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5月31日 その1 やり手な担当教員となんちゃって女子高生

PM4:00


学校回りの最後を飾るのは

うろな高校である。

うろな町唯一の高校であり、

うちの中学校の生徒の多くが

ここに進学する。


地域色の強い高校であるにも関わらず

進学実績・部活動の実績は高く、

枠が狭く入るのが難しい町外からは

憧れの学校とされているらしい。

全国的に有名な進学校の出身である

俺としては、どんな風に学校の人気や

実績を高めているのか、

この連携担当の仕事を抜きにしても、

気になるところであった。


ただし今回の相手は南北小の小林夫婦

のように一筋縄ではいかない。

うろな高校の主担当である田中倫子(たなかともこ)女史

はこの前挨拶をした限りにおいては

かなりのやり手だと思われた。


あの時彼女は

「もちろん、協力させていただきますが、

我が校はうろな町外の大学を目指す生徒が

少なくありません。

そのため町との連携を最優先にできない

場合もあると思いますが、

ご了解ください。」

なんて言っていたが、簡単に言えば、

「こちらの大学受験の邪魔はするなよ。」

ということだ。

学校全体がどうなのかは俺にも分からないが、

少なくともあの先生が決して交流に積極的では

ないのは確実だろう。


あの先生を説得するための材料が必要だが、

めぼしい策は浮かばなかった。

まあ、昨日はそれどころではなかったが。

ああ、明日どうしよう。


「清水、清水!」


俺は梅原先生の声に気づいてびっくりした。

梅原先生の呼びかけに気づかないなんて

俺マジで重症だな。


「大丈夫か、清水。

昨日昼に帰ってきてからボーッとしてるし、

なんか変だぞ。

体調が悪いなら今日は私が主に話すぞ。」


あー、梅原先生に心配されている。

いつもなら小躍りして喜ぶところなのに

梅原先生を明日騙すのかと思うと胸が・・・。


ああ、葛西先生。

あなたは俺の心から何を奪っていったのですか?


「すみません。

この資料に今日おもに話そうと思っていた

議題が書いてありますから、よろしくお願いします。」


いつもなら仮に本当に体調が悪くとも

「大丈夫ですよ。キラ!」

みたいな感じで返すのであるが、

心の体力ゲージが殆ど尽きてきた

俺は素直に甘えることにした。

この状態ではあの敏腕女史と

やりあっても勝ち目はないだろうし、

無念だが仕方がない。


「そうか、任せておけ。

私が頼りになる上司であると

いうことを見せてやるからな。」


先生が妙に意気込んでいるのを見て

今日は素直にありがたいと思うことができた。





PM4:30


なぜこんなことになったのだろう。


「そ、それでは今後の連携に向けた

打ち合わせを始めせていただきます。

まずは手元の資料をご確認ください。」


俺の代わりに司会をすることになった

梅原先生が緊張をにじませながら

打ち合わせの開始を宣言した。


目の前には主担当の田中先生と

学園生活環境部というボランティアを

行う部活の顧問であるという春日先生が

座っていたが、二人の表情はおよそ

打ち合わせにはとても似つかわしく

ないものだった。


田中先生は口をあんぐりとあけると

意味がわからないという風にぽかんと

しており、春日先生は一応表情を

取り繕っていたものの、

笑いを必死にこらえているのが

明白だった。


通常なら咎められてもおかしくない

態度であるが、梅原先生の横に座っている

俺でさえ、果たして真面目な顔をする

のが正しいのかすらわからず、

口だけ笑いかけた奇妙な表情を

していただろうから、

人に文句を言う気にはなれなかった。


なぜ3人がそんなことになっているのか。

それは隣に座っている梅原先生に

原因が、いや正式には梅原先生の

格好にあった。


彼女が来ているのはいつもの

ダークブラウンのスーツではなく、

その何というか、

ぶっちゃけて言うと女子高生の制服だった。

そう、彼女が着ているのはこの

うろな高校の女子の制服なのである。

梅原先生は高校に打ち合わせに来て

そこの学校の制服を先生たちの前で

着ているのである。


もう一度言おう。

なぜこんなことになったのだろう。

どうしてこんなコスプレ会場まがいの

状況になったんだ。

果穂先生の陰謀か?

誰か教えてくれー。


すでにどうしようもないような

おかしな雰囲気の中で

中高の打ち合わせは開始されたのだった。

シュウさん達の企画、『うろな町』計画に参加させていただく作品です。


まだ前日の後遺症に苦しむ清水ですが

それを吹き飛ばすようなカオスが展開されております。

続きについては本日中に上げられればいいのですが、

もう一個の連載も進めたいので恐らく明日になるかと思います。



アッキさん春日先生お借りします。

あんまり話させたりは今回はしないつもりですが、

設定とずれていたらご指摘ください。

学園生活環境部の話は組み込もうと思いますので

天塚君は名前だけださせてもらいますね。

今後絡ませてもらえたら嬉しいです。

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