11月30日 花嫁奪還大作戦その14 猫ナビ様は偉大です。森に響く祝いの賛歌♪
アトリエまでかかる時間が既存のお話と食い違ってしまいそうなので、
所要時間を変更しました。
普通に行ったら、
うろな沢からアトリエまで1時間、
アトリエからうろな山下まで1時間〜2時間(元々は3時間)はかかります。
とりあえず普通はこんな早くアトリエには着けませんので、
お気をつけ下さい。
PM3:23
晩秋の森の木々は燃え尽きる前の最後の輝きと言わんばかりに、
どこまでも赤々と照り映えていた。
そう言えば鉄道会社では先月末から
「うろな高原で紅葉を見ながら山の幸を食べよう」みたいな
キャンペーンをやっているみたいだし、
うろな駅でお馴染みの駅員さんたちもそっちに駆り出されてるって
話なんだよな。
紅葉大分散ってしまってはいるけど、
まだまだ十分絶景と言える景観だし、
本来だったらゆっくりと紅葉狩りと洒落込みたい所なんだが・・・
「んな〜ぁ?」
「あ、ごめんごめん。
ちゃんとついて行けてるから、
そのまま進んでもらって大丈夫だよ。」
「んにゃっ」
落ち葉まみれの状態で立ち止まっていた俺に対し、
時雨くんは振り返って「まだか~?」みたいな視線を向けてきたが、
俺の返答にひと鳴きして、
またすぐにたったかと走り出してしまった。
よほど早く進みたいらしい。
この辺りは藤堂先生との修行でも何度か足を踏み入れており、
そもそもユキちゃん救出時に色々調べたりしたから
決して土地勘がないわけではなかったのだが、
時雨くんによる猫ナビルートは完全に想定外の代物だった。
いや、想定外というのは単に無茶苦茶な道案内だという意味ではない。
もちろん進んでいるのは全く道とは言えない木々の真っ只中、
それも何回か半分崖みたいな沢を飛び越えさせられたが、
そのおかげで普通なら大回りして1時間近くかかったルートを
半分ぐらいの距離で進むことが出来ている。
それでいて俺の移動速度も以前の倍近くになっているから、
この分だとそれこそ15分程であの奥深くにある小屋に着いてしまう計算になる!
それでいて足元が脆い所や滑り落ちかねない所とか、
本当に危ない場所はちゃんと避けてくれてる感じだもんな。
さなえさんが「時間に間に合うようにかつ安全なルートを行ってくださいね。」
とか言ってたのを彼なりに守っているってことかな?
さっき俺の返答に反応した時もまるで人間の言葉が分かっているかのような
反応の良さだったし、
ホント侮れないな、うろなの猫ボス。
ぶっちゃけ、仲の良い梅雨やユキちゃんの知り合いってことで
お情けで面倒見てくれているだろうけど、
本当にありがたいよ。
鬼の藤堂先生に追いかけ回され野を駆け回ったことで、
人間の限界に近い脚力を手に入れたなんて過信していたが、
ここは人里離れた森の中。
母なる自然の懐においては、
所詮野生の民には敵いはしない。
前のステージでも
生徒たちに一本取られてしまったわけだし、
相変わらずどこか抜けてるなんてことは分かっていたが、
先の見えぬ森の中、
猫の後ろを必死になって追っていると、
不思議と愉快な気持ちになってくる。
まだまだ多くのものが俺に教えをくれるんだと、
俺はみんなと一緒にいつまでも学び続けていられるんだと、
そう思うと改めてホッとした気持ちになる。
人知を超えた領域に半ば足を踏み入れてしまったことで、
自分の大事な部分が抜け落ちてしまったのではないかと、
朧げな不安が胸の奥底に漂っていたのだが、
こうやって遮二無二走っていると、
つまらぬ杞憂を森の木々が吸い取ってくれる気さえする。
全く、猫ナビ様は本当に偉大だね。
「んなっ♪♪」
前をゆく時雨くんの鳴き声に喜びの色が混じる。
どうやら目的地が近いようだ。
速度を上げる時雨くんに置いていかれないよう、
俺は笑みを浮かべていた口元を引き締めると、
改めて足に力を込めたのだった。
PM3:33
「んなぁあああ♪♪」
「手袋ちゃん♪
清水先生のご案内、お疲れ様。」
「なー♪」
懐かしいチョコレート色の小屋の前には、
魔女スタイルに猫耳猫尻尾装備のユキちゃんが佇んでおり、
時雨くんはその豊満な胸元へと見事にダイブを決めていた。
そのままユキちゃんにきゅっと抱きしめられて、
時雨くんは実に幸せそうなご様子。
その柔らかさと温もりを求めて
ここまで俺を連れてきてくれたのだろうし、
思う存分堪能してください。
「清水先生もお疲れ様です。」
「ありがとうユキちゃん。
引越しの手伝いやハロウィンの時にも付けてたその白い猫耳やっぱり可愛いね。」
「・・・果穂先生から『これも付けて!』と言われていて。
みんな、動物さんなのに私だけ、別の格好なので、
これだけでも一緒で嬉しいです。」
「ホントに何着作ってるんだよ・・・。
・・・で、君一人しかいないけど、
『みんな』って、どういうこと?」
「あ、先に『お祝い』するんでした!
