5月31日 その2 犯人は大雨•••ではなく、小学生?
PM4:15
こんな事態になる少し前、
俺と梅原先生は大雨の中を
うろな高校へ急いでいた。
通常であれば
「うほー、梅原先生の
シャツスケスケー。
先生のブラの色、今日はピンクーーー。」
みたいな感じではしゃいでいたのであろうが、
現在そんな元気はないし、
そもそも今回に限ってはそんなことは
ありえない。
なぜなら天気予報は雨ではなかったのにも
関わらず、梅原先生が
「今日はやばそうだ。レインコートと
傘両方持って行こう。
鞄を包めるビニール袋やタオルもな。」
と忠告してくれていたのだ。
そのためどしゃぶりの雨の中であるが、
レインコートを着込んだ上で
傘をさしている完全防備状態であり、
靴回りが濡れて気になる以外は
おそらくほとんど濡れていないであろう。
梅原先生、時々こういう野生の勘みたいなのが
働くんだよな。
俺は隣の小さな想い人に改めて感心すると
水たまりをよけながら前へ進んで行った。
うろな高校についてレインコートを脱ぎ、
多少濡れてしまった部分については
タオルで水分をできるだけ拭き取っていった。
梅原先生も同様であり、その髪が水分を軽く
含んでいるのが艶やかで魅力的ではあるが、
服はほとんど濡れておらずいつも通りである。
これがいつもなら、いかにして無理矢理でも
先生を濡れさせようか策謀を巡らせる
所なのであるが、今日はそんな気にすらならない。
ああ、俺のオスはどこに行ってしまったんだ。
そんなアホな悩みを抱きながら職員室に向かおうと
しているとバタバタと階段を駆け下りる音と共に
一人の男子生徒が、階段から駆け込んで来た。
「なんで大雨警報出てるのに拭き掃除なんか
しなくちゃいけないんだよ。
どうせ濡れるだろ。」
ああ、警報が出てたのか、道理で雨が激しいはずだ。
男子生徒の叫びからそのことを知って納得していると
今度はバケツを持った美少女、しかし小学生としか
思えない小柄な女子生徒が階段の踊り場に現れた。
「何言ってるのよ、バカ達也!
掃除してから帰りなさいって先生に言われたでしょう。
雨で濡れるのと拭き掃除で濡らすのとは全く
意味が違うわよ。さっさと戻って来い!」
そう言って階段下の男子生徒を呼び戻そうとしていた。
そりゃ、そうだよな。
しかし言われた男子生徒は全く聞く耳を持たず、
「うるさい、小学生。
誰がそんな面倒くさいことを。
俺はもう帰るからな。」
そう言って玄関の方に向かおうとしていた。
その台詞に激高したのであろうか、踊り場の女子生徒は
顔を真っ赤にして
「誰が小学生じゃ!」
といって彼を追いかけようと階段を駆け下りていった。
が、運が悪いことに雨で濡れた階段に滑ったのか、
彼女は足を踏み外し、持ったバケツごと
階段から空中に放り出されてしまった。
いきなりのことに俺も、男子生徒も全く反応できずに
立ちすくんでいたが、梅原先生の反応は早かった。
鞄をその場に置くと一気に階段したまで移動し、
女子生徒が地面に叩き付けられる寸前で彼女の
体を拾い上げた。
さすが梅原先生、剣道六段は伊達じゃない。
俺はホッとしながら、同時に感心していたが、
次の瞬間何か忘れていることに気がついた。
女子生徒はさっき何をもっていたっけ?
そう俺が気づいた瞬間、女子生徒を抱えた梅原先生の
頭上からバケツに入っていた水が一気に振りそそいだ。
危機を感じた梅原先生がとっさに女子生徒に覆いかぶさった
ため、女子生徒の方は殆ど濡れていないようだったが、
梅原先生はスーツもズボンもびしょびしょになっていた。
「ぐえ。」
ちなみに空になったバケツは
なぜかそのまま玄関近くでその光景を見ていた
達也とかいう男子生徒の顔面にヒットし、
彼はそのまま倒れ込んでしまった。
なんていうギャグ的展開。
「あ、ありがとうございます。
て、うわー、びしょびしょじゃないですか。
私のせいでごめんなさい。
このままじゃ風邪引いちゃうし、
そうだ、ちょっと保健室まで来てください。」
梅原先生が助けた女生徒はそういうと、
びしょびしょの梅原先生の手を引いて
近くの保健室へと駆け込んで行った。
俺は顔面ヒットで倒れ込んでいる
彼のことも気になったが
梅原先生のことを放っては
おけないので、
二人の後について行くことにした。
「本当にごめんなさい。
あのバカ達也のせいで。
私うろな高校1年の四季 恋歌
と言います。確か中学校の梅原先生
ですよね?うちの学校に何かご用事だったんですか?」
「まあ、ちょっとした用事でな。あまり気にするな。
ところでいきなり制服を脱ぎ出しているのはどうしてだ?」
「いや、服が乾くまでとりあえず、私の服を着てもらおうと
思って。ここなら代わりの体操着やジャージなんかもありますから。
先生って私とほぼ背丈おなじみたいですからいけますよ。
身長135cmですよね?」
「確かにそうだが、
その話は内緒だからあまり大きな声で言わないでくれ。」
「あはは、すいません。先生も風邪引いちゃいますから早く服脱いで
とりあえずこのタオルで体拭いてくださいね。」
「ああ•••、分かった。」
俺が保健室に入ると天幕に囲まれたベッドの辺りで
そんな会話が始まっており、
俺は動くに動けない状態になっていた。
え、先生って本当は135cmなんですか?
