1章6
新学期は忙しくてかなり遅れました。
申し訳ございません
「それならいい。……それで、何人だった?」
俺の言葉に、優香は口を開いたまま止まってしまう。
「……あのさ、こんなことぐらいは直ぐに理解してよ。殺す人数を聞いているの」
優香は疲れたと表現しているのか、項垂れて話してきた。
「あぁ、2人だった。そっちは?」
「6人。もう最悪だよ。一気にこの人数なんて初めて」
優香の口から聞いた数字に、俺は驚きを隠せなかった。たった一回のお題で6人も人を殺すなんて、どれだけ惨いものなのだろうか? まさに、優香の言った戦場が相応しい。
「とりあえず、気づいていない振りをして、武器になりそうなものと戦う場所を探しましょう。戦いはそれから。今回は2人で8人も殺さなくちゃいけないんだから、準備は抜かりなくしないとね」
そう言って優香は腕を組んでくる。腕に優香の胸が当たり、俺は先程終わらせた、煩悩退治が、もう一度始まってしまった。それも、先程より大きい煩悩だ。
「な、何だよ、いきなり」
俺は思考が上手く回らなくなり、その結果、滑らかな言葉が出なかった。
「静かに。このまま付き合っているフリをして。このまま歩き続けて、まずは戦うための本拠地を探そう。武器はその後」
俺は優香の適切な判断に黙って従う。―――それから俺達はしばらく歩き続けていると、優香は急に立ち止った。
「ここが一番良い場所だね。いろいろ物も揃っていると思うよ」
「まぁ、ほとんど医療器具だけど」
優香が決めた場所は町一の巨大病院だった。
「でもさ、他にもここに立て籠もっているかもしれないぞ? 無暗に入ったら殺されるんじゃないか?」
「その通りだけど、ここに立て籠もっている人は、私の知り合いだから」
「なら大丈夫だな」
優香は俺と腕を組んだまま、病院へ引き連れる。中は現実と変わりなく、清潔で、静かだった。
「多分、何時もの場所にいるでしょうから、そこへ向かいましょう」
俺は優香に連れられるまま、立ち入り禁止と書かれた場所に着いた。
「ここなのか?」
「そうだよ」
優香はそう言って目の前の扉を開ける。そこには、山ほどの医療器具と人を殺すための武器が散りばめられていた。そして、武器の下には沢山の衣服が散らばっていた。
「何とも一言では突っ込めない部屋だな」
「それは言わない方が良いよ。何回言っても直す気ない人だから」
優香は深い溜息を吐きながら、慣れた手つきで散らばった物をかわしていく。
「ちょっと待てよ、俺も行くって」
俺は優香が進んだとおりに物をかわしていく。だが、優香のように上手くいくわけもなく、こけそうになりながらも奥まで無事に辿り着くと、先に奥に行っていた優香が、カーテンの向こうで誰かと話しているのが聞こえた。