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11月4日 春を待つ喜び

AM8:00


「うーん、気持ちいい天気だ♪」


若干肌寒くなってきたが、

降り注ぐ日光がそれを忘れさせてくれる。



決闘終了後、

各師匠にお礼の品を届けた上でご挨拶をし、

基本的には全ての修行が終了となったのだが、

タカさん家での鍛錬は休みの日等に

時々お邪魔させてもらっている。

今日はその鍛錬の日で現在

家に帰る所である。



「せっかくあれだけ鍛えたんだから、

完全に錆びつかせるのはもったいない。」

なんてタカさん達から言われたのもあったが、

賀川くんとやりあうのが楽しくて続けている

というのもある。

この前の飲みもすごく面白かったし、

今日は会えなかったけど、

次回是非誘うとしよう。




直澄も一緒に誘いたいんだが最近妙に忙しそうなんだよな。

まあ、でもあいつもあの決闘イベントを主催したことで

色んな所にコネクションができて、

次のイベントを考えているようだし。

是非商店街、そしてうろなを盛り上げていって欲しいもんだ。


来年子ども達が産まれたら子育てにしばらくは集中したいし、

連携担当やる気があるなら直澄に引き継ぐこともやっぱり

考えないといけないな。





「急げよ、そろそろ練習始まるからな。」


そんな風にこれからのことを夢想していると

お揃いのTシャツを着た中高生達が

側を駆けて行った。



休みなのに頑張っているな。

でもTシャツに書かれた、

『策清水』とか『鬼子嫁』とかって

一体誰が考えたんだか。

果穂先生辺りの差し金かな。


とはいえこの前入院の際にお世話になった関根君が

「結婚式とかで良かったら流してください」って

メッセージDVDを持って来てくれたし、

生徒達も俺達、

というか特にお世話になった司さんの結婚を

お祝いしようっていう雰囲気になっているようだ。


でも会場のキャパ的にも生徒達まで入れる訳には

いかないし、

お披露目する機会とかは正直ないんだよな。

さてさてどうしたもんかね。






気づいたらいつの間にか、

家の前まで到着してしまっていた。

さてさて動いてお腹が減ったし、

司さんのお味噌汁を身体にしみ込ませると

しましょうか。








ガチャ


「お、帰って来たみたいだな。」

「うなー。」



鍵を開けて中に入ると

司さんや梅雨が玄関まで駆け寄って来てくれた。


何かあったのだろうか?




「渉、父様から郵便が届いたぞ!」

「えっ、もしかして結婚式への出席の連絡ですか?

結局確約を取れていなかったので心配してたんですが。」

「そっちは母様もいるから大丈夫さ。

それよりもこれを見てくれよ!!」

「は、はあ。」



やけにテンションの高い司さんにビックリしたが、

一体何が送られて来たというのだろうか。



茶封筒の中身を取り出すと2枚の綺麗な栞が入っていた。



挿絵(By みてみん)



これは確か•••。



「うななー♪」



「そう言えばユキちゃん家に

梅雨を預けた時にも

これと同じ様な栞を

送ってくれたんだよな。

•••でもなんでこれが

お義父さんから送られてくるんだ?

ユキちゃんが渡したのかな?」

「そうみたいだな。

あの後魚沼先生と一緒に父様と

何か話していたみたいだったし。

その栞の後ろを見てくれよ。

ふふふ、なんだかんだ言って、

父様も初孫が楽しみなんだな♪」

「へ?いったいどういう•••」





司さんがどうしてそこまで嬉しそうなのか

すぐには理解出来なかったが、

その栞の背面に書かれた言葉を見た瞬間、

全ての謎が解けた。









「長男 桜也 おうや」

「長女 桃香 ももか」








二枚の栞にはそれぞれそう

実に達筆な筆遣いで

名前が書かれていた。


全くこっちに相談ぐらいしろって

話だよな。

俺は構わないけど、

司さんに色々希望があるかもしれないだろ。





「えっと、司さん。

これでいいんですかね?

あくまであの人の希望に

過ぎないですし。」

「うふふ。良い名前だと思うぞ。

春に産まれて来る子にぴったりだし、

それぞれのおじいちゃんから一字ずつ

もらうっていうのも嬉しいしな。

父様流の『仲直りの印』なんだろうし、

有り難く受け取っておいたらいいんじゃないかな。」

「男の子の方に自分の名前を入れる辺りが

正直こずるい気がしますけどね。

道場の跡取りにするとか勝手に言い出したら、

その際は父子喧嘩第二ラウンドになりそうですが。」

「その時はその時だな。

では家に電話を入れておくよ。

ユキにもお礼を言っておかないと。

そうだ。

葉子さんにもらった、

この母子手帳ケースのお礼も言わないと。

梅雨、一緒にお礼を言おうか?」

「うなー♪」





梅雨を連れて電話の方へと向かう司さん。

その手には葉子さんが作ってくれたという

可愛い母子手帳ケースが。



挿絵(By みてみん)



梅雨の写真やにんぷうさぎで飾られた

温かみのあるケース。

ユキちゃんも葉子さんも本当に有り難い限りだよ。

産まれたら二人にはいの一番に報告しなきゃな。






まあ、名前の件は

母親が気に入っているならそれでいいか。

つうか父さんの名前なんてあの人知ってたんだ。

全くどこまで面倒くさい人だよ。


•••喧嘩は終わったんだし、

今度二人でゆっくり話す機会を作ろうかな。

お父さんとおじいちゃんの仲が悪いなんて、

子どもにとっては良くないだろうし。






春の日の喜びを考えると

そりの合わない義父に対しても

自然と歩み寄ろうという気にさせられる。


今月末の結婚式はもちろん大きなことだけど、

来年の春には素晴らしい出会いが待っているのだ。

それが先にあると考えれば冬の訪れもどこか

楽しく受け入れられる。


そんな期待に胸膨らませた晩秋の朝であった。


シュウさん達の企画、『うろな町』計画に参加させていただく作品です。


記念すべき?100話に子どもの名前発表です。

募集をかけようと思ったのですが、

頂いたアイデアが素晴らしかったので。


今回はあらゆる意味で桜月りまさんに

お世話になった回です。

栞も母子手帳ケースも本当にありがとうございました。

最後までどうぞお付き合いください。


また神楽さんから関根くんもお借りしました。

こちらもメッセージの件ありがとうございました。

是非結婚式イベントの中で使わせていただきますね。

もちろんキャラさんたちにも活躍してもらおうと思いますので、

そちらもよろしくお願いします。



それではいよいよ結婚式に行きたいと思います。

昼以降に少しずつでも更新出来ればと。

最後までどうぞよろしくお願いします。

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