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8月25日 その5 あなたを支え続けます

PM2:00


ユキちゃんたちと別れた後も、

俺たちは十二分にバザーを満喫することができた。




手芸品望月の奥さんからは結婚のお祝いとして、

果菜ちゃんたちが抱いていたクマちゃんにスカーフを作ってもらった。

流石にただもらうだけではいけないので、

今度新居への引っ越しが決まった時には

カーテンは望月で買うことをお約束。


ちなみに望月さんは司さんのマタニティマークを見て、

「あーあ、果穂ちゃんに続き、

司ちゃんにまで先越されちゃった。

うちの人、真面目に働いてくれるのはいいんだけど、

夜ももう少し頑張ってほしいのよねー。

清水先生から澄君に

それとなくうちの人に言っておくよう

頼んでくれないかしら。

代わりに倫子ちゃんに色々プッシュしておくから。」

と何とも反応に困るリアクションをとってくれた。




まあ、子どもが増えるのは商店街にとっても、

学校にとっても大事ですからね。

これもマタニティマークの効果?






その後の駄弁り部のお店を回った際も、

水鏡の店の怪しげな日本刀を

司さんが手に取ったら、

「貴様、叩き切ってくれる!」と、

何かが乗り移ったような様子になって

ちょっとした騒ぎになってしまったし、

天塚君と天塚妹がやっている本屋さんで

果菜ちゃんたちに何冊か絵本を買ってあげたところ、

天塚君が限定下敷きをサービスしてくれたんだが、

それを見た周りのお店の女子3人が

「やっぱりロリコンでシスコンだったのね!!」

と彼を取り囲んでの大騒ぎに発展していたりと、

なかなかカオスな展開が待っていた。




俺として一番のツボだったのは、

3人に囲まれて何とか打開策を得ようと

妹に助太刀を求めた天塚君に対して、

天塚妹が「・・・兄様、私というものがありながら。」

とノリ良く言い放った時の、

「ブルータス、貴様もか!」

とでも言わんばかりの彼の絶望に満ちた顔だったりする。

うーん、見事な四面楚歌。


今度春日先生の親戚だっていうハーフの女の子が

うちに転入してくるみたいだし、

また彼の気苦労が増加しそうだな。

頑張れ、天塚、

俺はお前を応援しているぞ。











PM4:00


そんなこんなで果穂先生のお店に戻ってきたときには、

すでにバザーも終わりの時間となっていた。


いつもの町長のあいさつの後、

各店舗の片づけを拓人先生の指示を受けながら手伝い、

体育館を現状復帰させていった。


その後は後々のトラブルを防ぐため、

学生組の収支報告を確認したりした後、

買い込んだものを小林家の車に載せて、

家まで送ってもらった。






有難いことに荷物を家に持っていくのも拓人先生に

手伝ってもらえたのだが、

最後にみんなにあいさつをしようと車に戻ろうとすると、

なんと果菜ちゃんたちの大きな泣き声が!


宥める司先生の話を聞いてみると

今日ずっと一緒にいたクマちゃんとの別れが

寂しいらしい。




果穂先生は

「また今度会いに来たらいいじゃない。」

と言いながらも、

果菜ちゃんたちの

「「おうちで一緒にねんねしたい!」」

との要求には、

「あれは司ちゃんの赤ちゃんのなんだから、

ダメ。」

とピシッと断言。

「「でもでも」」

とさらに泣き出す二人という



うーん、生まれるのは大分先だし、

別に貸してあげてもいいんだけどなー、と

思いながらも小林家の教育方針に口を出すのも

はばかられたので俺は黙っていたのだが、

司さんはクマちゃんを手に二人の前にしゃがみ込んだ。





「二人ともボクを大事にしてくれる?」

クマになりきって話す司さんに対し、

「「ぜったい!」」

と言って意気込む二人。


「でもボクは生まれてくるあかちゃんの

お世話もしなくちゃいけないんだ。

果菜ちゃん、美果ちゃん、

あかちゃんが生まれたら、

ボクと一緒にあかちゃんの

お世話を手伝ってくれるって約束できる?」

「「できる!!」」

「じゃあ、一緒に帰ろうか?

果穂ママ、それでいい?」

「もう・・・、

分かったわよ。

二人ともちゃんとクマちゃんとの

約束守るのよ。」

「「約束!!!ゆびきりげんまん!!!」」



クマちゃんの両手と指切りげんまんをする二人。

どうやら、うちの二匹目の同居人がやってくるのは

しばらく先になるようである。







「今日は勝手なことばかりしてごめんな。

あーあ、なんかお母さん失格な気がするよ。

日向にも今度謝っておかないとな。」

「何言ってるんですか。

司さんはどこまでも優しく思いやりのある先生で、

そしてもうすでに立派なお母さんですよ。

生まれてくる子ども達もそう思ってくれますって。

俺があなたを支え続けますから、

これからも自分の思うとおりにやってください。」

「・・・ありがとう、渉。」




果菜ちゃんたちが帰った後、

梅雨を膝に載せながら、

そう呟いた司さんに対して、

俺はその隣に座って、

自分の決意を改めて語った。




彼女が今のままの自分を貫けるように、

俺は全力を持って支え続けよう。

彼女のそんな姿がきっと

生まれてくる子ども達の

誇りになると信じているから。



寄りかかる彼女の温もりが

俺の胸をさらに熱くする。




もうすぐ、新学期。

いっちょ、頑張るとしますかね。



うろな町計画参加作品です。


これにてバザー話は終了です。

コラボさせていただいたみなさん、

ありがとうございました。


アッキさん、駄弁り部の皆さんお借りしました。

問題のある点があったら言ってくださいね。

天塚君が好き過ぎていつもネタにしてしまいますが、

キャラを崩し過ぎでしたらすいません。




それでは次は始業式話に行きたいと思います。

ようやく正式発表です。

生徒たちのリアクションは如何に。

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