表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/124

7月13日 身に余る幸せと猫合わせ

PM4:00


ジメジメと暑い日々が続いている。

今日は少し涼しくなってから、

梅原先生と一緒に梅雨の定期検診に

戸津アニマルクリニックへと向かっていた。




「梅原先生、梅雨のバック持ちますよ。」

「別に重くないから大丈夫だ。

日傘を持ってくれてればそれでいい。

帰りは買った餌を持ってもらうことになるんだから、

行きは楽をしておけ。」

「そ、そうですか。」


少し大きめの日傘の下で

梅原先生は俺の申し出をやんわりと

断った。




以前なら無理にでも自分で持った

ところであろうが、俺は我を張る気にならず、

梅雨の入ったバックに

日差しがかからないよう、

少しだけ日傘を傾けた。


ちなみに日傘をもっていない

俺の右手を梅原先生の手が

握っている。

現在日傘で相合い傘状態。






なあ、俺、明日死んだりしないよな。

正直幸せ過ぎて逆に不安なんだが。


あの夏祭りの夜以降しばらく、

梅原先生の反応がぎこちなかったものの、

この週末くらいから何か先生がナチュラルに

俺に触って来てくれる。




初めのうちは気になって

「どうしたんですか?」

と聞き返していたものの、

「嫌か?」

と言われてしまうと、

何も言い返すことができない。


しかもユキちゃんとの買い物で

買って来たものの

「さすがに使わないだろうな。」

とか言っていた日傘やフリフリの

服を着てニコニコ笑っているという驚き。


もちろん死ぬほど可愛いんだが、

あまりの変化に正直彼女に

何があったのか気になって仕方がない。

ただ自然な様子の彼女に突っ込むのも

気が引けて、何かふわふわしたままで

ここ数日過ごしていた。








「失礼します。梅雨の検診に来ました。」

「おー、梅原先生、こんにちわ。

今日は一段と可愛い•••、

うー、ついに梅原先生も•••。

なんで僕だけ一人なんだーーー!」

「だ、大丈夫ですか?」

「•••何でもないです。

さあ、では梅雨ちゃんを

見ましょうか!

•••(清水君マジでもげろ)。」




店内に入っても俺の

手を握っている梅原先生を

見て愕然とした戸津先生であったが、

何とか動揺から立ち直って

梅雨の診察を始めた。

ただボソッと呟いた俺への恨み言が

耳に痛い。


戸津先生、身に余る幸せって

結構怖いもんですよ。

そっちも宇美さんの視線の意味に

気づくと同じ気分が味わえると

保証します。


俺は心の中で

戸津先生にそう弁明した。








「すいません、時雨さんとたぬきさんの

検診お願いします。」


梅雨の検診も終わるかというころに、

2匹の猫を連れた平山さんが現れた。


「あ、梅原先生に、清水先生、こんにちわ。」

「こんにちわ、平山さん、足のけがの方は

もう大丈夫ですか?」

「もう大丈夫ですよ。

お嬢様に心配をおかけしないために気合いで治しました。」


梅原先生と平山さんは仲良さそうに話していた。

今までの検診で知り合っていたのだろうか?




「梅雨ちゃん、終わりましたよ。

あ、平山さんお疲れ様です。

じゃあ、先に時雨くんからいきますか。」

「なーー」


梅雨をこちらに引き渡した戸津先生は、

そのまま平山さんの連れて来た大きい方の

猫を連れていった。




「にーにー」

「うなー」

梅雨に小さい方の黒猫がじゃれついており、

それに負けじと梅雨ものしかかっていた。

灰色と黒色の毛玉が混ざる。


中々仲が良さそうだ。

梅雨、人見知りではあるが、猫見知りではないのだろうか。




「梅雨もたぬきちゃんには大分慣れたな。」

「最初にたぬきさんが飛びかかってしまった時は、

ずっと震えてましたものね。」

「でも梅雨に同年代の友達が出来て良かったです。

今では姉妹みたいですし。」

「ホントですね。」




あ、やっぱり始めはダメだったんだ。

まあ、徐々に慣れていってるなら問題ないか。

話から察すると向こうも雌みたいだ。

一応自分の猫なんだから、梅原先生にばかり

任せずに、ちゃんと交友関係を作ってやらないとな。






「さなえさーん、時雨ちゃん、パス。

次はたぬきちゃんもらっていきますね。」

「宇美さん、今日はお休みでは?」

「この後、タマ や椋原さんちのにくきゅーも来るらしいので、

臨時で来ましたー。」

「お疲れ様です。

猫さん大盛況ですね。

戸津先生にお礼として何かおねだりされたらいかがですか?」

「ノブ兄、そういう所全然気が利かないからなー。

考えときまーす。」




どうやらまだまだ猫が来るらしい。

梅雨、そんなに一杯来て大丈夫かな?


