11月30日 花嫁奪還大作戦その1 若人からの挑戦状!
PM0:25
「あーっはっは。皆のもの、かかれ!!」
「オニー!」
「コウメー!!」
「マゾー!」
「シミズー!!」
「みんなホント、ノリいいよねー♪」
急にブラックアウトした会場。
ざわざわとした会場に
どこかで聞いたことのある高笑いと
変な掛け声、
そして中性的な声でのツッコミがこだまする。
何かのサプライズ演出か?
それにしては妙に胸騒ぎがするけれど。
「司さん、大丈夫ですか?」
「ああ。全くあいつら張り切っているな。」
「はい?」
「まあ、あいつらもお祝いの気持ちでやってくれているから、
あんまり怒らないでやってくれ。
私の方は心配しなくて大丈夫だからな。」
「いったいどういう?」
司さんの不思議な言い回しの意味に
頭を巡らせていた刹那、
チクッとした痛みとともに
体から力が抜けていく。
おいこれ、マジでやばいんじゃ。
「うわー、流石渚ちゃん、すごい効き目。
清水センセー、ホントごめんッス。
じゃあ、小梅センセー、行くッスよ。」
「よろしく頼むな。
では渉、
待っているから、迎えに来てくれよ。」
「つ、司さん!」
司さんが何者かに担ぎ上げられているのが
分かるが、
体が痺れて動けない。
一体、何が起こっているんだよ。
しばらくして複数の足音が遠ざかっていったタイミングで、
会場の明かりが再び灯された。
そこにいたのはなんと!・・・というか
想像はしていた二人組だった。
「ロリガラスとノワール?
にしては前と色が違う気がするけど。」
「ロリを付けるな、ロリを!
フクロウでも鳩でもなく、我は太陽神に使えし白きカラスなり!!」
「今回はシアンちゃんでーす♪
イメージカラーはブルーになってます♪
まあ、その状況では弁解のしようがない気もするけどね。
ねえ、汐ちゃん♪」
「きゃー♪」
ロリガラスにお姫様抱っこされているのは、
リングガールの汐ちゃん。
その手には指輪交換で使うはずの
結婚指輪のケースが握られていた。
「・・・女装趣味は流石にどうかと思うが。」
「幼女趣味は黙っててね♪」
「やっぱヒデー。」
「助けてー♪」
何か微妙にシアンなのかノワールなのかのキャラが違う気がするが、
いつもの漫才に拍子抜けしたのか、
達人ぞろいの中彼らを止めようとするものはいない。
「汐ーーー!!」
「海お姉ちゃん!!」
そんな中妹を拉致された海さんが
二人に向かって走り寄った。
「おっと、そうはさせないよ♪」
「どけーーー!!!」
「おっと!!
(・・・流石に危ないですよ。)」
「(すまん、あんまり加減するとバレるかと思って♪)」
海さんの飛び蹴りを手持ちの工具みたいなものでいなすシアン。
その後二人でごにょごにょ言っていたのは何なのか分からないが、
弾かれるように距離を取る海さん。
「まだこっちのお姫様も渡すわけにはいかないな♪
ではカラスくん、ちゃっちゃと宣戦布告しちゃってね♪」
「・・・本当に楽しそうであるな。
ごほん、騒がせてすまない、皆の衆!
今回の結婚式、誠にめでたいことではあるが、
そこにいるマゾ清水が真に我らが小梅先生にふさわしいかについて、
小梅ファンの学生たちからは疑問の声が上がっているのも事実である!!
うろなの多くの若者の成長を見守ってきた彼女の伴侶として
そなたが相応な存在であることを、
この会場に招かれた大人たちだけでなく、
うろなの未来を背負う我らにもしかと示すがよい!!!」
「っということで、小梅先生と汐ちゃん、結婚指輪は預かったから、
返して欲しかったら、シアンちゃん達を捕まえてね♪
じゃあ、カラスくん、撤収といっちゃおうか。」
「その愛を白日の下にさらす試練を今受けるがいい!!」
「所詮はつかいっぱですけどね♪」
「それを言うな!」
ドン!
閃光と共にまばゆい光が
会場を包み、
こちらの視界を奪っていった。
おいおいおいおい。
何だよ、それ!
余興としては流石にやりすぎだろ、直澄!
・・・あの野郎、いつの間にか姿を消してやがる!!
ってことはもしかして・・・
痺れた体無理やり動かして周りを見渡すと、
動揺でオロオロというよりも
これから始まることにワクワクといった感じの雰囲気である。
こりゃ、完全に一杯食わされたか。
学生主導でフォローしたのか、
お前が黒幕なのかは分からんが、
大した手筈だ、
我が義兄弟よ!!
いいじゃねえか、
ここまでお膳立てしてもらったなら、
ノルしかないだろ!!!
・・・でも流石にこの痺れは
何とかして欲しいんだが。
弟分達の企みに何となく気づきながらも、
それに負けじと気合を入れ直した俺だったが、
身体は依然まともに動かせる状況にない。
そんな俺に制服姿の一人の少女が駆け寄ってきた。
「・・・先生、解毒剤。」
「渚!?お前、部活動の大会で
結婚式には出られないんじゃなかったっけ?」
「・・・そっちは終わりました。
先生たちと汐のピンチと母さん達に聞いて
助太刀に来ました。」
「そ、そうか。
何にせよ、助かる。」
青空家4女の差し出した錠剤を飲み込むと
徐々に体の自由が利くようになってきた。
「・・・先生、この超力電動ハイパーアシスト自転車を使って。
修行で鍛えた先生なら自動車クラスの速さがだせるはず。
カラスマントとシアンの服に発信機を付けておいたから、
ナビ機能で追跡もしてくれる。」
「・・・本当にお前は用意がいいな。
よっしゃ、すぐに司さんも、
妹も助けてやるからな!」
「・・・よろしくお願いします。」
俺は色々と引っかかりながらも、
彼女が引いてきた何か凄そうな自転車に跨り、
会場のドアを蹴破るような勢いで飛び出すと、
先行するカラスマント達を全力で追いかけていったのだった。
待ってろよ!
俺がスペシャルな旦那であることを
しかと見せつけてやるぜ、悪ガキども!!
そんなピエロな俺を見送りながら、
「・・・海姉、流石に罪悪感があるんだけど。」
「そう言いながら結構ノリノリだったじゃん♪
その制服の下には『例の服』着てるんだろ。」
「・・・正直着てから恥ずかしくなった。」
「何言ってるんだ!
あたしの着替えもマントの下は水着みたいなもんなんだぜ!!
まあ、このスカート姿よりはよっぽど動きやすそうだけど♪
先生の追跡は大丈夫なんだよな?」
「・・・うん、GPSは正常に機能している。
澄兄とうろラジさんには情報をもう転送してあるよ。」
「流石、悪の組織のマッドサイエンティスト♪
仕事が早い。」
「・・・特攻隊長さんも頑張ってね。」
「おうよ♪」
なんて会話が繰り広げられていたことなど知る由もなしに。
シュウさん達の企画、『うろな町』計画に参加させていただく作品です。
お待たせしました。
捜索イベントスタートです!
最後までどうぞお楽しみください。
出演・演出依頼も随時受け付けておりますので、
どうぞ。




