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11月30日 花嫁奪還大作戦その15 紅白からの贈り物♪これは愛のイリュージョン♪♪

ユキちゃんのアトリエまで普通に行ったら、

うろな沢からアトリエまで1時間、

アトリエからうろな山下まで1時間〜2時間(元々は3時間)はかかります。

お気をつけ下さい。

PM3:38


「「「「響くは我らのお祝いの歌ーー♪♪♪♪」」」」


ウサ耳天使に率いられた森の仲間のコーラスは

俺の耳にいつまでも消えない心地よさを残して終幕を迎えた。



パチパチパチパチ!!


俺は感動で胸を一杯にしながら、

力一杯の拍手で生徒たちのお祝いに応えた。


すると空ちゃんが周りにスっと目配せを行い、

小さく「せーの」と言ったかと思うと、


「「「「清水先生、小梅先生、ご結婚おめでとうございます!!!!」」」」


大音声の祝いの言葉が森に響き渡り

そして俺の涙腺を直撃した。



「っ・・・・、ホントに、本当にありがとう!!」


目に涙を堪え、言葉を詰まらせながらも、

俺はみんなにあらん限りの大声でお礼を言った。

それを聞いてアクター達の顔にも満足そうな笑みが広がっていった。


1年の付き合いに過ぎない俺でこれなんだから、

司さんはきっと号泣しているんだろうな。

衣装が濡れないように必死にお世話している人たちの

慌てぶりが目に浮かぶよ。





俺が目に溜まった涙を拭いながらも

実際ありそうな妄想に含み笑いを浮かべていると、

ニコニコ顔のユキちゃんが

とてとて俺の方に近づいてきた。



「喜んでもらえて良かったです。

では次は『私たち』の出番ですね。

リズちゃん、賀川さん、お手伝いお願いします。」

「はいはーい♪

すぐセッティングするっスね。」

「分かった。」


ユキちゃんに呼ばれて、

背中に黒い羽を付けた黒犬姿

(フードの部分、サイドにも顔が二つついているデザインが斬新だ)

のリズさんが、

机だの壷だの水差しだの、

色々なものを運び出して小屋の前で設置し始めた。

その姿は実に楽しそうなのだが、

何かそのコスプレ姿に背筋が凍るのは何故だろう?

修行の時も手厚く手当までしてくれたし、

リズさんを怖がる理由なんて何もないはずなのに。

その横でモニターやスピーカー、カメラの設置をしている賀川さんは、

特に何も感じていないみたいだし・・・

ええい、バカなこと気にしてもしょうがない。



「今度は3人で何かやっていただけるんですか?」

「実はまだ『素敵な協力者』がいるんですよ。

そっちの準備できました?」

「完璧っスよ!

指輪の用意も出来てるっス!!」

「いつでもOK。」


二人が準備していた場所を確認すると、

何やら料理番組みたいなセットが組み立てられており、

その横には大きめのスクリーンが設置され、

プロジェクターからの映像が映し出されている。


カメラで手元が映るようになっているみたいだけど、

一体何をするつもりなんだろう?

指輪ってことは、漸く結婚指輪を返してくれるんだろうけど・・・



不思議そうにその舞台を見回していると、

綺麗な赤い宝石?がついたネックレスを、

首にかけたユキちゃんが、

いつもと変わらぬほんわかな様子で話し始めた。


「それでは私たちの『イリュージョン』、

始めさせてもらいますね。

えっと、まずは清水先生もよくご存知のベル姉様こと、

ベル・イグニス姉様よりお祝いのメッセージをいただいていますので。

そうそう。なので、そちらをご覧下さいっ。

賀川さんお願いします。」

「了解。」


賀川さんが手元に設置したパソコンを操作すると、

スクリーン上に動画ソフトが立ち上がり、

大恩ある赤髪の少女の姿が映し出された。



「あーあー、もう写ってるのか、これ?

ごほんごほん、くふふふ。

久しぶりだな、清水。

ベルたちの修行の甲斐もあって、

見事バケモノ義父に勝利したと報告を受けてはいたが、

その後司共々息災か?

