表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/124

6月4日 その3 真うろなタン計画と清高同盟

PM6:00


梅原先生が戻ってくるまでの間、

高原さんの入れてくれたお茶を飲みながら、

俺は明日の計画を練っていた。




すると高原さんが徐に奥を覗き込み、

梅原先生がまだもどってこないことを確認すると、

先ほどまでの落ち込みはどこへやら、

実に楽しそうな様子で

俺に話しかけて来た。


「実は清水先生、さっきの『うろなタン』計画って

あれは表向きのAパターンなんですよ。

本命のBパターンはもう少しこだわっていましてね。」


そう言いながら、レジの下から先ほどとは違い、

入念に書かれたイラスト複数枚に

設定資料のようなものを見せてくれた。


そこにはランドセルを背負った小学生っぽい女の子の絵、

そしていわゆる”魔法少女”のようなアニメ絵が書かれていた。




「フフフ。実は俺、結構アニメとか好きで、

この町にあるアニメショップ『アニマチオン』の常連だったりするんですよ。

そこの黒塚さんっていうスタッフの人にも協力してもらって

キャラ設定とか今練り込んでるんですよね。


うろなタンはうろな南小に通う小学5年生の女の子。

うろな商店街のおもちゃ屋の娘で商店街のアイドル的存在なんですが、

商店街が長引く不況や後継者不足でピンチに陥っていることを

知り、商店街のお社様に『商店街を助ける力をください』って

お願いするんです。


その真剣な願いに心を打たれた商店街の守り神様が

彼女の大事にしていた変身ステッキのおもちゃに

本当に魔法少女に変身できる力を与えてくれたんです。

うろなタンはその力を使い、『魔法少女うろなタン』として、

商店街の様々な悩みを解決に導いていくんです。


ちなみにこの”鬼っ子モード”は

商店街をバカにする悪い奴らを懲らしめるために、

彼女が”鬼神うろなタン”に変身して

怒りのパワーで悪い奴らを竹刀状のステッキで

お尻ペンペンの刑にしてしまう

という設定なんですよ。

どうですか、中々面白いでしょう。」


そう言って今度は、頭に角を付け、怒ってるぞー

という顔をして、竹刀を持ったうろなタンの絵を

見せてくれた。




なるほど結構良く考えている気がする。

これなら小さい子どもだけでなく、

大きなお兄さん達にもかなりの需要が見込めそうだ。

きちんと教育的なお話にすれば学校との

タイアップなんかも考えられるな。


しかしこのうろなタンのキャラクターだが、

140cmぐらいという身長、

そして商店街のアイドルにして、大事なものをバカに

する奴らを変身して懲らしめるという設定、

このモデルって•••


「もしかしてこのモデルって梅原先生ですか?」

「ピンポーン。大当たり!!

いやー、梅原先生、商店街ですごく愛されてるし、

マスコットキャラクターのモデルとしては、

ちょうどいいんじゃないかと。

そしてそれならゆるキャラにデフォルメしなくても、

いっそ本人がコスプレしてできるようなリアルなキャラに

しちゃえばいいかなーと。

これだったら、商店街のお年寄り達も結構

乗っかってくれる気がするんですよ。


でも流石に本人は絶対いやだっていうだろうから、

どうしようかなーっと。

あとそのための衣装を作れる人材が不足しているんで

それも。」


高原さんはそう現在の悩みを打ち明けてくれた。




フ、そんなことなら簡単ですよ。

この不肖清水。

梅原先生のこんな可愛い姿を見られるんだったら

何だってやりますよ。

それにそれが商店街の活性化に役立つなんて

まさに一石二鳥!

おー、さらに燃えてきましたよ。


「高原さん、大丈夫です。

このBパターンを主軸プランとして進めてください。

商店街のために是非にと押し切れば

梅原先生は絶対に断りきれません。

説得役は私に任せてください。

ちなみに衣装の提供でしたら、

南小の小林果穂先生に相談してください。

このプランを伝えれば、

彼女のネットワークを使い、

どんな衣装でも作ってくれるはずです。

南小の生徒さんという設定から

先生役とかもやってくれるかもしれませんよ。」


俺が高原さんに熱く語ると

高原さんも改めてやる気を出したようで

俺と固い握手を交わしながら

更なる推進を約束してくれた。




やはりこの人は今後の俺の協力者として

うってつけの人物だ。

是非仲間に加えたい。

それならやはりこの点だけは

確認しておかなくてはいけないな。


俺は高原さんの梅原先生への

思いについて、確認の意味で聞いてみた。


すると、へっ、と意外そうな顔をした高原さんは

「いや、俺別にロリコンではないですし、

あの人はちっちゃいお母さんみたいな感じ

ですしね。

俺年上好きではあるんですけど、

正直もっと大人な感じ、

ぶっちゃけ、うろ高の田中先生、

狙ってるんですよ。」

と衝撃の事実をぶっ込んでくれた。


マジですか!

