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7月6日 その2 先生達は大騒ぎ

PM6:30


「ホルムズ海峡、夏景色ーーー。」

「小梅ちゃんいいぞーー。」

「コブシ利いてるよーー。」

「梅原先生、サイコーでーーーす!!」


小林先生とのライブを終えた俺は

果穂先生の用意してくれていた甚平に

着替えてビールを飲みながら、

カラオケ大会のトリをかざる

梅原先生の熱唱に声援を送っていた。


周りはすでに酒盛り状態であり、

いい感じにできあがっていた。

町長や元プロ野球選手である藤崎さん

といった有名人たちはおじさん達にビールや

日本酒をどんどんつがれて困っていたようだが、

こういう雰囲気も悪くはない。

うーん、全力で演歌を歌う梅原先生も

これまたそそるなー。

今度カラオケデートに誘ってみよう。




カラオケ大会は予定よりも

参加者が少なく、

19時からの花火配布には余裕がありそうだ。

まだ何人か、飛び入りで参加するかもしれないな。


そんなことを考えていると

いつのまにか隣で飲んでいた

はずの果穂先生がいなくなっていた。

果菜ちゃんたちに聞いてみると

梅原先生の歌う姿に興奮して近くにいた田中先生を

引っ張って車の方にいってしまったとのこと。


「果穂さん大分飲んでたし、

大丈夫かなー。

また何かおかしなこと

思いついたのかもしれないけど。」

拓人先生は果穂先生自体を心配するという

よりは彼女の引き起こすトラブルの方を

思って苦笑していた。

さすが酔った先輩を介抱してたら

押し倒された御仁。

発言に重みがあります。




そんなことをしている間に

梅原先生の歌も終わり、

商店街のジジババ組を

中心に大きな喝采を浴びていた。

「小梅ちゃん、いい声だったよー。」

「生き返ったわい。ありがたや、ありがたや。」

「いえ、そんな、聞いていたただいて

ありがとうございます。」


歌い終わって上気した顔の梅原先生は

どこか恥ずかしそうに頭を下げていた。



ああもう、可愛いなー。






「それではカラオケ大会第二部

参加予定者は以上となっておりますが、

まだ少々時間がございます。

もし参加を希望される方がおりましたら」

「はいはーい。参加しまーす。

ちょーっと待っててくださいねー。」

「ちょっと果穂に田中先生どうしたんですか!?」

「ごめんなさい、梅原さん。」

司会役の麦わら榊さんの言葉を遮って

ボディコン姿の果穂先生と田中先生が

梅原先生をステージ脇に引っ張って行った。


うわー、二人とも凄い格好だったな。

拓人先生も目を丸くしているよ。

あと、直澄、さっさと鼻血を止めろ。

確かにお前の彼女は想像以上に

ムチムチだったが。




そして麦わら榊さんと緑髪内村さんが

場を繋いでしばらく経った所で、

二人が同じ高露出衣装に身を包んだ

梅原先生を連れてステージに戻って来た。

「ほ、ホントにやるのか。

あれはカラオケボックスのノリでやっただけだろう。」

「今さらつべこべいわないの。

私たちもまだまだイケルってことをみんなに見せつけて

やりましょう!!!」

「小林先生、絶対酔ってますよね。

うー、直澄君、そんなに見ないで。」




すでに半分目が座っている果穂先生に

対して残り二人は実に恥ずかしそうな様子である。

まあ、全員30代以上であの超ミニスカ、

ほぼ水着のファッションは辛いだろう。

とはいえ、すらっとした梅原先生、

ボンキュボンの果穂先生、

ムチムチ熟れ熟れの田中先生の

昔のアイドルみたいな格好は

会場のおっさん達のハートを鷲掴みのようで

「いいぞー。」

みたいな野次が各所から飛んでいたが。




「とにかくいくよー。

曲は『UMA』で。ミュージックスタート!!!」


果穂先生のかけ声で

昔懐かしい二人組アイドルの

ヒットソングが流れ出した。

果穂先生がさっそく踊り出し、

他の二人も諦めたのか、

半ばやけっぱちな感じで

踊り出した。


「「「UMA!」」」

最初のフレーズを言った時には

3人の息はぴったりと

あっており、

振り付けも完璧になっていた。

さっきの話だと

カラオケで結構練習したのかもしれない。

学校種を超えて先生方の仲が深まったのは

単純にいいことだよな。


そんな風に半ば微笑ましい目で

三人の歌と踊りを見ていたが、

梅原先生があられもない姿で

汗を散らしながら歌って踊る

姿を見ていると

何か色々興奮して来た。

隣で見ている直澄も鼻血は

止まったようだが、

想い人のセクシーな姿を

赤くなって見つめていた。


「なあ、直澄、これは結構”クル”な。」

「はい、渉兄さん。俺このままだと

終わった直後に倫子さん押し倒しそうです。」

「俺も同感だ。梅原先生の貞操が危ない。

冷静になるために少し汗をかかないか。」

「了解です。」