えっと、森のみんな、出ておいでー♪」
「「「「はーい♪♪♪」」」」
ユキちゃんの呼びかけに応えるように、
木々の間から森の仲間に扮したのであろう、
着ぐるみ姿の中高生たちが次々に飛び出してきた。
着ぐるみから覗く顔をよく見ると、
中学では横島を始めとした文芸部の連中や
「うろ中二年アホ軍団」の一角、結城詩に代表される合唱部メンバーがいるし、
高校の方でも天文部メンバーや図書委員の小柄な女の子なんかの姿が見えるから、
主に文化系の連中が集まってくれたのかな。
「はうぅ、この格好で歌うのはやっぱり恥ずかしいよ。」
「軍手くん、ユキさんの胸でムギュっとされるなんて羨ましい・・・」
「結婚式の時と同じようにやれば大丈夫っスよ。
空ちゃんは森を守護する天使役なんスから、気合を入れていくっス!
賀川さんもアホな事言ってないで、ちゃんと役割を果たすっス!!」
「そ、そうだよね。
海お姉ちゃんや渚も、・・・それに鎮君も頑張ってるんだし、
私も勇気を出さないと。
ありがとう、リズさん。」
「りょ、了解。」
そんな愉快なやり取りが小屋の中から聞こえてきた直後、
「晴れたる秋空♪漂う雲よ~♪♪」と美しい歌声と共に、
ウサ耳天使姿の空ちゃんが小屋の中から歩みだし、
それに続けるようにに着ぐるみのみんなも、
「「「「小鳥も歌うよ♪うろなの森で~♪♪」」」」と歌いだした。
空ちゃんの後ろには黒犬の着ぐるみ着用の賀川さんが
鍵盤ハーモニカで伴奏しながら続いている。
結婚式に引き続き空ちゃん、賀川もイベントの盛り上げに
協力してくれているようだ。
彼らに導かれて着ぐるみたちも声を一つに「祝福の歌」を
歌ってくれている。
空ちゃん、結婚式でのマーメイド風ドレスも綺麗だったけど、
こっちも可愛いな。
こういう舞台は苦手だろうに一日二回も本当にありがとう。
最近カラスマントの中の人とデートしてたなんて噂も聞いているけど、
その辺りまた聞かせてね♪
賀川さんもお仕事忙しい中、
生徒たちのイベントにまで出てくれてありがとうございます。
結婚式でのピアノ演奏もカッコ良かったですが、
こういうコミカルな感じもイケますね!