本日の結婚式、出来ればベルもお祝いに駆けつけたかったのだが、

何分色々忙しくてな。

でもベルもいつか統哉と・・・

『ベル、花嫁姿、とても綺麗だぞ。』

『そ、そうか? ま、まあ統哉のタキシード姿も悪くはないと思うぞ。』

『ありがとう。これで俺たちも夫婦だな。初夜は寝かさないぞ。』

萌える、燃えるぞーーーーー!!!!

・・・イカンイカン、トリップしかけた。

とにかく結婚おめでとう!

その代わりだと言っては何だが、

ユキ達にあの修行以上の『スゴくイイ♪手品』を授けておいたから、

心ゆくまで堪能してくれ♪♪

機会があれば陽月島に司や赤ちゃんも連れて遊びに来てくれよ。

それではまた会おう!!」



相変わらず小さな体躯に威厳たっぷり、

そしてやっぱりどこかおかしな紅き麗人のらしい祝辞に、

改めて頭が下がる思いである。


ユキちゃんの体調不良が良くなったのも彼女のおかげらしいし、

たっぷりの引き出物、その島まで送らせてもらいますね。

想い人の統哉さんやレトロゲーム好きだっていうルーシーさんにも

よろしく言っておいて下さい。




♪チャラララララーー♪


心の中で画面から掻き消えた彼女にそう感謝の言葉を紡いでいると、

いよいよイリュージョンの始まりなのだろう、

手品でお決まりのあのBGMが流れ始め、

スクリーン上にはユキちゃんやリズさんの姿が映し出された。

森の仲間たちも手拍子をしているが、

ベルさんが『スゴくイイ♪手品』とか言い出すなんて、

何が飛び出して来るんだ?



そんな俺の朧げな不安を余所に、

まずはじめにリズさんが

リングケースからユキちゃんデザインのマリッジリングを取り出し、

上から吊り下げる形の台に載せた。


挿絵(By みてみん)


俺と司さんの考えたイメージを元に

ユキちゃんがデザイン、

うろなの職人さんが作ってくれた逸品で、

金地に表は梅・桜・桃の花の刻印に

流水のイメージのダイヤ二つ、

裏は梅雨をイメージした猫の刻印に

男性用には青いサファイア、

女性用には赤いルビーが埋め込まれている。

ユキちゃんらしい可愛くてそれでいて各イメージが映える配置に

してくれていて、とても気に入っているのだが

それを一体どうするのか?

まさか、溶かしたりするんじゃないよね!!?



「大丈夫ですよ、渉先生。

職人さんにお願いして元々、

ちょっとした仕掛けをしてもらっていたんです。

では行きますよー。」



俺に安心するよう呼びかけながらも、

ユキちゃんは指輪を台ごと壺の中に降ろしていった。

そして横からアシスタント役らしきリズさんが

「Abaddon.com特注溶液、投入っス~~~♪」

と楽しげに謎の薬液をドバドバ投入。


シュワシュワシュワ


と怪しげな音がするのに俺の不安はさらに高まってきたが、

ユキちゃんは気にせず、

壺の口にハンカチを被せて

両手を前にかざしたのだった。


「本来ならもっと時間がかかる仕掛けなんですけど、

ベル姉様に教えてもらった手品を使って、

3、2、1♪」


彼女がカウントダウを唱えると同時に、

首から下げた赤い宝石が柔らかな光を放ち、

壺の中からも同様の光が漏れでてくる。

本当に何が起こっているんだ?


「0♪

リズちゃん、引き上げお願いしますね。」

「了解っス♪」


リズさんがハンカチをよけて、

フックみたいな器具を使って、

壺に入っていた台を持ち上げた。

賀川さんの操作するカメラがそこに寄っていくと何と!


挿絵(By みてみん)


「「「「おおーーーーー!!!」」」」


その変化に一様に驚く俺と着ぐるみ軍団。


何ということだろうか。

指輪の内側に今まで入っていなかった文字が

浮き出てきている!?

