもタカさんちに帰っていった。

帰り際、梅雨が賀川さんにくっついて離れない

というちょっとしたトラブルもあったけれども、

また遊びに来るという約束と

賀川さんのお古Tシャツをもう一枚いただいたことで、

梅雨も納得したようだった。



ユキちゃんとも仲いいんだけど、

それ以上に賀川君に懐いているというのは驚きだよな。

まあ、それがどこか醒めた所があるように見える、

彼の本質的な温かみによるものなんだろうけど。

全く好物件なようで、色々大変だね、彼は。

頑張れ、ユキちゃん。




ちなみに現在俺は司さんに頼まれて

近くのコンビニに買い物に行った帰りである。



コンビニといえば、

司さんが心配していた葦原(あしはら)君って

どうなったんだろうか?

中学卒業後家の都合で進学できずに

フリーターみたいな立場にいる子らしいんだが、

以前窃盗事件の容疑者になったって聞いたときには

びっくりしたよ。

その後教育を考える会で知り合った遠坂(とおさか)さん

っていう町外の先生から、

冤罪だったけど無実が証明されたから大丈夫って

話を聞いて安心していたけど、その後どうなったんだろうか?

うろな駅近くのコンビニらしいけど、今度様子を見に行ってみようかな。

そう言えば何で町外から来た遠坂さんが町のコンビニで

起きた冤罪事件なんて詳しくしっていたんだろうか?

刑事の池守(いけがみ)さんと同級生だって話だから

その辺からかな。

うーん、うろな町、この前の教授さんじゃないけど、

やっぱり謎が多い。



そんな取り留めもないことを考えながらも

俺は幸せをじーんと感じていた。

今年度初めには半年後

司さんと結ばれるだけじゃなく、

赤ちゃんが出来て、

籍を入れて、

さらには二人で新居に引っ越している

なんて考えてもいなかった。

それどころか再来月末にはショッピングセンターにある

ホールを借りて結婚式を挙げる所まで

行っているのである。


何かもうここまでうまく行ってホントに

いいの?って感じである。


まあ、これも全てはうろなのみんなの助けが

あってこそのものである。

今日も色んなご縁のおかげで引越しを無事に

終えることが出来たんだし、

少しずつでも町に恩返ししていかなくちゃいけないな。

この町で司さんと子育てをしていくんだし、

パパの勇姿を子どもたちが誇りに思ってくれるように頑張って行きましょう。




「よっしゃ、ファイトだ、俺。」



夕焼けの下、

改めて決意を固める俺。



ああ、何か最終回っぽいな、

てかホラーゲームだと若干死亡フラグっぽいなあ

なんて馬鹿なことを考えていたのが、

結果としてはそれが幸いした。



だってその際に無意味に周りを見回したり

しなかったら、

絶対に気づかなかっただろう。












背後から日本刀を振り上げながら

こちらに音もなくにじり寄ってくる

和装姿の大男がいるなんてファンタジーを。








「へ!?」

「む、儂の気配に気づくとは

やはり只者ではないか!

しかし我が一撃、

気づいたとしても避けられはせん!!」

「えっと、一体どちらさん?」

「問答無用!!

チェストー!!!」





意味不明な口上に混乱している俺に対して、

容赦なく振り下ろされる大上段の剣撃。

目にも止まらぬその太刀筋を

見切ることなど当然出来ず俺は・・・





グシャパリーン。




その日うろなの路上には

何かが砕ける音と共に、

鮮烈なる赤き飛沫が広がった。



果たして異形の暴漢に襲われ、

その場に倒れた夫が

無事であるのか否か、

新居でその帰りを待つ新妻は

知る由もなかった。


シュウさん達の企画、『うろな町』計画に参加させていただく作品です。


それなりにワープしてしまいましたが、

新居に移り、

いよいよ後は結婚式を待つだけという

タイミングでやってきました、

大ハプニング。

清水は無事なのか!

次回を待て!!



まあ、ここで終わったらこの物語

何なんだって

話になりますので、

ここからラスボス編をお楽しみください。

詳細を本編で説明するのはもう少し

後になってしまいそうですので、

ラスボス攻略に伴う

お願いを掲示板の方に出したいと

思います。

うろな企画にご参加の方は

ご協力よろしくお願いします。


今回も桜月りまさんより

賀川さん、ユキちゃん、工務店のお兄さんを始めとして、

タカさん、葉子さん、抜田先生のお名前など多数お借りしました。

おかげさまで引越しがつつがなく終わりました。

お返し色々お渡ししておりますが、

細かく書いていない部分もありますので、

ご自由にお使いいただけると幸いです。

是非、賀川さんと清水の飲みは

この辺りでやりたいと思いますので、

またよろしくお願いします。


また小話的ではありますが、

稲葉孝太郎さんの「冬過ぎて、春来るらし」より

葦原君、遠坂さん、池守さんのお名前をお借りしました。

なかなか直接の絡みを作れておりませんでしたが、

今度コンビニに行くフラグに出来たらと思います。

絡みの中で良ければラスボス戦に向けて

策略とか伝授いただけるとありがたいです。


また枯竹四手さんの教授のお名前も出させていただきました。


それでは次回は清水を襲った暴漢の正体が明らかになります。

皆さん強大な敵に対抗するため、

清水に力をお貸しください!

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