・・・その「黒犬ムサシ」っぽい姿が「賀川さん」的に
大丈夫なのか若干心配ですが。
まあそれはいいとして、
時雨くんに対抗して、
今夜はその可愛い姿でユキちゃんに甘えてみるとかいかがですか♪
着ぐるみのみんなもありがとう。
受験や部活で忙しい子も多いだろうに
俺たちのためにここまでしてくれて本当に嬉しいよ。
多分どこかで中継を見ている司さんも
とっても喜んでいるはずだよ。
精一杯のお祝いをしてくれている若者たちのハーモニーを堪能しながら、
俺の胸は改めて感謝の心で満たされていくのだった。
シュウさん達の企画、『うろな町』計画に参加させていただく作品です。
他の作品も以下のURLや「うろな町作品一覧」リンクからどうぞ♪
更新が遅くなった上に、
結局第3ステージも複数話にまたがってしまいました(苦笑)
ゆっくりお楽しみいただけたら幸いです。
おじぃさんの「うろな駅係員の先の見えない日常」からは
紅葉イベントのお話を出させていただきました。
10月11月のお話を書かれている方は是非うろな高原へ。
とにあさんの「時雨」「URONA・あ・らかると」から、
時雨くんをお借りし、
平山さなえさん、カラスマント(鎮君)のお名前を出させていただきました。
時雨くん、ご褒美楽しんでいただけましたかね。
本来は崖から飛び降りたりする予定でしたが、
さなえさんのおかげで回避されました。
ありがとうございます。
鎮くんの空ちゃんとのデート話匂わせておきましたが、
大丈夫ですかね?
問題なかったら宗くんに突っついてもらえたら嬉しいです。
デート話URLも下に掲載しております。
また綺羅ケンイチさんの「うろなの雪の里」より
藤堂先生のお名前を出させていただいております。
本当にお世話になりました。
また桜月りまさんの「うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話」より、
ユキちゃん、賀川さんを引き続きお借りしております。
裏でもガッツリ使わせていただいてありがとうございます。
そして更新が週末になってしまった上、
指輪話までいかず本当に申し訳ありません。
後半はユキちゃんのターンなのでもう少しお待ちください。
またルートの件修正しておきました。
ちなみに「軍手くん」とか「黒犬ムサシ」の話題は夏祭りのお話で出てきますので、
興味を持たれた方は以下のURLを覗いてみてくださいね。
また小藍さんの「キラキラを探して〜うろな町散歩〜」より、
青空空ちゃんをお借りし、海さん、渚ちゃんのお名前も出させていただきました。
デート話とかいじってしまいましたが、大丈夫ですかね?
デート話のURLは以下に貼ってますので、こちらも興味を持たれた方は是非どうぞ。
さらに声だけですが朝陽真夜さんの「悪魔で、天使ですから。inうろな町」よりリズちゃんをお借りしています。
次回ちゃんと出ていただく予定ですが、
リズちゃんの口調とか大丈夫でしょうか?
久しぶりに書かせていただいたので。
ベルさんにもメッセージか何かいただけたら嬉しいので、
その辺りまた相談させてくださいね。
またイベントに参加してくれた生徒さんとして
アッキさんの「うろな高校駄弁り部」より横島さん、
菊夜さんの「うろラジ!」より結城詩さん、
シュウさんの「うろな高校天文部」の存在、
神楽さんの「仕立屋怪事件簿」より西村文さんらしき人物
などを出させていただいております。
何かありましたら言ってくださいね。
それでは次回はユキちゃん、そして水羽さんに
華麗なイリュージョンを披露してもらおうと思いますので、
ご期待ください。
コラボ作品URL
うろな駅係員の先の見えない日常
http://ncode.syosetu.com/n6937bq/
URONA・あ・らかると
http://ncode.syosetu.com/n8162bq/
デート話(クエスト! セイレーンをデートへ誘え!? 当日の朝)
http://ncode.syosetu.com/n8162bq/223/
時雨
http://ncode.syosetu.com/n7606bq/
うろなの雪の里
http://ncode.syosetu.com/n9976bq/
うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話
http://ncode.syosetu.com/n2532br/
夏祭り話(お祭り:昼過です)
http://ncode.syosetu.com/n2532br/34/
キラキラを探して〜うろな町散歩〜
http://ncode.syosetu.com/n7439br/
デート話(11/16 空・回想する1)
http://ncode.syosetu.com/n7439br/106/
悪魔で、天使ですから。inうろな町
http://ncode.syosetu.com/n6199bt/
うろな高校駄弁り部
http://ncode.syosetu.com/n7660bq/
うろラジ!
http://ncode.syosetu.com/n0936bv/
うろな高校天文部
http://ncode.syosetu.com/n8386bt/
仕立屋怪事件簿
http://ncode.syosetu.com/n6626bu/