司さん用には「君に笑顔を」、

俺用には「いつも元気で」そう刻まれていた。



「これは・・・」

「指輪のデザイン決めるときに

先生達、内側に何かメッセージ刻もうかって検討していて、

でも高くなるからってやめちゃったでしょ?」

「ああ、そう言えば。」

「でも後でお店の方から

『二人の記念の品だし、サービスしておくから。』と言われたのです。

それを司先生に相談したら、

渉先生がお義父様との勝負で『君に笑顔を』と言っていたのに応えて、

『渉にはいつも元気でいて欲しい』って司先生が。

その後、イベントの話を高原さんから聞いて、

彫ったのを見えない様にコーティングしてもらい、

この機会に披露しようということになったんです。

これが私たちとベル姉様によるお祝いイリュージョン、

そして司先生による愛のメッセージです。」

「「「「ヒューヒュー♪♪」」」」

「ノリいいな、みんな!」



ユキちゃんのネタばらしに、

着ぐるみさんたちから一斉にはやし立てる声がして、

思わず顔が赤くなってしまう。


司さんまで一枚かんでいたとは・・・

でもそのメッセージ本当に嬉しいです。

これからも元気であなたの、そして子供たちの

笑顔を支え続けますね。




ハニカミながら俺が心の中で

誓いを新たにしていると、

ユキちゃんがステージの終了を宣言しようとしていた。

だが・・・


「それでは第3ステージはここまでです。

想いの篭ったこの指輪を持って、

最終ステージで待つ司先生を迎えに行ってあげて、

あわわ、一体、何ですか!?」

「ユ、ユキちゃん!?」

「ユキさん!!」



最後の口上を述べていたユキちゃんの胸元が光り出し、

何と彼女が空中に浮かび上がってしまった。

不測の事態に着ぐるみ達もオロオロしている。


おいおい、まだ手品は続いているのか?

いやいや、リズさん達まで本気で慌ててるし、

今度こそマジトラブルか!!

つうか、あの胸に光っているのって、

ベルさんの・・・

一体何を「授けた」んだよ!!



ベルさんの言っていた『スゴくイイ♪手品』。

俺を惑わすイリュージョンは、

どうやらまだ終わりではないようであった。


シュウさん達の企画、『うろな町』計画に参加させていただく作品です。

他の作品も以下のURLや「うろな町作品一覧」リンクからどうぞ♪


結局指輪話も前後半になってしまいました。

ゆっくり桜月りまさんの綺麗な絵を堪能していただけると幸いです。


桜月りまさんの「うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話」より、

ユキちゃん、賀川さんを引き続きお借りしております。

チェックありがとうございました。

そして挿絵いつもありがとうございます。


そして朝陽真夜さんの「悪魔で、天使ですから。inうろな町」よりベルさん、リズさんをお借りしています。

バザー、修行に引き続きお世話になっております。

朝陽さんもチェックありがとございました。


加えて本家「悪魔で、天使ですから。」より統哉くん、ルーシーさん、

Abaddon.comのお名前をお借りしております。

本家の方はなろうコン大賞の1次選考を見事通過しております。

こちらも是非チェックを♪


ちなみに上記のお二人はこちらで「まよりまラジオ」を

やられています。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm23054292

動画を含めたクオリティが高く、一聴の価値有りですよ♪


また小藍さんの「キラキラを探して〜うろな町散歩〜」より、

青空空ちゃんを引き続きお借りしております。

素敵な歌声ありがとうございました。


後半では指輪がさらにあんなことに!?

乞うご期待!!


コラボ作品URL

うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話

http://ncode.syosetu.com/n2532br/


悪魔で、天使ですから。inうろな町

http://ncode.syosetu.com/n6199bt/


悪魔で、天使ですから。

http://ncode.syosetu.com/n0312bk/


キラキラを探して〜うろな町散歩〜

http://ncode.syosetu.com/n7439br/

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