俺は拓人先生に車の鍵を借りると、

着替え置き場になっている

彼らの車へと直澄と二人で向かった。

道中、ステージを見ていた男子中高生達

何人かに耳打ちをしながら。








「「「UMA」」」

「ねえちゃんたちサイコーだー。」

「色ぺえぞー。」

「アリガトーー。

拓君ーー、果菜、美果ーー!!。

どうだったーー?」

曲が終わり果穂先生は

観客の声援に応えると、

楽しそうに旦那と娘達に

駆け寄って行った。



「なんかどっと疲れた。」

「私もです。ああ、生徒達に

休み明け何言われるか心配です。」


一方梅原先生と田中先生は

ぐったりとした様子で、

客席の方に戻って行っていた。


お疲れ様でした、お二人とも。

でも盛り上がりましたし、

良かったですよ。




「飛び入り参加でしたが、

先生方ありがとうございました。

さてあと1曲ぐらいなら大丈夫との

ことですがどうでしょうか?」

「ふ、それなら大トリはこの”渉と直澄”

and”うろなボーイズ”に

任せてもらおうか!」


客席の後ろから響いた声に会場が振り向くと

そこにはうろな中学の制服に身を包んだ俺と

うろな高校の制服を着た直澄を先頭に

お祭りに来ていた中高の男子生徒が

制服姿で多数集まっていた。


「・・・なんで祭りにまで来て制服着てるんだろ、俺は。

こんな時まで、不幸だー!!!」

「ま、そう言うな。これも経験、経験。」

「いーじゃん、面白そうだし。」

「涼維達ノリいいね。」

「また高校の制服を着ることになるなんてな。」

「結構似合ってますよ。」

「ふ、俺の制服姿も素晴らしいだろう。」

「アンタは普通に現役の学生でしょうが!」


彼らの制服は小林先生の車に積まれていた

ものである。

しかし果穂先生が何故か大量に

うろな中高の制服を車に積んでいたのが

役に立ったな。

何を企んでいたのかはさすがに

あまり詮索したくはないが。




ぞろぞろとステージに移動した俺たちに

女性陣から黄色い声援が飛ぶ。


「稲荷山君頑張ってー。」

「隆維、涼維しっかりー。」

「マサムネーー。店番はしておくからねー。」

『テンちゃん!気合い入れてやるんだゼ!!』

「二人ともあえて別人の制服を着るとは。

君たちにも嘘の良さが分かって来たようだな。

素晴らしい!!」


ちなみに主役の二人の想い人の

反応はというと

「清水、流石に中学の制服は無理がありすぎる気が•••」

「直澄君の制服姿•••。は、ダメよ、倫子。

制服姿にドキドキしちゃうなんて。」

と実に好対照であった。




「ふ、梅原先生、そんなに恥ずかしがらなくても。

それじゃあいくぞ、野郎ども!」

「反応は上々ですね。

今度倫子さんに女子の制服着てもらって

制服プレイを•••。

じゃあ、いきますか!

曲は『青春ブラーボ』で!!

盛り上がって行こー!!!」

「「「「「おーーーー!!!」」」」




曲が始まると俺たち二人を前面に

残りの生徒達はバックダンサーとなる

ポジションで踊り始めた。

俺たちは完全シンクロ状態で

歌いながらダンスを披露して行く。


「清水、いつのまにあんな練習を•••。

いや、あいつのことだから元々

マスターしててもおかしくはないが。」

「流石義兄弟。息もピッタリね。

直澄君もカッコいいね、田中先生。」

「そ、そうですね•••。」

「あー、もう見とれちゃって可愛いなーー。」


女教師達も和気あいあいとしながら

こちらを見ていた。




2番以降はセンターの二人の

組み合わせを生徒達と交代しながら

やっていった。

その組み合わせは

剣道部コンビだったり、

双子コンビだったり、

文芸部コンビだったりと

中々それぞれに味が出ていた。


途中で出来る奴は側転やバク転なども

入れていったので、それが成功するたびに

会場のムードもさらに盛り上がって行ったのだが、

けっこう男の子同士でくんずほぐれつの

状態にもなっていたので

内村さんなんかは

「うわー、薄い本のインスピレーションが湧きまくるーー!」

とか叫んでいて、榊さんに止められていた。




「ベイビーーー!みんな楽しんでくれたかなー!!」

「一緒にノッてくれてアリガトーー!!」

「「「「イエーイ」」」」

最後は曲の終了後ステージで全員がハイタッチをして

フィナーレとなった。


こうしてカラオケ大会は大盛り上がりのまま

終幕を迎えることとなったのである。

シュウさん達の企画、『うろな町』計画に参加させていただく作品です。


先生達の歌3連発。

最後の曲では生徒さん達にも加わってもらいました。

問題がありましたら言ってくださいね。


それでは次で夏祭り話の締めとしたいと思います。

さてさて清水と梅原をどれくらいラブらせましょうかね?

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