1章3
続きで~す^-^
次に瞼を開いたとき、俺は自分の部屋に座っていた。
「空が晴れている。それに洗濯物も干したままだ。……確かに元の世界に戻った」
やはりあれは夢だったのではないか? 俺はそう思った。
「とりあえず、中央公園の噴水前に行ってみるか。あの人がいるかもしれないし」
俺は彼女に会うために、急いで支度をして中央公園へ向かう。
「あ、あれは!」
公園へ向かっている途中、見知っている女子を見かけた。
「お~い、巴菜。風垠巴菜。聞こえているか~」
俺は何気なく、何時ものように巴菜に話しかける。だが、俺のことを無視して通り過ぎようとするので、俺はもう1度、今度は巴菜の耳元で話す。だが、巴菜は全く聞こえていない、もしくは反応しないで友達と歩いて行ってしまった。そこで俺は、自分の置かれている状況を認識出来た。
「……どうやらあれは事実の出来事だったのか。あれは夢だったら、って期待した俺が馬鹿だったってことか」
俺は精神に傷を負いながら、中央公園に着いた。噴水前では、先ほどまで話していた彼女が当たり前のように待っているが、当然、誰も見もしていなかった。
「ごめん、待たせちゃったか」
「別に私も5分前ぐらいに来たから。……それで、何か聞きたいことがあるんでしょ」
先に待っていてくれた彼女は、俺の心が読んだかのように話題を振ってきた。何とも気が利く女の子だ。
「あぁ。あのさ、本当にあの世界は殺し合いの世界なのか?」
「そうだよ。あの世界は人と人が未来を賭けて殺しあうための舞台。ただそれだけのために作られた場所」
俺の言葉に躊躇わず、彼女は率直に言ってきた。
「それじゃあ……」
「私も人を殺した。もう6人だけど、あの時の血の臭いや悲鳴は慣れないよ」
そう言って彼女は顔を下に向ける。きっとその時のことを思いだしてしまったのだろう。普通の人が、血の臭いや悲鳴に慣れることはないだろう。そこまでになると、それは人格が崩壊しているに違いない。
「最初、未来を奪われたことに実感が湧かなかったけど、さっき幼馴染に会って初めて分かったよ。君も未来を返して貰いたいんだよな。でも、君だけじゃない、このゲームを知らずに巻き込まれた人全てが思っているんだ。だからこそ、殺し合いが起こる。実際体感しないと分からないものなんだろうな」
俺はそう言って彼女の隣に並ぶ。しばらくすると、彼女が口を開いた。
「今日はあなたが会ってくれて良かった。初心者のチュートリアルに付き合えば、殺しは免除されるから」
「そんなこともあるのか」
どうやら、チュートリアルでは教えてくれないものも多いようだ。俺はただ彼女の言葉を受け入れただけなのだが、彼女はまた溜息を吐く。
「本当に、私と最初に会って良かったね。もし、他の人と会っていたら死んでいたかもしれないよ。初心者でも参加者だから、殺しにカウントされるんだから」
二度目は初心者ではないということは、そういうことだったのか。大抵の場合は、この世界のことを良く知らずに、何時の間にか殺されるのだ。このゲームについて知った今だからこそ、彼女の言っていることがどれほど恐ろしいかが分かる。きっと知らずにこの世界に入ってきて殺された人も少なくないだろう。そう考えるとやはり俺は運が良かった。彼女に最初に会ったからこそ、俺は今も生きていられる。
「俺も君に感謝すべきだな。ありがとう」
「別にお礼なんていらないよ。それで、あなたはこれからどうするの?」
「……そうだな、未来を返して貰うために戦う、かな。正直、さっきのことで負った傷がまだ癒えていないんだ」
俺が言ったことに彼女は暗い顔をして返してくる。
「この世界なんてこんなものだよ。私もあなたと同じ体験をしたからよく分かるよ。人の記憶から消されることが、どれほど辛いことなのかが。だからこそ選択肢は自然に決まるんだよね」
人の記憶から無くなるということは、自分の存在を否定されることとさほど変わらないことだ。こんなことは普通の生活では絶対に味わえない、最悪なものだろう。
「無条件で参加させられて、仕舞いには選択権すらない。でも、人間が作ったものならどこかに欠点があるかもしれない。……だから、俺はそれを探すつもりだ」
俺はこの世界に戻りたい、と素直に思っている。だが、それと同時に人を殺したくない気持ちがある。だからこそ、俺にはこの世界から出る方法が限られていた。
次は明日にはだせないかも・・・