熟女好きで、田中先生狙い!

確か先生も、まだ独身•••。

これはさらに色んな意味で協力し合える!


俺は高原さんが本当に仲間として

協力し合える人材であることを

確認し、握手した彼の手を力強く

握り返した。


それはこれからうろな町を盛り上げて行く、

若き二人の雄、

清水と高原による想い人ゲットのための協力同盟、

略して”清高同盟(しこうどうめい)”が

締結された瞬間であった。


「渉兄さん、これから頑張りましょう!」

「よし、直澄、目指すはうろな町の発展と

梅原•田中のダブルゲットだ!」

「「おおーーー!!!」」


俺と高原さんは野望を共有出来る

仲間を手に入れることに歓喜し、

今度はお互いに肩を抱き合って

今後の健闘を誓い合った。





PM6:30


「それでは失礼します。

高原さん、例の件の進行状況、

しっかり連絡お願いしますよ。」

「がってんです!」


俺と高原さんは改めて

今後の「真うろなタン計画」について

連絡を取り合うことを確認し合った。




「例の件?まあ、いいか。

じゃあな、高原。

手の空いている時でいいから、

剣道部への指導の手伝い頼んだぞ。」

「分かってますよ。

後輩達とも仲良くなりたいですから。

また稽古付けてくださいね。」

「ああ、お前の腕がどれくらい

上がったのか、私も楽しみにしているからな。」


高原さんが中学校と高校の剣道部の

指導に空いた時間に来てくれることも決まった。


全国の経験があるOBがくることは

生徒達にとっていいのはもちろん、

田中先生の求める実績作りにも

繋がるだろう。

もちろんこれは高原さんにとっても

想い人に会う口実ができたことになり、

お互いwin-winな関係であると言える。




俺たちは手を振る高原さんに別れを

告げると、先ほど約束したように、

商店街を改めて回って買い物を

していった。


すると今度も買った量と同じくらいの

おまけをしてもらい、

結局買い物袋は合計4袋分にも

なってしまった。




一袋を梅原先生、残り3袋を

俺が持っていたのだが、梅原先生が

「お前ばかりに持たせてすまんな。

そもそもこんなにもらっても

私一人では処理しきれないから、

食べ物はお前のうちに置いて行って

いいか?

基本は明日以降の朝食や弁当の材料に

しようかと思うし、

どうせだから今日はそっちで

夕食を作るか。」

と言ってくれた。


なんと、梅原先生の手料理を

夕食でも味わえるなんて。

商店街の皆様、ありがとー!!


俺は感動に打ち震えながら、

色々な出会いがあった

うろな商店街をあとにした。




これは今週も1発目から大収穫である。

明日はそれなりに大変そうだが、

可愛い弟分のためにもやってやるぜ。


俺は決意を(みなぎ)らせると

両手の買い物袋を

持ち直し、

梅原先生の後ろについていった。


シュウさん達の企画、『うろな町』計画に参加させていただく作品です。


当初の予定ではここまで二人を

仲良くさせる予定はなかったんですが、

清水に同年代の友人を作ってやろうとも

思ったのでこんな感じになりました。


そして被害者の会に高校の田中先生が

仲間入りする予定。

彼女のキャラももう少し深めなければ。


アニマチオン・うろな町店の黒塚さんにも

名前だけ登場いただきましたが

大丈夫でしょうか。

真うろなタン計画はまだまだ

検討段階ですので、

こんな企画ではヌルいということでしたら、

山田さん、是非黒塚さんにアドバイスをさせてあげてくださいな。


ということで

”小学生梅原”、”魔法少女梅原”、”鬼っ子梅原”の投入予定が

決まりました。

変身ものの予定ですので、

みなさんからご意見があれば別のフォームも

加えられたらと思います。

商店街のお祭りとかで

ショーとかやらせましょうかね。


次話はスーパーでのお話です。

お兄ちゃんの思いはいかに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