第六話「自意識」
あーだるい。有給どころか休暇がないのがつらいです。ええ、本当に。
私が部品となってから50年の月日が経ちました。
当時の開発陣は各企業にヘッドハンティングされたり国の研究機関に移動したりなど大変みたいです
が今の私にとってはもう会えない人です。きっぱり切りますとも。
当時の社長や会長も亡くなってしまい私を知っている人は世界中でも数人だけでしょう。
元々プロジェクトが成功している時点で私は行方不明となっているので文句はないのですけどね。
部品となった私はどうやら適合しているらしく50年という時間をあまり感じないまま過ぎたため
体内時間…いや脳内時間はまったく進んでいないに等しい。
部品としての領域は3つに分かれている。
私という自己が1つ。これが消えてしまうと部品としての死亡。即ち全てのVR技術の死を意味します。といっても私に似たような部品をどこからか取ってきて適合させればいい話なのですが。
私個人としましては同じような経験をなさる方がいないよう祈っております。
2つ目はワーカールームです。仕事場、オフィスを考えてもらってもいいです。一つの部屋に机と椅子と棚がありそこで処理作業をするわけです。電子化と言うべきものなのかは疑問ですがただ座っているだけなのですがね。
たまに珍しい事例が出た時のみ物質化して本として棚に置いてあります。
いわば緊急時の応対マニュアルが棚全部なわけです。
3つ目はウイルス兼バックアップです。原初の部品である私は現在するすべてのVR技術が絡んでいる物に対して私の意識がいます。
ゆえに私を殺すためにはすべてのVR技術を利用した物を壊すか止めなければいけません。
3つ目の領域は基本的に使われることなく思い出したように使うくらいです。例えばβテスト中のVRMMOにNPCのごとく出現する時に使っています。




