表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
119/124

11月30日 花嫁奪還大作戦その12 専用列車が行きますよ♪素敵な時間をおもてなし♪♪

PM3:10


「乗車終了、レピーター点灯、発車!」


駅員さんに引っ張るままに海浜公園駅に止まっていた特急列車に飛び乗ると、

爽やかな女性の声が響くと同時に列車は動き出した。


勢いに押されて乗ってしまったけど、

これってどこに向かうんだろう?

てか、俺しか客がいないって、

マジで貸し切ったのかよ、オイ!!



ドアの前で未だ挙動不審にきょろきょろする俺に対して、

ここまで連れてきてくれた駅員さんが気遣わしげに話しかけてきた。


「清水様、安全のため席にお座りいただければ幸いです。」

「あ、はい。・・・すいません、いまいち状況を把握しきれて

いないのですが。」

「大変失礼しました。私、この結婚式列車の添乗員をさせていただく、

深沢一流(ふかさわいちる)と申します。

今から車掌の片瀬・鵠沼(かたせ・くげぬま)より

ご挨拶とご説明をさせていただければと思いますが、

よろしいでしょうか?」

「ど、どうもご丁寧に。

お願いします。」


高貴な雰囲気の女性駅員さんにどこか気おされて、

リクライニングっぽい席に腰を下ろすと、

絶妙なタイミングで車内にアナウンスが流れ始めた。




ピンポンパンポン♪


「この度は弊社の結婚式列車をご利用いただきありがとうございます♪

奥様奪還のために奮闘する清水様を弊社としても全力でバックアップ出来れば

と思いますので、

短い間ですがどうぞゆったりおくつろぎください♪

運転士は久里浜美守(くりはまみもり)

ご案内させていただく車掌は私、片瀬咲月(かたせさつき)と」

「・・・鵠沼鯨(くげぬまくじら)が務めさせていただきます。」

「もお、鯨、テンション低いー!

もっとはっちゃけないと、ダメだぞ♪

依頼主の高原様からも『フランクな感じで盛り上げてください♪』って言われてるんだから。」

「いや、片瀬さん、そうは言っても車掌として節度を守ってやらないと。」

「ダメー、いつもみたいにちゃんと『咲月』って呼んで。」

「いやいや、仕事中!!」

「・・・やっぱりこんな重い年増女、鯨本当はもう嫌なんだ。」

「いやいやいや、1歳しか違わないし、

・・・本当にこんなノリでやっていいのか?

えっと、僕は咲月のこと、今でもちゃんと好きだから。」

「フフフ、やっぱり鯨は可愛いなあ!やっぱり大好き!!」

「ちょ、流石に抱き着くのは!

清水様、お騒がせしておりますが、

うろな沢までの8分間、

どうぞよろしくお願いします。」


ピンポンパンポン♪



男性車掌さんの軌道修正も虚しく、

完全な恋人漫談と化したアナウンスに、

俺もそして深沢さんまでも若干苦笑気味。


結婚式列車なんて用意してくれただけでもすごいけど、

こういう部分でも柔軟にやれるとは、J○恐るべし。

運転士さんも女性みたいだし、

お堅いイメージの鉄道会社にも新しい風が吹いているのかもしれないな。






「清水様、社員が羽目を外しすぎてしまい失礼しました。」

「いや、楽しかったからいいんですけど。

でもうろな沢まで8分ってすごいですね。」

「特急の直通運転でございますから。

弊社ではお客様の急なご用事への対応はもちろん、

ゆったりとした時間を提供するための取り組みも各種行っております。

来年3月15日に実施予定のダイヤ改正では

個室車両付きの新型車両が特急『かたりべ』に導入され、

パーソナルな移動空間を提供させていただきます。

普通、快速車両にも順次連結を開始いたしますので、

妊婦の奥様やお生まれになったお子様とのご移動には

是非そちらもご活用ください。」

「・・・色々とすごいですね。」



中継されていることもあるんだろうけど、

的確なタイミングで宣伝挟んできたな。

深沢さん、エリートっぽい雰囲気は伊達じゃないみたいだ。



「またこの車両は旧式ですので、

このようにタブレット端末を臨時で設定させていただいておりますが、

新型車両では有機ELディスプレイにて列車の運行情報やニュース、

市販品のCM、地域情報の放映を実施する予定ですので、

『うろな町の教育を考える会』連携担当の清水様には、

是非とも活動のPR等にご利用を検討いただければ幸いです。

全座席にコンセントを設置し、充電や快適なWiMAX通信も利用可能と

なっておりますので、乗車中の作業も快適に行っていただけます。」

「・・・お世話になっていますし、しっかり活用させていただきますよ。」

「ありがとうございます♪」


畳みかけるように、

それでいてあくまで物腰は柔らかく説明する深沢さんに

今後の利用を約束すると、

実にいい笑顔で応えてくれた。




この売り込み力は俺も真似しないといけないし、

多様な人材育成という点でも

鉄道会社から色々学ぶ点がありそうだ。

直澄の奴も色々考えて鉄道を巻き込んだのかもしれないな。




「清水先生、2ステージクリア、お見事であった!」

「美人な駅員さんに見とれるのもいいですが、

奥さんが妬きますよー♪」



車掌さんたちのおもてなしに

考えを巡らせていると、

先ほど紹介のあったタブレット端末から、

聞き覚えのあるコンビの声が聞こえてきた。


短い乗車時間だが、色々と盛りだくさんらしい。

今度は若者たちのおもてなし、

堪能するとしましょうか?



シュウさん達の企画、『うろな町』計画に参加させていただく作品です。

他の作品も以下のURLや「うろな町作品一覧」リンクからどうぞ♪


それでは出発進行です。

ステージ3を挟んで、

おじぃさんのキャラ達に案内していただきます。

お陰さまで移動部分を生かした上で時間短縮できそうです。


次回はとにあさんのカラスコンビにご出演いただいたあと、

ステージ3に向かいたいと思います。


それでは今週末、

ギアを入れ代えて頑張ります!


コラボ作品URL

うろな駅係員の先の見えない日常

http://ncode.syosetu.com/n6937bq/

URONA・あ・らかると

http://ncode.syosetu.com/n8162bq/


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