5cmもサバを!
先生そんなところで意地張らなくても。
ああ、でもそんなところがやはり愛らしい。
そんな風に梅原先生の新たな萌える事実を知ったことで、
俺の心の体力メーターが若干回復はしたが。
「ああ、先生、下着もビショビショじゃないですか。
そうだ、私下着もう一組もってるんですよ。
多分サイズは、ほら、ピッタリ。
これも付けてくださいね。」
「い、いや、いくら何でもそれは。」
「服を乾かす間だってノーパン、ノーブラってわけには
いかないじゃないですか。
それ予備の奴で一回も付けてませんから、
気にせずに使ってください。」
「いや、そういう問題じゃ。」
「そういう問題です。もうじゃあ、私が付けてあげますね。」
「あ、や、ちょっと、そんな、あ。」
「先生ほんと肌綺麗、しかもすべすべ。本当に30代なんですか?」
「腕をなで回さないでくれーーー!!!」
すいません、鼻血がでそうなんですが。
天幕の中で小柄の二人の肢体の影が揺れるたびに
俺の交感神経がビンビンに刺激されていた。
なんだこの、影百合プレイ。
俺は心の体力メーターがさらに回復していったのを
感じていた。本格的に今までの悩ましさが薄れて来た
気がする。やはりエロは偉大だ。
「よしこれで完了。じゃあ、これを乾かしてっと。
あ、でもこのまま乾かしたらしわになっちゃいそうですよね。
そうだ、いっそのことクリーニングに出しちゃいましょうか。
学校のすぐ近くにクリーニング屋さんがあるんで、
今から行ってきますね。」
「ちょっと、乾かすまでじゃ。」
「制服は何着か買ったんで大丈夫です。
またうちに来る機会に返してもらえれば。
クリーニング代も助けていただいたお礼として、
こちらでもちますから気にしないでくださいね。
終わったら中学校に届けてくれるようにいっておきます。
では行ってきまーす。」
「ちょっと待って、四季さーーーん。」
そういうと女子生徒は天幕から飛び出し、
保健室を駆け出して行った。
なかなか思い込んだら一直線なタイプの子だったな。
「う、うう、どうしよう。
こんな格好で人前になんか出られない。」
天幕の中では梅原先生がほとんど泣きそうな声で落ち込んでいた。
しかし時計を見るとすでに4時25分。
あと5分したら打合せの予定時間である。
あの田中先生、打合せに遅刻なんかしたら
どんな難癖を付けてくるか分からない。
「すみません、梅原先生。あと5分で打合せ始まるんですが。」
「し、清水?そこにいたのか?
しかも、すでにそんな時間?
も、もうこれで行くしかないのか。
ええい、仕方ない。清水行くぞ。」
梅原先生は覚悟を決めたさっそうとした顔で、
天幕をさっと横に払うと、俺に出陣を告げた。
それが腕や生足がさらされたミニスカート姿で
なかったら、さぞかし実に様になった様子であっただろう。
もちろんこの格好はこの格好で実にクルものがあって、
俺の心のメーターを満タン近くまで
ドンドン引き上げてくれたりはしたが。
これが今回の打合せにおけるカオスな状況の根源である。
シュウさん達の企画、『うろな町』計画に参加させていただく作品です。
打合せのカオスさの原因です。
うろな高校の制服についてはあまり詳しく
描写しませんでしたので、
お好きな感じで梅原先生の痴態をご想像ください。
「四つ葉の円舞曲(仮)〜うろな町から〜」の達也くんと四季さんに
大活躍していただきました。
白黒さん、達也君をギャグキャラ扱いしたり、四季さんに結構無茶させてしまいましたが、
大丈夫でしょうか?
作品のイメージを損なう場合は修正しますので、ご連絡ください。
次はいよいよ田中先生と対決です。
梅原先生が良い所見せますよ。(制服姿ですが)