そんなことを考えていると時雨と呼ばれた

足先の白い猫の前で梅雨がプルプルと震えている

のが目に入った。




「う、うな?」

「なー」

「うななーー」


時雨くんに一鳴きされて、

完全にビビって梅原先生の

所に逃げ戻る梅雨。

ああ、やっぱり無理か。




「時雨さん、梅雨ちゃんいじめちゃダメですよ。」

「初めてですし、しょうがないですよ。

時雨、ユキにおにぎり持って行ってくれたんだってな。

鮭と天むす、おいしかったから、タカさんにも作って

あげたんだってさ。偉いなー。」

「なーー」


梅原先生に撫でられて、

満更でもなさそうな時雨くん。

ユキちゃんと仲がいいのか。

というか、猫がおにぎり持って行くってどういうこと?




すると梅原先生が撫でているので、

大丈夫と思ったのか、

梅雨がおそるおそる時雨くんに近づいていった。


「うな?」

「なーー」

「うなー」


どんな会話が行われたのか、良く分からないが、

今度は鳴かれても踏みとどまっている。

そして彼の白い足先をぺろっと舐めた。


「なーー」

お返しとばかりに、顔を思いっきり

舐められて、固まる梅雨。


「うなー♪」

ただ硬直が解けた後は、

梅雨は時雨くんにまとわりついて行った。

オッケーということなのだろうか?

「なーー」

彼は若干面倒くさそうではあるが。







「戸津せんせえ、タマ連れて来ました。」

「マサムネ引き取るついでに、にくきゅーシャンプーに

来ましたー。あー、梅ちゃん先生、可愛いーー。」

「にゃー」

「うにゃー」


そうこうするうちに小学生っぽい女の子と2年の椋原も

やってきた。

それぞれの猫は梅雨にまとわりつかれている時雨くんに突撃。


「にーーー」

「あ、たぬきちゃん、ダメだって。」


最後のトドメに診察室から戻って来た

久島さんの腕からたぬきちゃんが

時雨くんに向かってダイブを敢行。


「ぶなあーーー」

押しつぶされて、悲鳴っぽい

声をあげる時雨くん。


「時雨大人気だな。」

「草薙さん家のぎんくんと並ぶ、

うろなネコのアイドルですからね。」




まだうろなに有名な猫がいるんだ。

今度梅雨を連れていってやろう。





俺はそんなことを思いながら、

お兄さん猫にじゃれつく娘と

女性陣の中で楽しそうに談笑する

彼女をぼんやりと眺めていた。


自分たちだけでなく、

その幸せが周りに広がっていくというなら、

今の過剰な幸運も受け止めてやろうじゃないか、

そんな少し偉そうな気分に浸りながら。

シュウさん達の企画、『うろな町』計画に参加させていただく作品です。


梅原と清水のちょっとした?変化と

猫尽くし回です。


前半はかなりいちゃいちゃさせてしまいました。

まあ、第二部は少し進めようかなというところで。

絡ませていただける方は

よろしければ今までより少し

いちゃこらしている二人の姿を

書いてもらえると凄く嬉しいです。

もちろん、このまま清水に

いい目だけ見させるつもりはありませんが(笑)


ねこちゃん、裏山おもてさんのぎんさん以外は大体

出したつもりでしたが、

うちの子いないって場合は言ってくださいね。


色々な方をお借りしたんですが、

とにあさん、零崎虚識さん、ディライトさん、

キャラやねこちゃんの反応で、

問題があったら遠慮なく言ってくださいね。


本編にも書きましたが

次は草薙さんちに行かせてもらえると嬉しいです。

裏山おもてさん、いつ頃ならいいですかね?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